釣った魚を美味しく安全に食べるために最も重要なことは、魚をしっかり冷やして持ち帰ることです。
気温の高い時期は特に重要。釣り用のクーラーボックスはそのための必須アイテム。
自分で釣った魚を自分で調理して食べたい!そんな目的で釣りを始めようとしているあなたにぴったりなクーラーボックスの選び方を解説します。
15リットルの釣り具メーカー製クーラーボックスが最適
釣りをはじめたばかりの初心者に最適なクーラーボックスとはどんなクーラーボックスか?サビキ釣りなど初心者向けの釣りを中心にやっている私が出した結論はこれです。
15リットルの容量がある釣具メーカー製のクーラーボックス
庫内に15リットルの収容量があり、ダイワやシマノなどの釣り具メーカー製クーラーボックス。例えばダイワのこんな製品。
なぜ15リットルの容量がある釣具メーカー製のクーラーボックスがおすすめなのか?
15リットルの釣具メーカー製をおすすめする理由
15リットルの釣具メーカー製のクーラーボックスをおすすめする理由がこちら。
15リットルあれば食材として満足できる量の魚が入る
15リットルの容量なら、例えば家族4人の食卓を満たす量の魚が十分に入ります。
厳密に15リットルである必要はないので、15~20リットル程度から選びましょう。この条件を満たせば、釣り初心者がやる多くの釣り、多くの釣果に対応できます。
15リットルあればレジャー用途にも使いまわせる
勢いで釣りを始めてみたものの、飽きてやめる可能性もあるでしょう。
でも15リットルの容量があればレジャー用途に流用できます。運動会とかちょっとした行事ごと、旅行や食料品の買い出しにも大活躍。全く無駄になりません。釣具は数あれど、釣り以外に役立つのはクーラーボックスぐらい。おこづかい制のあなたでも買いやすいのではないでしょうか?
釣具メーカー製だから信頼できる保冷力
釣り具メーカー製なら安いモデルでも一定以上の保冷性能をもっていて、その保冷性能も分かりやすく数値化されています。例えばダイワ独自の指標として使われる「KEEP」などは選択に役立つはず。
それら指標は、自宅と釣り場の距離、移動時間などを考慮したクーラーボックス選びに参考となる値です。自分に合ったスペックのクーラーボックスを選ぶことができます。
釣具メーカー製なら釣りに特化したオプションの取り付けが可能
釣具が増えても大丈夫。メーカー製のクーラーボックスなら専用のオプションが豊富に用意されているので、小物の釣具を効率よく収納することができます。
フィッシュグリップなど、とくにクーラー周りで使う道具は必然的に濡れますし汚れます。そんな道具類の収納にオプションが役立ちます。
15リットルならどんな魚がどれだけ入る?
15リットルのクーラーボックスにはどれぐらいの量の魚が入るのか?どれぐらいの大きさまでの魚が入るのか?実際の写真を見ながら確認していきましょう。
小魚なら100匹以上入る
数でいうならどれぐらいの数の魚が入るのか?まずは実際の写真をご覧ください。もちろん15リットルのクーラーボックスで、容量の7割程度魚が入っています。
最盛期の釣果がしっかり収まる
これは海釣りの最盛期である10月ぐらいの釣果。
この時期なら初心者でもこれぐらい釣れます。サビキ釣りで15~20センチぐらいのアジ・サバ・イワシなどの小魚がたくさん、暗くなってからタチウオを数匹という釣果。数でいうと約100匹以上の魚が15リットルのクーラーに難なく収まっています。
サビキの釣果なら300匹以上入ることも
もちろん魚が小さければ小さいほどたくさん入るので、例えば下の写真だと10センチ以下の豆アジがなんと300匹以上余裕で入っています。さらに倍の数が入る余裕があります。
最大で50センチ前後の魚が入る
小魚がたくさん入るのは分かった。じゃあ大きい魚だとどれぐらいのサイズの魚まで入るのか?こちらもまずは写真をご覧ください。
50センチ程度の青物なら入る
入っているのはサゴシ。出世魚であるサワラの一つ手前のサイズです。大きさは50センチ。若干魚を曲げたり、頭と尾が対角線上になるように置いたりする必要がありますが、50センチの魚を収めることができます。
なおこの写真のクーラーボックスはダイワのクールライン15リットルで内寸17×36×23センチ。対角線の最大長はおおよそ46センチです(計算はここで)。計算上は50センチに少し足りていませんが、内側は直方体ではなくテーパー状になっていて上部は底より少し大きめになるためギリギリ入る。
同じ15リットルでも縦横の比率が異なるのでご注意ください。魚を入れる場合はなるべく横長ワイドサイズのほうが汎用的です。
中型~大型青物を入れるのはきびしい
50センチを超えると15リットルのクーラーでは厳しくなります。
これまた出世魚であるブリの一つ手前のサイズであるメジロ。関東だとワラサ。サイズでいうと60センチから80センチぐらい。60センチを超えた青物を15リットルのクーラに納めるのは不可能です。例えばこれぐらいのサイズは無理でした。どうしても尻尾がはみ出て蓋が閉まらない。
頭と尾を切り落とせば入りますが、美味しく食べたいなら身を海水や空気にさらすのは避けたいところ。ショアジギングで青物中心に狙っていくというなら15から20リットルは選択肢から外すべき。横長のトランクタイプを選びましょう。
タチウオならメーターサイズにも対応
一方で1メートル近い魚でも長細い魚であれば曲げて収めることができます。
代表的な魚はタチウオ。身に負担がかかるので本来はまっすぐのまま保管するのが理想なのですが、細いしっぽのほうをくるりと曲げればそれを最小限にとどめられます。
メーカー製のクーラーボックスはどれぐらい氷がもつ?
使用条件がバラバラだから明確な答えは出しにくい
メーカーの公称値は参考程度
釣具メーカー製クーラーボックスはどれぐらいの時間保冷できるのか?氷が溶けるまでどれぐらいもつのか?
これは言及が難しい。その日の気温や断熱材の種類によるところも大きいし、蓋の開け閉め回数などの利用状況も大きく影響してしまうからです。そのためメーカーの公称値も参考程度。
それを踏まえたうえでおおよその目安を書きたいと思います。
その前に、いざクーラーボックスを買う時に迷う断熱材による違いについて知る必要があります。
断熱材による違い
3種の断熱材と保冷能力
一般的なクーラーボックスはグレードの異なる3種類の断熱材のうちいずれか、あるいはそれらの組み合わせが使われています。保冷能力が低い順に以下の通り。
最も能力が高いのは真空パネル。同じサイズのクーラーボックスでも断熱材の性能に比例して価格も高くなります。保冷能力を含めたそれぞれの違いを図にまとめました。
なお「真空パネル」というなんとなく軽そうな語感に対してなぜ重いのかというと、真空パネル内部に断熱材としてグラスウールがぎっしり圧縮して詰められたうえで真空処理が施され、なおかつその周囲に発泡ウレタンが充填されているからです。
下の画像は内部構造を見せるためクーラーボックスを輪切りにして展示したもの。左上が真空パネルです。パネルが真空状態から解放されグラスウールが膨らんでいる様子が確認できます。
予算に制限がないなら真空パネル
予算に制限がないセレブなあなたなら、最初から真空パネルのクーラーボックスを選べば間違いありません。でも最初から高価なクーラーボックスを選ぶのは躊躇するはず。
ここでは初心者が手を出しやすい発泡スチロールのクーラーボックスを基準に考えていきます。
発泡スチロール断熱材なら2キロの板氷が半日もつ
釣具メーカー製で15リットル、発泡スチロール断熱材のクーラーボックス。保冷剤として板氷2キロ。
この条件で例えばサビキ釣りをしながらだとどれぐらい氷が持つのか?最も気温の高い夏場を想定して目安を出すとするとこうなります。
真夏に2キロの板氷が半日ほど溶け切らずにもつ
もちろんこれは使用状況によって大きく異なることを前提にしてください。開け閉めの回数はもちろん、設置場所が直射日光が当たる場所か日陰かでもかなり違ってきます。
性能の差は氷の量で埋められる
意外とすぐ溶けると思ったかもしれません。家に帰るまでに溶けそうなら、帰りに氷を買い足す必要もでてくるでしょう。
断熱材が変われば保冷力も変わる。そしてそれは価格に反映される。
しかしその性能差は保冷剤、氷の量で埋めることが出来ます。保冷剤や氷はペットボトルに水を入れて凍らせたもので代用できるので、お家の冷凍庫で凍らせる余裕があればコストに差はできません。
釣り初心者におすすめのクーラーボックス
手軽な釣りから始めたい初心者のために
ここからは釣り具メーカー製おすすめクーラーボックスを紹介していきます。こんなあなたに最適なクーラーボックスを選びました。
私自身もこんな条件で10年前に釣りを始めました。その経験から得た、初心者に最適なクーラーボックスを紹介します。
他の釣り具メーカーでもクーラーボックスの扱いがないこともないのですが、メーカーは実質的にダイワかシマノの2択になります。
ダイワのクーラーボックスがおすすめ
私はダイワを選びます
具体的なクーラーボックスを紹介する前に少しお時間をください。
クーラーボックスに関してダイワとシマノどっちがいい?と聞かれたならば私は迷わずダイワと答えます。特にダイワファン、あるいはシマノファンという偏りはないのですが、クーラーならばダイワを選ぶ。
ダイワはオプションパーツが豊富
そもそもダイワの方がクーラーボックス自体のラインナップが多いということもありますが、取付けられるオプションの豊富さがその理由です。
実際に私が使ってきた中で役に立ったダイワクーラーボックスおすすめオプションを紹介します。
ダイワクーラーボックスのおすすめオプション
クーラー周りで使うことの多いフィッシュグリップや締めるために使うピックなどの器具。これらは魚の粘液や血で汚れるのが当たり前ですし濡れたまま持ち帰らなければいけない道具です。そんなとき、クーラーの外側に取り付けられる小物入れがあれば便利です。
クーラーと収納物の自重で安定して立てられるロッドスタンドも堤防釣りでは役立ちます。
クーラーの内部で魚と完全に分けて保管できるタッパケース。ライバルのシマノにはないオプションです。
オプションの多くはクーラーボックスの外装にタッピングネジで穴を開けて固定する方式。やり直しのきかない、後戻りができない方法で取り付けることになります。
ネジの長さを誤れば内部に貫通して断熱性も防水性も台無しになる可能性がありますが、メーカー純正パーツならそのリスクが避けられます。
ダイワクールラインα 1500
最もスタンダードなモデル
ダイワのクーラーボックスの中でも汎用的なシリーズに位置づけられるクールラインシリーズ。その中でも発泡スチロール断熱材を使った最もスタンダードなモデルはS1500です。
とりあえずこれだけあれば大丈夫。必要なオプションがあればあとで買い足しましょう。
保冷力を重視するなら発泡ウレタンモデル
S1500のワンランク上である発泡ウレタン断熱材が使われているGU1500もおすすめ。保冷力を重視するならこちらの選択もありでしょう。
ダイワクールラインα 1500X
投入口を使うことで冷気の漏れが減り氷持ちがよくなる
ダイワのクーラーボックスで品番の最後にXがついているものは蓋に小さな投入口が付いたモデルです。
投入口があるせいで数値上の保冷能力はほんの少し低くなりますが、本体の蓋を開閉するよりずっと冷気の漏れが少なくなります。結果的に氷の持ちが良くなる。断熱材とは別の観点で保冷力が高いといえます。
サビキ釣りをするなら投入口付きが最適
サビキ釣りなど、魚がたくさん釣れてクーラーボックスの開け閉め回数が多くなる釣りに真価を発揮します。
こちらも15リットルで発砲スチロールのモデルと発泡ウレタンのモデルがあります。
ダイワクールラインα ライトソルト S1500X LS
投入口付きで便利なオプション初期装備のお得セット
投入口がついたクールラインシリーズをベースに、ルアー釣り用途に特化したモデルがライトソルト(LS)シリーズ。
メーカー的にはルアー用と位置付けられてますが、エサ釣りにも便利なオプションが最初からセットになったお得なシリーズです。ルアー用というより30センチ程度までの小物釣りに特化しているモデルという解釈がぴったり。
ロッドホルダーと小物ポケット付き
セットになっているオプションはまずロッドホルダーが2つ。
さらに汚れやすい小物の収納に役立つポケットが1つ。仕切りがついてるので内部で2分割できます。
別々にそろえるよりお得かも
総額で実売4,500円程度のオプションを初期装備しています。先に紹介したクールラインシリーズの価格と合算して、今から紹介するクーラーボックスと比べてみましょう。オプションを付ける前提ならお得になるかもしれません。
スタンダードな発泡スチロール断熱材とオプションがセットになったモデル。
より高い保冷性能が期待できる発泡ウレタンモデル。
価格変動があるので確かなことはいえませんが、オプションあとから買い足して取り付けることを考えればだいぶお得になっています。いずれのオプションも実際に私が使っていますが、実用的で絶対に無駄になりません。
ダイワのクーラーにはふんばるマンを付けよう
ゴム足の取り付けは必須としたい
一部モデルを除き、ダイワのクールラインシリーズはゴム足の「ふんばるマン」が別売りとなっています。
これはクーラーボックスの底面にねじ止めして取り付ける専用のゴム足。
ふんばるマンにはこんな効果があります。
ゴム足ごときに1,000円以上なんて高く感じるとは思いますが、同時購入して実践投入前に取り付けておくことをお勧めします。
シマノフィクセルライト 17L
水抜き栓とゴム足標準装備がポイント
シマノのスタンダードモデルであるフィクセルシリーズ。こちらは15リットルがないので17リットルのモデル。断熱材は発泡ポリスチレン、いわゆる発泡スチロールのことですね。
ダイワのクールラインシリーズと違って水抜き栓がついていること、滑り止めとして機能するゴム足が最初から付属していることがポイント。
シマノフリーガライト 20L
20リットルモデルでは最安
少し容量の大きな20リットルのモデルですが、発泡ポリスチレンの断熱材でコストパフォーマンスが高いフリーガライト。
他のメーカーを含めても、20リットルのクーラーボックスでは最も安い可能性があるモデルです。こちらも水抜き栓がついています。
シマノフリーガベイシス 20L
底面真空パネル搭載の高コスパモデル
先に紹介したフリーガライトの上位モデルであるフリーガベイシス。
特筆すべきは底面が真空パネルであること。
意外に思うかもしれませんが、クーラーに伝わる熱は上面や側面より底面からの影響が大きい。地面の熱が伝わるからです。このクーラーボックスはその底面を真空パネルでブロックして、それ以外の面は発泡ポリスチレンでガード。
真空パネル採用でこの価格というのは他メーカーにも見当たりません。保冷性能と容量に対するコストパフォーマンスは非常に高いといえます。
クーラーボックスは長い付き合いになる道具
数ある釣具の中でもクーラーボックスは壊れにくく長持ちする道具です。
ロッドやリールは早々にガタがでることもありますし、買い足す買い替えるという機会がとても多い釣具です。
その観点で考えれば、クーラーボックスは釣具の中で最も長い付き合いになるかもしれない道具。だからその選択はとても重要です。一回買ってしまえば買い替えの機会があまりありません。
これから釣りを始めようとしているあなたにとって、15リットルのクーラーボックスを選んだことがいい判断だったと思えるときがくればいいなと思います。