釣りの未経験者が釣りに対して抵抗をもつ要因。
エサが触れないとか魚が怖いとかいろいろありますが、そのひとつに「釣り糸の結び方が難しそう」という不安があるはず。
釣りの入門書には釣り糸の結び方を図解したページ必ずがあり、それを一見しただけでは理解できないぐらい複雑な結び方に見えます。そしてその結び方がなぜか何種類もある。まるで「これ全部覚えないと釣りはできないよ!」と言わんばかりに。
釣りの入門書にある結び方の解説を見て諦めた人。ネットで調べたものの「おすすめの結び方20選!」とか「結び方まとめ」とか銘打った寄せ集め記事にうんざりした人。安心してください!
初心者はこれひとつ覚えたらOKな結び方があります。これだけマスターすればずっと戦えます。いろいろな釣りに挑戦できます。
その結び方の名は「クリンチノット」。
クリンチノットだけで釣り糸の結び方はほぼカバーできる
片結びは高確率でほどける
例えば初心者らしくサビキ釣りをするとしましょう。
リールと竿を買った。仕掛けも買った。エサもある。釣り場で竿にリールをセットして糸を竿に通した。あとは仕掛けについてる金具とリールから出た糸を結んで繋げれば準備完了だ!
で、どうやって糸を結べば?
初めて釣りをする際にここで壁にブチ当たる人は多いと思います。糸や縄の結び方なんて片結びとちょうちょ結びしか知らないって人が大半でしょうし、実際それだけで問題なく生きてこれたでしょうし。
とりあえず今知ってる結び方をしてみようということで、最初は片結びを一回だけして「よっしゃ結べた!」という人もいるでしょう。かつての私もそうです。
でも片結びだと引っ張れば簡単にほどけて仕掛けがすっぽ抜けるはずです。ほとんど釣り糸は滑りやすい素材ですから。何重かに片結びすれば一応は大丈夫ですけど、たぶん切れやすいはず。強めの力で引っ張ったらブチっと切れる。
金具と糸を結ぶならクリンチノット
そこで本題。
金具と糸を結ぶのに有用なのが「クリンチノット」という結び方です。別名サルカン結びとも呼ばれることがあり、糸と金具を結ぶ方法では一番ポピュラーなもの。釣りの入門書で必ず紹介されています。
ちなみにサルカンというのは仕掛けの端についてる輪っかが2つある金具です。 種類の異なる糸と糸を接続するために使われます。こんなやつ。
ヨリモドシという商品名で売られていることもあり、糸と糸の接続のほか、軸が回転することで仕掛けのヨリ(よれ)を戻す、つまりねじれを解消させる役目があります。
この「糸と何か」を繋ぐための釣り用金具はたくさんありますが、サルカンの他によく使われるのがスナップ。 このタイプはエサ釣りの仕掛けに使われ、ワンタッチで撒き餌用のカゴを繋いだりできます。
上で紹介したようなスナップは引っ張る力に対して弱く、強い力がかかると延びて外れてしまうことがあります。そのため、ルアーフィッシングではルアーを接続する際に下のような形状のスナップが使われることがあります。
これらのスナップと糸を結ぶ際も、クリンチノットが使えます。
金具以外に糸を結ぶときは既製品に頼ればいい
金具と糸を結ぶ以外に「糸の結び方」が必要な場面。
例えばそれは針と糸を結ぶとき。
外掛け結びと呼ばれる結び方などがあり、これもたいがいの入門書で紹介されています。でもそれを読んだ人はその複雑さに「こんなの無理だ~」となったでしょう。やってみれば意外と簡単だったりもするんですが抵抗ありますよね。
でも大丈夫。そんなあなたのためにあらかじめ針と糸を結んだハリスつき針というタイプの商品が用意されています。
初心者向けの釣りはこれを用意しておけば事足ります。釣りに慣れて仕掛けを自作するような段階になってから針と糸を結ぶ必要がでてくると思いますが、まずは覚えなくて全然オッケー!
自動で針を結んでくれる便利アイテムもあったりします。
「自分で針も結べないなんて釣り人失格」なんてことを言う頭の固い釣り人もいるでしょうが、とりあえず今は気にしない。いいんだよ、今の時代便利なものを使えば。文句を言うやつは洗濯板で洗濯しとけ!電子レンジは使うな!そのスマホをたたき割れ!PCを窓から投げ捨てろ!
また、糸と糸との結び方も紹介されてたりします。電車結びってのが初歩的かつ代表的。電車結びは特に難しいものではありませんが、エサ釣りだけをしてるならそれほど使う機会はないのでこれも無理に覚えなくても問題なし。
とにかく釣りがしたいならクリンチノットだけ覚えればいい!ほら、ちょっと釣りのハードル下がったんじゃないですか?
かんたんなクリンチノットの手順を解説
では実際にクリンチノットをやっていきましょう。
人によって感じ方はあると思いますが、数ある釣り糸の結び方の中でもクリンチノットは簡単な結び方とされています。私もそう思いますし、これしか知らないっていう釣り人もたくさんいます。
なおこれまで記事内では「釣り糸」と表現してきましたが、釣りの世界では糸のことを「ライン」と呼ぶのが一般的なので、以降はラインと表現していきます。
おおまかな手順は以下の通りです。
これ読んだって分からないですよね。
先に動画で全体の流れを把握しましょう。こちら私の手でございます。
この動画のように、右利きの人は左手でサルカンを押さえて右手でラインを動かす方がスムーズに結べると思います。ちなみに私自身は左利きなんですが、この動画は多数派である右利きさん達に向けて普段とは逆の手つきで結びました。逆なのによく頑張った!
動画ではゆっくり2分かけて結んでますが、慣れれば10秒ぐらいで結べますよ。
では手順ごとにポイントを解説していきます。
リングにラインを通す
ここは特に説明もコツも必要ないですね。サルカンの穴に糸を通す、それだけです。
通したラインは折り返して15センチほど引き出し、糸とサルカンを指でつまんで固定しておきましょう。
通したラインをそのライン自体に4~5回巻きつける
反対の手で折り返したラインの末端をつまんで、4~5回ほどクルクルと巻きつけます。
多く巻けばいいってもんでもないので、5回も巻けば十分です。この際、サルカンの穴を動かないように固定していないと勝手に回転してほどけますので注意しましょう。
通したラインをサルカンの穴付近にできた隙間に通す
巻き終わったらまたラインを折り返し、サルカンの穴付近にできた隙間にラインを通します。
細いラインだとこの隙間が小さくなるため難しくなるかもしれません。慣れましょう。このとき間違ってリングにラインを通さないように。
通したラインをもうひとつできた隙間に通す
隙間にラインが通せたら、巻きつけたラインの部分に大きなループが出来ているはずです。
このループにまたラインを通しましょう。
このループに通さなくても一応それなりに結べますが、ハリスなど細いラインだと引っ張ったときにすっぽ抜けやすいです。結ぶ工程としてはこれが最後なので必ずやりましょう。
結び目を湿らせてからラインと金具を引っ張って締め込む
結ぶ工程は先ほどで完了しました。
あとは引っ張って締めこむだけです。っとその前に、結び目を水で濡らしておきましょう。これは摩擦熱対策。
釣りに使うラインはどれも熱に弱く、ナイロンラインは特にそれが顕著です。濡らさないまま締め込んでしまうと摩擦で結び目が熱をもってしまい、縮れ麺のようにヨレヨレになったり最悪切れたりします。なんにしろその部分が弱りますので、魚が釣れた「ここぞ」って時に切れる可能性が高まります。
ここでは上品にコップの水で指を濡らしてから結び目に水を含ませていますが、釣り場でこんなことはしません。ほとんどの釣り人はラインを口に含んで唾で濡らします。汚いけど確実。
あとはもう簡単。引っ張って締め込むだけ。
引っ張れるところまで締め込んだらこのような硬い結び目になります。
ここまでくれば、引っ張ってもほどけたりしません。
5ミリほど残してラインをカット
最後に余分な部分をハサミでカット。
リールなどと繋がっている本線を切らないように気をつけましょう。
これは「釣り人あるある」ですが、無意識にやってるとスパッと本線を切ってしまうことがあります。そうなったらまた最初から結び直し…
釣りをしているうちに結び目が緩むこともあるので、念のため5ミリほど残して切ると安心です。残す部分が長いと仕掛けが絡む原因にもなるのでやはり5ミリが適当です。
というわけで完成しました。
最初は難しく感じるかもしれませんがすぐに慣れます。簡単確実な結び方なので、釣りをはじめるときは、このクリンチノットを最初に覚えておいてください。これで何年も戦えます。
いろいろな結び方を覚えるにこしたことはない
釣りを始めるにあたって、とりあえずこれさえ覚えておけばなんとかなるということでクリンチノットを紹介しました。実際、この結び方だけで色々な釣りに挑戦できるはずです。
しかし他の結び方を覚える必要がないかというとそうでもありません。やっぱりいろいろな選択肢を持っておいたほうが釣りに生かせます。細いラインに向いている結び方、逆に太いラインに向いている結び方がそれぞれあったりします。PEラインを使ったルアーフィッシングをするなら、リーダーとPEラインをつなげるためにFGノットなど複雑な結び方が必須になります。
クリンチノットに慣れて解説を見ずとも結べる、体が覚えているような段階になったら新しい結び方もぜひ覚えていってください。釣りの世界が広がります。