関西の秋は海釣りのハイシーズン。
この時期は波止から様々な魚を狙うことが出来ますが、なんといっても一番人気なのがタチウオです。10月から11月ぐらい時期、大阪湾にある波止は平日の真夜中であっても人で溢れており、はたから見れば狂った光景が繰り広げられています。
なぜこれほどまでにタチウオが釣り人をひきつけ狂わせるののか?ひとつは1メートルを超えるようなサイズ、それゆえの引きの強さが楽しめること。そしてもともと関西では一般的に人気の食材で食べても美味しいこと。
さらに特筆すべきは実に様々な釣り方で狙えること。エサ釣り派の釣り人もルアー派の釣り人も受け入れるこの間口の広さもタチウオ釣りにおける大きな魅力のひとつです。
そんな数あるタチウオ釣りの中から、関西で人気の3大釣法をピックアップして紹介します。その釣法とはこの3つ。
それぞれをタチウオを狙う時間によって使い分けるのが釣果アップの秘訣です。
【タチウオの釣法その1】ウキ釣り
じっくりタチウオと対話ができる釣り方
ウキ釣りはキビナゴなどの生エサをつけた仕掛けを投入し、電気ウキでアタリをとる釣り方です。
タチウオがエサを加えると電気ウキが浮き沈みしますが、その時点でアワセを入れてもまず掛かりません。ウキに反応が出た後はラインを通してタチウオの動向を探り、タチウオがエサを飲み込もうとするタイミングを見計らってからアワセる釣りです。
ウキに最初のアタリが出てからアワセるまで5分以上かかることもあるのがウキ釣り。まどろっこしいかもしれませんが、この間のラインを通したタチウオとの対話とアワセの瞬間の気持ちよさが醍醐味。
真夜中はウキ釣りの独壇場
後ほど紹介する引き釣りとワインドに比べると、暗い時間に真価を発揮する釣り方といえます。太陽が沈んでから再び反対側に太陽が昇るまでの10時間以上がウキ釣りの時間。
引き釣りやワインドも暗い時間に出来ないことはないですが、ウキ釣りのほうが有利ですし、ウキ釣りはどちらかというと待ちの釣りなので一晩中釣ろうが体力も温存できます。ワインドと引き釣りはひっきりなしに投げては巻き、あるいはシャクリを繰り返すので体力の落ちたおじさんには堪えます…
短時間で数を釣るにはむいていない
前述の通りアタリからアワセまで時間が掛かる釣り方です。そして日没前後や日の出前後に訪れやすい時合いにもちょっと不利な釣り方。
効率を重視する忙しい人は他の釣り方を選んだほうが良さそうです。
明るい時間はちょっと不利
タチウオは昼間沖の深場に居て、暗くなるにつれて岸に近い浅場に回遊してきます。たとえば夕方でまだ日が落ちきっていない時間はまだ陸から遠くて深い場所にいる可能性が高い。
これをウキ釣りで狙うのは非現実的です。でも引き釣りやワインドなら遠投できて仕掛けが沈むのも早いので十分に狙うことが出来る。
ウキ釣りについての詳細は別記事にて
ウキ釣りについては別の記事にまとめています。必要な道具からアワセのタイミングまでこちらで詳しく解説していますので、自分にはウキ釣りが合ってると感じられたらぜひご覧ください。
【タチウオの釣法その2】引き釣り(テンヤ釣り)
とにかくタチウオが釣りたいならまずは引き釣りで
ワインドはもとより海の魚をルアーで釣るということ自体、比較的新しい釣り方です。
そこにきてテンヤの引き釣りというのは主に関西中心に行われてきたタチウオの釣り方で、かなり古い歴史があります。私が幼少の頃には周囲のタチウオハンターがみんな引き釣りをしていた記憶があるので、少なくとも40年、実際は50年以上前からあるんじゃないでしょうか?
そんな引き釣りですが、3つの釣り方の中では経験もテクニックもそれほど必要としません。仕掛けをキャストできるのなら、あとはリールを巻いてテンヤを引いてくるだけなのでテクニックいらず。向うアワセで自動的に針掛かりすることも多いからアワセのタイミングを経験して学習する必要もなし。
そのことから最も初心者向けのタチウオ釣りで、手段はともかくとりあえずタチウオを釣りたいという人におすすめしたい釣り方です。いやもちろん数を稼ごうとか食いが渋いときに釣ろうとかすると経験は必要ですが、そこにタチウオさえ泳いでいれば高確率で釣れます。
引き釣りテンヤはタチウオゲッターがおすすめ
テンヤというものはオモリに大きな針がついた仕掛け。波止タチウオ用のテンヤはこんな仕掛けです。
針に沿って取りつけたエサをワイヤーでグルグル巻いて固定するのですが、力加減が難しくて時間も掛かります。
そこでおすすめしたいのがシマノの「太刀魚ゲッター」。
値段はテンヤの倍ぐらいしますが、これならエサ付けが簡単です。
日没前の釣り場で一番乗りを目指せる
テンヤは5号ぐらいのオモリ、つまり19グラムほどの重さがあります。だから遠投できるし深い場所にも早く沈めることが出来る。
ということは夕方の時合いに向けて沖の深場から近づきつつあるタチウオをいち早く狙うことが出来ます。だいたい日没の一時間前ぐらいからが引き釣りでタチウオが釣れる時間帯。ワインドなどのルアーでも同じように遠い深場が狙えます。
日没1時間前というとまだまだ明るいです。その時間はサビキをしているファミリーも多いし、夕焼けをみにきたギャラリーがいることも。そのタイミングでその釣り場で最初のタチウオを釣り上げるとちょっとしたヒーローになれます。
だから何?と言われると辛いのですがなかなか気持ちのいいもんですよ。
引き釣りの詳細は別記事にて
引き釣りについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
私のおすすめタチウオテンヤ「太刀魚ゲッター」については別の記事にて詳しく解説しています。とにかく手段は問わずタチウオを釣りたいあなた!自分で書くのもなんですが必見です!
【タチウオの釣法その3】ワインド
ルアー釣りに心得があるのならワインドを
最初の2釣法はエサ釣りですが、ワインドは柔らかい素材のソフトルアーを専用ジグヘッドに取り付けてタチウオを狙うルアー釣りです。
私はもう「釣りと言えばエサを使って魚を狙うもの」という固定観念で釣りを始めたところがあるのですが、今は釣りの入り口がルアーだったという人も多いでしょう。
そんなあなたには数あるタチウオ狙いのルアー釣りの中で最も人気の高いワインドをおすすめします。
短時間で数を釣るならワインドが圧勝
タチウオが狙える時間帯は引き釣りとほとんど同じです。日没前後の時合いと日の出前後の時合いに最も効率よくタチウオを釣れるのはワインドだと思います。
以上!
…なぜ最初に紹介した2つの釣り方に比べてワインド紹介のボリュームが少ないかというと、ワインドもといルアーフィッシングに関して私が素人同然だからです。挑戦したことはあるのですが、正直に書くとまだ釣果をあげられていません。なので経験を積むことが出来たら加筆するということでお許しください!
ワインドのアクション自体はこの動画を繰り返し観ることで私にも再現できるようになりました。
ほんとに分かりやすいと思うので、これからワインドを始めようとされている人は必見です。
ワインド用のソフトルアーに限らず、タチウオはあらゆるルアーで釣れる魚です。メタルジグ、メタルバイブ等のハードルアー等々、ほとんどすべてのルアーで釣ることが出来る魚といえます。
バスフィッシングで鍛えたルアーマン、腕の見せ所ですよ。
色々な切り口で3大釣法を比較すると
これまでに挙げてきた3つの釣法にはそれぞれ得手不得手、メリットデメリットがあります。いくつかの切り口でこれらの釣り方を比較してみましょう。
簡単にタチウオが釣れる釣り方は?
初心者でもテクニックの習得なしにタチウオが釣れるのは引き釣り。仕掛けを投げることさえできるのなら、あとはリールを巻いて引いてくるだけです。むこうアワセ(アワセを入れなくても勝手に針掛かりすること)で釣れることも多い。
ウキ釣りは最初のアタリが出てアワセを入れるまでのタイミングに経験が必要ですし、ワインドはルアーをはじくような独特のアクションを習得する必要があります。
釣行ごとのランニングコストが安い釣り方は?
引き釣りとウキ釣りはエサが必要な釣りゆえ、毎回エサの調達が必要です。それに比べるとワインドはルアーを使いまわすことが出来るので安上がり。もちろん鋭い歯のタチウオがソフトルアーにかぶりつくと段々ボロボロになっていきますが、ある程度までは補修も可能。
引き釣りとウキ釣りを比較すると、どちらかというとウキ釣りのほうがエサの交換が頻繁に起きますので引き釣りに軍配があがります。
限られた時間でタチウオがたくさん釣れる釣り方は?
ウキ釣りはアタリが出始めてから針掛かりするまで数分掛かることもあるので、短時間で数を釣ることにおいては圧倒的に不利です。
引き釣りとワインドを比較すると甲乙つけがたいのですが、やはり生エサを使う引き釣りはエサの交換が必要なのでワインドのほうが有利。
一番長い時間タチウオ釣りが楽しめる釣り方は?
これは夜中じゅう楽しむことが出来るウキ釣りが圧倒的勝利です。ほかの釣り方に比べて動きが少なく疲れないので省エネ。
引き釣りやワンドは忙しい人が効率よく釣るのに適しています。
あなたに合った釣り方でお楽しみください
以上3つの釣り方が、今関西で主流のタチウオの狙い方です。
でもこれ以外にもたくさんの釣り方があります。エサ釣りなら投光器を使って魚を寄せつつタチウオを狙うズボ釣りがあります。たぶん数ある波止からのタチウオ釣りのなかでもっとも数が稼げる釣り方です。
ルアーはワインド以外にも選択肢がたくさん。2016年にはワインドと似たソフトルアーを使ったフラップ釣法という新しい釣り方もでてきました。メタルジグでも狙えますし、動くものならなんにでもアタックしてくるのではないかな。
タチウオを狙うにおいて選択肢はほんとうにたくさん。ここで紹介した釣り方に限らず、皆さんそれぞれのお好みでタチウオを狙ってみてください。