私は2014年に20年ぶりの釣りを再開しました。
20年前といえば身体能力のピークにある中学生です。今じゃ考えられないですけど、漁港の巨大テトラの上をピョンピョンとジャンプしながら移動してましたね。若くて恐いもん無しだったのでしょう。
うってかわって20年ぶりの釣行時は小さな子どもを含んだ家族での釣りとなりました。もう若くないし体力も衰えている。そして守らなければいけない家族もいる。何度か釣行を繰り返すうちに、家族で釣りをするには場所選びが肝心ということを思い知らされるようになりました。
以降、家族と共に釣りに行く場合はいくつかの条件を満たす釣り場に限定することに。私と同じように、小さい子供や女性と釣りに行く場合は同じような条件を満たす必要があると思います。
その条件とそれを満たす理由について書いてみます。
【条件1】岸壁に転落防止のフェンスがあること
海はこわいもの
皆さん泳ぎは得意ですか?
私は得意なほうだと思います。平泳ぎなら体力の続く限りどこまでも泳げます。でも海は怖いです。何度海に釣りに行っても「雄大で気持ちいいなあ~」という気持ちと「やっぱり怖いな~」という気持ちが交錯します。
でも過剰なぐらい海や川には臆病になったほうがいいと思います。
実際、毎年多くの釣り人が海や川で亡くなっています。人が立ち入らないような危険な場所は魚がたくさん釣れるに違いない。立ち入り禁止のあの突堤は潮通しがよくて大物が釣れるに違いない。そんな期待をする気持ちは良く分かります。しかし、たかだか趣味で命を落とすなどほんとうにバカバカしいし、残された周りの人間も不憫です。
フェンスがあれば安心
落水を防ぎ、安全に釣りをするにはどういう場所を選べばいいか?
答えは簡単。足元と水辺の間を隔てるフェンスがあればいい。それとてもちろん100%安全とはいえないですが、不意の落下、足の踏み外し、目を放したすきに子供が落水、いろんなことを未然に防げるはずです。
フェンスがある反面、高さのあるフェンスだと竿が置きにくかったり、子供の身長だと釣りがしにくかったりしますが、そこは我慢や工夫で乗り切ってもらえればと。
フェンスにつけるタイプの竿受けなんてのもあります。
ライフジャケットがあればフェンスはいらない?
ライフジャケットを装着していれば落ちても問題ないじゃないかという意見もあると思いますが、冬の低水温や急流のような潮の流れを目の当たりにすると、場合によっては一時しのぎにしかならないと感じます。
関西には明石海峡周辺に魚影の濃い釣り場が点在していますが、そこに足を運んだ人ならほんの数秒で何メートルも流されるような急流を経験しているはず。決してライフジャケットを装着する意味や効果を否定しているわけではないですが、そもそも落ちる可能性をできる限り排除できたほうがいいに決まっています。
フェンス図鑑 in 関西の釣り場
上の写真は夕暮れを迎えた晩秋の南芦屋浜ベランダ。タチウオ狙いの人でごったがえしています。
ここはフェンスの手前1mぐらいが30~40cmほど低くなっていて、その後ろに竿尻を置けばちょうどいい角度で竿を置けます。子供もそこに立てば竿を操作しやすい。タチウオなんかの大物をエイッと引き抜くときも、後ろに立てばやりやすかったり。釣り人のために考えられたかのような都合のいい設計です。
また、フェンスが多少高くとも縦方向にフェンスの骨組みが配置されているなら、その隙間に竿を通して釣りをすることができます。
サビキとか全長が長い仕掛けだと隙間から投入したり取り込みしたりするのが難しいから大人がやってあげたほうがいいです。だけど、アタリを感じる、アワせる、魚の引きを感じながらリールを巻く、魚を釣り上げる一連の醍醐味。これを小さな子供に味合わせてあげることができます。
ちなみに上の写真はアジュール舞子西ワンドの中央面。
同じアジュール舞子の西ワンドでも、東面は骨組みが横に入っているタイプ。このタイプはちょっと子供には向いてないし、短竿で堤防の際を狙うような釣りをする場合も置き竿にしにくかったりします。
もうひとつフェンスを紹介。
ここは淡路島交流の翼港、外向きのフェンス。ここも横に骨組みが入っていて短竿を置き竿するには難がありました。また、写真中央に男性が立っているのが見えますが、ここには周囲より一段高くなっていてフェンスが無く、竿の操作がしやすいためかジギングやエギングをする人が陣取っていることが多いです。これが数メートルおきにあります。
よく見てもらえれば分かると思いますが、この部分はフェンスが途切れており、子供でも容易に入ることができる状態。実際、ここで釣りをしているとき、ふと目を離すと4歳の娘がいつの間にかそこに立っていました。海面まではかなり高さがあり、下を覗けば明石海峡近くの激流。冷や汗をかきました。フェンスがあるからといって過信してはいけません。
【条件2】近くにトイレがあること
トイレが無い釣り場ってどうやって処理するの?
これは言うまでもありません。
逆に聞きたい、トイレのない釣り場に行って催したらどうしてるの?選択肢としては、トイレのある場所まで走るかその辺で処理するかだろうけど、自分は無理です。お腹が弱いんです。
男女別トイレ 多目的トイレがあればなお安心
トイレも男女別のトイレがあるのが望ましい。この場合、大概は男女共用のトイレよりキレイです。幼児連れなら多目的トイレがあればさらに良し。オムツ替えの台が設置されていることが多いし、トイレトレーニングを始めたばかりの子供でも多目的トイレならスムーズにいけるはず。
【条件3】自由に使える水道があること
釣りは汚れるし臭くなるもの
釣りをすれば汚れる、臭くなる。これは仕方ないこと。
ルアー系の釣りなら極力避けられるとは思いますが、ファミリーでできる釣りとなると餌釣りが主体となるはずです。特にサビキ釣りは汚れる釣りです。アミエビの汁、オキアミの汁、イソメやゴカイの体液、いずれもクサイ。だから魚を誘う要因となって釣れるわけですが。
そして釣った魚はもれなく臭い。ひとしきり釣りを楽しんでから手のひらの匂いを嗅いでみましょう、クサッ。こんな手でハンドルを握りたくないですね。
真水が使える環境があれば
対策の一つとしては水汲みバケツに海水を汲んでそこで手を洗うこと。とはいえ海水自体が潮臭い。海水に触れた水汲みバケツを真水で洗わずに車にのせるとわかりますが、海水は意外と臭いです。
じゃあ、真水しかない。
家から水道水をタンクに汲んで持ってくる?それも選択肢の一つですが、釣り場に水道があればベスト。それも、トイレの手洗いとは別に独立した水道があれば足も洗える場合があるし釣り具も洗えてモアベター。塩水に触れた金属はあっという間に錆びる。洗えるならさっとでも洗っておいたほうが長持ちします。石鹸を携帯しておくとさらにいい。
【条件4】近くで飲み物が手に入ること
夏場の水分不足に注意
夏場、釣りに夢中になっているとつい水分補給を忘れてしまうことがあります。
個人的な経験ですが、没頭していると限界に近いところまで知らず知らずに我慢してしまいフラフラになったり頭痛を感じるようなこともありました。熱中症の入り口みたいな状態。それに子供の水分補給対策は自分よりもっと神経質にならないといけません。
基本は事前にペットボトルのドリンクを買ってクーラーボックスに入れておいたり水筒を持ってきたりするのだけど、それでは足りなくなることもあるはずです。となるとやはりドリンクの自販機が設置されているところが安心。
探すと意外に見つからない自動販売機
自販機なんてその辺に当たり前に置いてあるだろうと思うし実際そうなんですが、釣り場は長い防波堤だったり、はたまた渡船で行くような沖堤だったりします。無論、そんなところには自販機など設置してあるはずがなく。
そういった不便なところほど釣れたりもするのですが、子連れでいくならそこは我慢してもっと便利な場所を選ぶべきです。
【条件5】釣り以外に遊べる手段があること
ひっきりなしに釣れるのならいいけど、やっぱり釣りには待ち時間が必要な時があります。潮の流れが変わるまで、回遊魚が回遊してくるまで、夕マヅメの時間を迎えるまで。
大人ならいろいろと時間をつぶす手立てはありますが、子供はやはり耐え切れず、あげく「早く帰ろう」などと言い出したり。「ちょっと大人しく待っていてくれ、もうすぐ釣れ出すから!」そんな言葉が通用するわけはないし、そもそも釣れるかどうかも自然が相手、上手くいくとは限りません。
公園として整備された釣り場には、海に親しめるよう人工の磯場や砂浜が整備されている場所があります。上の写真は南芦浜ベランダの西端にある人工の磯と砂浜。暑い季節になればサンダルで海に入り、カニやヤドカリなどを捕まえることができます。こんな場所、子供は釣りそっちのけで喜ぶにきまってる!
アジュール舞子なら、海水浴ができるビーチが整備されています。もう少し足を伸ばせばアウトレットモールだってあります。
でも条件が整った釣り場はもれなく混雑します
安全でよく釣れる釣り場は混んで当たり前
以上5つの条件を挙げてきましたが、この条件を満たす釣り場は当然ながら混雑します。特に海釣りのベストシーズンともいえる秋は朝から晩まで満員御礼。
混雑しているとストレスが溜まるし、空いているところで悠々と釣りをしたいですよね。分かります。今まで上げた条件を満たしてなおかつ空いているところ…ないっす!ここは諦めてください。申し訳ないですがあったとしてもネットでは紹介しません。
アクセスが良くてファミリーで釣りが楽しめるなら混雑するのが必然。料金が必要な釣り公園だって、やっぱり連休中は人が殺到して入場制限がかかります。
じゃあどこへ釣りに行けばいいの?
ということで、ファミリーフィッシングという視点で5つの条件を満たす大阪湾の釣り場を紹介したいと思います。
いずれもファミリーにおすすめの釣り場です。
大阪湾北部のファミリー向け釣り場を紹介
明石海峡を一望できる「アジュール舞子(神戸市垂水区)」
神戸市垂水区にあるアジュール舞子。
明石海峡大橋を西端にしてそこから東にあるアウトレットの辺りまでの広い範囲に広がる公園です。その中でも明石海峡大橋のすぐ東にある陸側にへこんだ部分、通称ワンドと呼ばれる場所がファミリー向けの釣り場として人気があります。
利用料は無料で24時間開放されています。近隣に公営駐車場あり。
明石海峡というと激流のごとく流れの速い潮をイメージしますが、ワンド内はかなりおだやかなので初心者でも釣りを楽しむことができます。サビキでアジサバイワシ、胴突き仕掛けや投げ釣りでガシラやアイナメなどの根魚など、一年を通してファミリーに人気の魚が釣れます。
ひとたびワンドの外に出れば本格的にメジロやサゴシなどの青物を狙っている人がいたりも。これほど多彩な魚種が釣れる釣り場はなかなかないかと。
万が一何も釣れなくても景色が最高だし、水は綺麗だし、飽きたらアウトレットもあるわで、ファミリー向けイチオシの釣り場です。
ここからもう少し東に行ったアウトレット手前にある「温泉裏」と呼ばれるポイントもファミリーにオススメです。
ここが温泉裏。「ゆ」って看板が見えるでしょ?
アウトレット駐車場の西寄りに停めれば歩いて5分もかからない位置にあります。家族で来て女子チームは買い物、男子チームは釣りというような楽しみ方も出来ます。
こんな狭い入り江みたいな場所ですが、なぜかアジサバイワシなどの回遊魚の回遊が豊富で侮れないポイントです。
淡路島観光とセットで楽しみたい「淡路島翼港(兵庫県淡路市)」
さきほどのアジュール舞子から明石海峡大橋を挟んだ対岸近くにある翼港。
港というだけあって桟橋が備わっており、個人の小型船を係留することができます。本来は「海の駅」として運営されている施設なんですが、見ている限り立ち寄る船はそれほど多くない印象。実質的には釣り公園と言っても間違いじゃないかと。
駐車料金500円(昼間は出し入れ自由)、利用料は清掃協力金という名目で釣り人一人につき500円。子供や釣りをしない見学者は無料。トイレと冷暖房完備の休憩所があって、一通りの仕掛けとアミエビやオキアミなんかの冷凍餌もそこで買えます。レンタル釣具もあります。歩いて5分ぐらいの場所に淡路夢舞台があるんで、お腹がすいたらそこのレストランを使うのもいいですね。
釣り場は大きく分けて2タイプ。大阪湾に面して潮が速い外向き、内湾に面して潮も波もおだやかな内向きがあります。外向きは川のように激流が流れてまともに釣りができないこともあるので、ファミリーは内向きを選択するのがオススメ。そこではサビキでアジサバイワシなどの回遊魚が狙えますし、京阪神地区の釣り場ではサビキの釣果がさっぱりのオフシーズンでも何かしら釣れてたりします。足元で根魚も狙えますよ。
内向きがファミリーフィッシングに適している一方で、外向きだと大型の青物なんが釣れたりするんで本気の釣り人も多い。ビギナーからベテランまで受け入れられる、とてもポテンシャルのある釣り場です。
ファミリー的には淡路島観光とセットで楽しむのがおすすめ。
京阪神随一の人気釣り場「南芦屋浜ベランダ(兵庫県芦屋市)」
芦屋市の最南端に位置する人工島のまち南芦屋浜。さらにその南端に柵つきの護岸が整備されていて、通称南芦屋浜ベランダと呼ばれるそこが釣り場として24時間開放されています。
利用料は無料。近隣には公営駐車場と民営の駐車場があります。
大阪湾の奥に位置していて、あまり潮の動きがないせいかお世辞にも海は綺麗とはいえないです。ここの魚食えるの?と心配になる海の色をしているときもあったり。
とはいえ魚影は濃く、初夏から晩秋はファミリーでごったがえします。アジ、サバ、イワシなどのサビキのターゲットはもちろん、この釣り場で特に魚影が濃いのがサヨリ。毎年秋頃になると群れが湧いて釣り堀状態になります。仕掛けを投げればほぼ確実にアタリがあって飽きません。7月から12月頭ぐらいまで楽しめます。
タチウオを狙う人も多く、秋のベストシーズンは家族連れで大混雑。たぶん、京阪神の釣り場では最も混雑する釣り場のひとつです。朝マズメ狙いで早朝4時に釣り場にいっても入る隙間がないというような状況が寒くなるまで続きます。トラブルにならないよう、余裕を持ってのぞみましょう。
ビギナーからベテランまで対応「平磯海づり公園(神戸市垂水区)」
須磨海づり公園から遅れること8年、1984年に開園した平磯海釣り公園。なんとなく須磨海づり公園の弟分というイメージがあります。
利用料金や営業時間は公式サイトをご確認ください。
沖に突き出た桟橋タイプの釣台を持つ須磨海釣り公園に対して、こちらは岸壁を利用し広くゆったりした釣台になっているのが特徴。何箇所か日よけのテントが設置してありますし、転落防止の柵も須磨の沖にある釣台よりずっと高さがあるので安全。駐車料金、利用料金も須磨に比べて若干リーズナブル。そういった意味では平磯のほうがファミリー向けの釣り場といえるでしょう。
沖に出てない陸続きの釣り場ならその辺の防波堤と同じじゃないの?と思うかもしれませんが、明石海峡に近く潮の流れも良く豊富に漁礁が設置してあるため魚影は濃いです。
反面、沖を狙おうとすると川のように速い潮の流れがあっという間に仕掛けを押し流して釣りにならなかったり、場所によっては根掛かりも頻発するのでいくら予備の仕掛けがあっても足りないという状態になったり。そんな釣り場ですが、常連さんは大きな真鯛や青物を釣り上げたりと、奥が深くポテンシャルのある釣り場でもあります。
とはいえ初心者でも足元狙いの探り釣りやサビキ、ちょい投げぐらいなら大丈夫。オンシーズン(春~秋)は、多種多様な魚が釣れるので安心してください!1月~4月ぐらいの釣れないシーズンを避ければボウズで帰ることはほぼ無いはず。
釣り公園というだけあって設備は充実。食堂や売店もありますし、釣り道具一式もレンタルできます。時期によれば指導員の方が常駐していることもあるので、初めての釣り場として選択するのもオススメ!
紹介した以外にも釣り場はたくさんありますが
大阪湾岸にはここで紹介した以外にもたくさんの釣り場があり、日々たくさんの釣り人が竿を出しています。
一例として、大阪市にある釣り園護岸から反時計回り約40キロの圏内にこれだけの釣り公園があります。
海釣りをするにおいて大阪湾岸にお住まいというのは恵まれた環境だと思います。
この圏内にある釣り公園以外にも釣りができる漁港や護岸というのはいくつかありますし、実際そこで釣りをしている人は多いです。しかしおおっぴらに釣りができのかというとグレーな場所が多いのも事実。本来は許可されていないけど暗黙の了解で釣りができている場所も多いです。特に神戸市は解釈の難しい条例があったり。
ですのでここでは詳しく紹介できませんのであしからず。自己責任のもと、釣り場を探して釣りをお楽しみください。