エサ釣りに使うエサにはゴカイなどの虫系、オキアミなどの冷凍餌などいろいろなものがあります。狙う魚や釣り方に応じて選ぶことになります。
でも初心者にとっては結構ハードルの高い選択ではないかと思います。何を選べばいいのかよく分からないですよね。これを使えばなんでも釣れるってエサはないの?そう思うでしょう。
そんな初心者の方に、とりわけ関西地方にお住まいの人におすすめしたい海釣りの万能エサがあります。それが「シラサエビ」です。
安いが高くつくシラサエビを使った釣り
関西にはエビ撒き釣りというものがある が…
これは大阪湾を中心とした関西地方でポピュラーな釣りですが、エビ撒き釣りという釣り方があります。シラサエビを撒き餌にしつつ、さし餌(針につけるエサ)にもシラサエビを使うという釣り。
最近は輸入物も増えているようですが、琵琶湖が近いため安価でシラサエビを調達できるからこそ成立した釣りといわれています。しかし関西地方以外ではシラサエビが高価なようで、特にメジャーな釣りではないとのこと。
今「安価」と書きましたが、実はこのエビ撒き釣り、大量にシラサエビを使います。なんと1回の釣りで必要なシラサエビの代金がだいたい3000円ぐらいからが目安。
高いやん!無理やん!
ええ!全然安価ちゃいますやん。3,000円…昼食1週間分日分…うまい棒300本分…。セレブや、これはセレブの道楽や。
私自身、普段海釣りに行くときは、エサ代として200円ぐらいのアミエビレンガ一個と虫エサもしくはサシアミに300~500円を使うぐらいを標準としています。私は早々にエビ撒き釣りを諦めました。
さしエサに使うなら500円分のシラサエビで十分
撒きエサは贅沢だけど さしエサとして使うなら安価
とはいえシラサエビはあらゆる魚が食い付くし、尾っぽがピョンピョンと動いて魚にアピールできるからよく釣れるエサです。イソメやゴカイのように臭い体液も出さないから触りやすい。
実のところシラサエビは1杯という単位で最低単価500円ぐらいから買えます。先に書いたエビ撒き釣りは、5杯6杯とまとめて買うため高くなるというわけです。
でも500円分じゃすぐ無くなってしまうのでは?そう思われたあなたに朗報です。
お店にもよりますが、この1杯というのはだいたいお酒の1合升に1杯という量で、匹数でいうと通常は100匹以上入っています。わざわざ数えたことないですが。
これが500円分のシラサエビだ!(大阪湾岸限定)
ちょうど一杯分の写真を載せておきます。関西、とりわけ大阪湾岸周辺地域で500円分のシラサエビというと、何処で買おうがこのぐらいの量だと思ってもらえれば。
数えるのが面倒になるぐらいたくさん入ってるのがお分かりいただけるかと。
この量なら頻繁に餌を交換しても半日程度の釣りなら十分に足ります。そう考えると青イソメと比較しても同じぐらいのコストパフォーマンス、いやそれ以上かもしれないです。
シラサエビはいつどこで買えるエサなのか?
一年中買えるエサです
釣りエサの中には一年のうち特定の時期だけ売っているエサがあります。たとえば陸っぱりからタチウオが釣れる秋の時期にだけ買えるドジョウ。シラサエビと似たブツエビは冬だけ売っていることが多いです。
しかしながらシラサエビは一年中安定して買えるエサです。値段の変動もありません。入荷状況によっては1杯の量に変動があったりもしますが稀です。
ただ最近は輸入規制などの問題があって中国産が入らなかったり、琵琶湖で獲れない時期もあったりするらしく、ゴールデンウィークから一ヶ月ほど手に入りにくい時期もあります。
案外売ってない店が多いので注意
大きな釣具屋でエサを扱っているところでも、冷凍エサだけで生きエサを扱ってないところがあったりします。
釣り場までの道中、たしか通り道にデカイ釣具屋があるから、あそこで買っていこうと目星を付けていると失敗するかもしれないです。大阪北部に住む私は、神戸方面への釣行時に尼崎の昆陽にあるブンブンで買っていこうとしたら扱っていませんでした。冷凍餌、乾燥餌、あとは塩イソメしか無く。
なので不確かなら念のため事前確認はしといたほうがベターです。同じチェーン店でも扱っている店とそうでない店が混在している罠もあったり。先にも書きましたが、生き物なので時期によって品薄になっている場合もあったり。
なお、海釣り公園でも須磨と平磯なら売ってます。
どうやって釣り場に持っていくの?
生きてなきゃ釣れないので
シラサエビは生きてる状態で使わないと魚が食いつきません。これホントです。
死んで白くなったエビはまるで相手にされません。魚にかじられてボロボロになったエビにはまず魚が食いつきません。原則生かして動いていないといけない。だからなるべく元気なまま釣り場に持ち込む必要があります。
揃えておくべきアイテムがいくつかある
エビを生かして持ち運ぶにはいくつか方法があり、あらかじめいくつかの関連アイテムを用意しないといけません。先に青イソメと同じぐらいのコストパフォーマンスと書きましたが、活かし用アイテムを揃える初期投資は必要となります。ピンキリですが、最低2,000~3,000円で揃えられるはず。
必要なアイテムはこの3つ。
とはいえ各釣具メーカーからいろんな商品が出ているので、ネットでも店頭でも選択に困ると思います。ここではシラサエビを一杯分だけ釣り場に持ち込むという前提で私のオススメをご紹介します。
私のオススメというか私が実際に使っている商品です。
酸素供給のためのエアーポンプ
ブクブクでエアレーションして酸素供給
シラサエビはエラから水中の酸素を取り入れて呼吸します。水中の酸素濃度が下がればいともかんたんに弱ってきます。
そこでエアーポンプでブクブクとエアレーション(水中に空気を溶かしこむ)する必要があります。短時間釣行かつ餌屋が近いというケース(釣り公園の餌売り場とか)以外、基本的には必須のアイテムと思ってください。後述のエビ専用クーラーはバケツで代用できてもこればっかりは無理です。ストローで息を吹き込み続けるわけにはいかないし。
まずは一番安いやつでいいのでは
安いのは700円ぐらいから高いのは3,000円ぐらいまで。高いほど防水機能や静音性の向上があったり、空気の送風量が増えたり。たぶん耐久性も違ってくるんじゃないかな。
好みや予算に応じて選べばいいとおもいますが、挿し餌用に一杯分だけ生かすなら最低ランクのやつでOK。昔からある水色のブクブク、私はこれを使っています。これってたぶん30年ぐらいデザインが変わってないよなあ。内部機構もきっとそのままなんでしょう。
ハンガー付きと無しがありますがあった方が汎用性は高いと思います。邪魔だったら外せるし価格差は数十円だし。あと、作動させるにはもちろん電池が必要。だいたいは単一電池2個で20~30時間動いてくれます。
今時は単三のエネループが余ってる人も多いでしょうから、単一に変換するアダプターをかましてそれを使うのも手。こういうやつですね。あ、アダプターじゃなくてスペーサーと呼ぶのか。
電池スペーサーは100均の電池売場でも売ってますのでそれでもOKです。ちょっとサイズがでかくてうまいこと電池ボックスに収まらない商品もあったりしますが。
シラサエビを入れる容器はどうするの?
エビ専用クーラーを用意するのがベスト
エビ活かし用にエビクーラーとかエサクーラーという名前で、エビ専用のクーラーが売られています。
比較的簡易な断熱構造のクーラー機能に加えて、エアポンプを取り付けるパーツやポケット、エアポンプから伸びるホースを内部に引きこむ穴、エビを捉まらせるためのネット、エビを取り出すための取り出し口、これらが装備されたエサ専用クーラーです。
ちなみに私はこれを使っています
これもサイズや機能によって1,000円台から10,000円近いものがラインナップされていますが、挿し餌用に1杯分だけ使うなら一番小さいやつ、3リットル前後のもので十分です。私が使っているのはTAKA産業のこれ。
樹脂製のカバーの中に発泡スチロールで覆われたプラケースが入れられたタイプ。
プラケースの中にはエビ用ネット(エビを掬うネットではなくエビをつかまらせて休ませるほうのネット)が付属しています。側面にはポンプを入れるポケット。蓋は樹脂製のカバーをファスナーで閉めるタイプ。傾けるとファスナー部分から容赦なく水が漏れるので持ち運び時は水平を保つ必要があります。
カバー、プラケース、エビ用ネットは簡単に取り外せるので、釣りから帰ったらバラして豪快に水洗い可。
同じシリーズで丸型のものもあります。持ち運びはこちらのほうが便利だと思います。
各メーカーの小型エビクーラー
エビクーラーは、釣具として比較的定番の商品なので各社工夫を凝らした商品がでています。以下その商品の一部です。
続けるかどうか分からないし専用のものを買うのはもったいないって場合は、もちろんバケツや飼育用ケースでも代用できます。使い勝手はともかく水さえ入ればいいわけですから。
すくい網は別売りだったので
このモデルにはクーラーからエビを取り出すためのすくい網は付属していなかったので別途買う必要がありました。水に直接手を突っ込んでエビを取ることもできるけど水が汚れるし水温も上がるからおすすめしません。
ダイソーのペットコーナーで網が売られていたのを思い出して買おうとしましたが、売り場で見ると予想以上に大きくて使いにくそうだったのでダイソー店内で代替になるものを探しました。
結果、湯豆腐用の豆腐すくいをチョイス。これ、正直言って網よりかなりすくいにくいがコンパクトだからよしとします。ちょうどポンプを入れるポケットに挿しておけるので。
まあ釣具屋に行けば一番小さい網が100円程度で売られてるんで、無理矢理100均で代替品を探す意味もなかったりしますが…
ビニール袋にオガクズで活かす方法も
水不要で生かせる?
エアーポンプは必須と書きましたが、実は水すら不要な持ち運び方があります。厳密に言うと水は必要だけど、水分を含ませたオガクズやバーミキュライトにシラサエビを入れて生かす方法。
バーミキュライトとはなんぞや?
バーミキュライトって何やねんと思うかもしれませんが、青イソメなんかの虫餌を買った時に容器に入ってる土っぽいような砂っぽいようなアレです。植物の栽培に使ったりする保水性に優れた材質らしいですね。
湿ったオガクズやバーミキュライトにエビを入れておけば割と長い時間活かすことができます。ほら、魚屋で売ってるエビやカニなんかもオガクズに入れられて生きたまま売られてるじゃないですか。たぶん同じメカニズム。
基本的にはあまりオススメはできない
ただしこれは短時間釣行かつ釣り場と餌屋が近い、そして涼しい季節限定の方法と思った方が。ブクブクに比べたら当然長持ちしないし、直射日光にあたると途端にエビが弱ります。慣れた人なら大丈夫なんだろうけど管理が難しい。お試しや緊急時にでも思い出してもらえれば。
万全の環境を作った場合どれぐらい長く活かせる?
強いエビ弱いエビの格差がある
正直試したことはないし環境によりけりだからはっきり言えませんが、強いエビは1日以上余裕でピンピンしています。
エビの中でも弱いやつと強いやつが結構な差で混じっていて、お店からエビクーラーに移した直後から体の透明感がなくなって白っぽく息も絶え絶えなやつがいたり。脱皮直後のエビもふにゃふにゃで弱りやすい傾向があります。
弱ったエビは選別して除外
そういう個体を見つけたら死ぬ前に水から出して撒き餌にでもしたほうがいいです。針に刺してもすぐ死ぬはずだし動きも悪い。
子供の頃を思い出してみてください。
ザリガニを捕まえたはいいけど、ろくに世話もせず放置していた私のような人なら覚えがあると思います。死んだザリガニのクサさを。甲殻類は腐敗が早いのか死ぬとすぐに悪臭を放つようになります。他の元気な個体を弱らせないためにも気がついたら選別しておきましょう。そんなに神経質にやる必要はないですけど。
案外子供はこの作業が好きなので、釣りに飽きていたらやらせてみましょう。
お店ではどうやって注文するの?
シラサエビの持ち運び方は大体分かったでしょうか?釣行が決まったらお店に向かいましょう。
いざ活き餌コーナーへ
大概のお店はレジ近くに活きエサコーナーが配置されていると思います。そこにはエサ担当のスタッフいるはず。小さい店ならレジ担当の人が全部やってくれたりします。そこで伝えましょう「シラサエビ一杯ください」と。もしくは単価が書いてあるから「500円分ください」とかでもOK。
ちなみに自分は500円分だといつも余るので「300円分とかで買えますか?」と聞いたことがありますが、とりあえずフィッシングマックスでは断られました。仕方がない。個人経営の小さな餌屋なら対応してくれるかもしれないですね。
エビクーラーがあるとき
あるとき。
エビクーラーを持っている場合は オーダーと同時に空っぽのエビクーラーを手渡しましょう。エアーポンプとホース、エアストーンは予めセットしておき、あとはスイッチを入れるだけの状態にしておきます。
エビ活かし用の水はわざわざ家で水を入れておかなくても店でエビと一緒に入れてくれるから安心してください。一応書いておきますがシラサエビは海釣りで使うエサだけど淡水に住むエビです。したがってこの水も淡水。釣り場でこぼしてしまったからといって海水を継ぎ足したらエビが弱ります。水道水を継ぎ足すほうが何倍もまし。
お店のスタッフが計量用の容器にエビを入れてからエビクーラーに入れてくれます。この計量用の容器ですがお店によっていろいろあり、木の枡、小さなカップ、または網に目分量で入れるなど様々。結果的に一杯の分量もお店によりまちまちです。同じ店でもスタッフにより量が違うことも。
というわけで水を入れてシラサエビもクーラーに入りました。たいがいの場合、エアーポンプのスイッチは餌を入れてくれたスタッフがONにしてくれますが、念のため確かめておきましょう。
エサの代金については大型店だと伝票やプライスカードみたいなのを手渡される場合が多いので、それをレジに持っていって会計します。ついついやってしまいますが、エビクーラーはレジに出さなくていいですよ。
そこで代金を払ってミッションコンプリート。あとは釣り場へ。
エビクーラーがないとき
ないとき。
エビクーラーがないとき。代替になるバケツなどの容器もないとき。前述のオガクズに入れる場合。「シラサエビ一杯、オガクズにいれてください」と伝えれば通じるはず。オガクズがあればオガクズに入れてもらえるし、なければバーミキュライトを入れてくれる。
この場合、親切なスタッフであれば「あんまり長持ちしないですよ」などと忠告してくれると思います。ここまで読んでくれたなら、そんなことはあなたも理解してくれているはず。「大丈夫です」と余裕の表情で応えましょう。「…こいつ…分かってるな」と悟ったエサ担当は、ちゃんと適切な処理をしてくれたうえでシラサエビを用意してくれるはず。
シラサエビは初心者にオススメしたいエサ
なんとなくハードルが高く感じるけど
シラサエビは他の餌と比べて活かし用の道具が必要だったり、最初は注文の仕方が分かりにくかったりと、初心者にはちょっとだけハードルが高い餌だと自分自身が感じたので、同じように感じている人に向けて書いてみました。
釣り餌の中でも、なんとなくベテランしか使ってはいけないような雰囲気を放ってる餌ってあるじゃないですか、コウジとかユムシとか。シラサエビはそうじゃない、怖くない。
シラサエビのメリットは扱いやすさとアピール力
シラサエビを使ったからといって必ず魚が釣れるわけではないし、状況に応じて他の餌と使い分けていきたいところですが、初心者にとっていくつかメリットがあります。それは虫エサに比べてとっつきやすく触りやすいし針にもつけやすいということ。そして勝手に動いてくれるので魚の興味をひきやすいこと。
ヌルヌルしないし臭くないし針にもつけやすい
イソメやゴカイのグロテスクなビジュアルに抵抗感があって、釣り自体を敬遠している人は多いと思います。それに加えてヌルヌルした手触りや動きで、慣れていても針づけに手間取ることは多いはず。
それに引き換えシラサエビは食卓でもお馴染みのエビそのもの。皿の上のエビと違って生きて動いているという違いはありますが、触るのにそれほど抵抗感はないと思います。針への付け方も尾っぽへ針を刺し通すだけのチョン掛けで基本はOK。エビが触れれば誰でもできるはずです。
ピョンピョン動くのでアピール力バツグン
尻尾をピョンピョンさせて高速移動するエビ独特の動き。どうもこれは魚にとってたまらない動きのようです。シラサエビを捕食するタイプの魚がそこに居さえすれば高確立で食いついてきます。
ルアーなんかだと竿やラインの動きを通して自分からこの動きを再現しなければいけないわけですが、シラサエビなら魚のいる付近に針を持っていって放置しておけば勝手に動いて魚を誘ってくれます。
初めての活きエサに最適
もし釣りが初めてという人と一緒に大阪湾でエサ釣りをやるということになれば、ぜひシラサエビを検討してみてほしいです。虫エサがダメで釣りをしないとか1回で懲りるとかは正直もったいないと思います。
最近はなんでもかんでもルアーで釣るという傾向があってそれはそれでいいんですが、やはり活きたエサを針につけて魚と駆け引きをするというのは釣りの基本のように感じます。
針づけの方法は他の情報を参照あれ
シラサエビはチョン掛け以外にもいろいろと針づけ方法がありますが、その辺は詳しく解説している記事やブログが他にたくさんあるので、そちらを参照くださいませ。