サビキで釣れる魚の御三家。それはアジ、サバ、イワシ。
この御三家の中で、とりわけ20cm以下ぐらいの小さいサイズに限って人気の優劣をつけるとすれば「アジ>イワシ>サバ」の順位になります。この順位はそのまま味の良い順ともいえます。
サバも30cmを超えて脂がのってくれば事情は変わってきますが、小さいサイズは身がパサパサしてるという理由で敬遠されがち。同じ時期かつ同じサイズの小サバと小アジを食べ比べたら味の差は歴然ですから。
でもサビキは回遊魚相手なので小サバしか釣れないという日もあり、その場合はおかずとして持ち帰ることもあります。小型でも食材として万能なアジやイワシと比べれば多少味が劣るというだけで、相手は”THE大衆魚”ともいえる食卓でお馴染みのサバです。小さくともちゃんとサバの風味があります。適切な調理をすれば決して不味い魚ではありません。
そんな小サバのレシピと今一度向き合ってみたいと思います。
脂が少ないので油を使ったレシピを
「秋サバは嫁に食わすな」
誰が言ったか「秋サバは嫁に食わすな」という言葉がありその言葉の真意には諸説あります。大きく分けて両極端な「嫁いびりサイド」の解釈と「嫁いたわりサイド」の解釈。
まずは嫁いびりサイドの解釈。
これは「秋のサバは美味いから嫁に食わせるなんてもったいない」という意地悪姑目線の解釈。昼ドラか。いや、姑目線なのかどうかは定かでないけど皆それを想像するでしょう。泉ピン子あたりのビジュアルをイメージして。
一方嫁いたわりサイドの解釈。
それは「サバは鮮度落ちが早いから嫁が体を壊すといけない」という優しさに包まれた解釈。目にうつる全てのことはメッセージ。暑い時期は気温による鮮度落ちが早いので食中毒の危険が高まります。
サバをはじめとした魚の食中毒については別途詳しくまとめておりますので、お時間があるときにでもご覧ください。
秋に美味くなるということは…
そこへきて嫁いたわりサイドでもうひとつある解釈がもうひとつ。
それが「秋サバは脂肪が多いから嫁の体に良くない」という解釈。美味しいんだけど脂肪のとり過ぎは妊婦に良くないから食べさせないほうがいいみたいな意味。理由は違えどいびり解釈の”秋サバは美味いから”ともリンクします。
この言葉からも読み取れますがサバの旬は秋ということになっています。そしてサバに限らず旬の魚は脂がのっていることが多い。逆に考えると秋を迎えるまでのサバは脂がのってないとも解釈できますね。未成熟な小さいサバならなおさら。実際、脂がのってないから身がパサパサなわけです。
脂が無いなら油を足せばいいのでは?という安直な考えのもと、油をつかうメニューを中心に小サバのレシピを提案します。
南蛮漬けにも転用できる定番の「小サバの唐揚げ」
10cm程度までの豆サバなら唐揚げがベスト。サイズが小さいと骨も柔らかいのでエラと内臓さえとれば丸揚げで食べられるから。数が多くても処理がラクです。
それより大きいサイズだと中骨が気になると思うので3枚におろした身を使うほうがベターです。そのほうが子供も食べやすい。
調理方法は簡単。
唐揚げのレシピ
粉をまぶすときに使うビニール袋はアイラップがおすすめ。
60枚入りがだいたい100円前後で売ってて、加熱調理にも使えるからめっちゃ便利。Amazonで売ってるやつは高いから、ドラッグストアやホームセンター、通販ならヨドバシで買いましょう。
余ったら南蛮漬けに
こりゃ一日で食べきれないなという量だったら、三杯酢を用意しておいて揚げたそばからジュッジュッと三杯酢に放り込んで南蛮漬けに。玉ねぎスライスやパプリカと一緒にしばらく漬け込んで冷やしておけば数日持ちます。
豆アジの南蛮漬けと比べたら味は劣りますが、それなりに美味いものです。
カレー味もおすすめ
普通の唐揚げに飽きたら小麦粉もしくは片栗粉にカレー粉を混ぜてカレー味の唐揚げに。これは子供が喜ぶ味付けです。
余ったら野菜と一緒にパンで挟むなどしてサンドイッチにするのも美味いです。
濃い味付けの「小サバの竜田揚げ」
続いて竜田揚げ。唐揚げには違いないのですが予め味付けをしておくのがポイントです。味付けは濃い目のほうがおすすめ。
個人的には小サバの食べ方としてこれがベスト。別の記事で詳しく紹介しています。
ご飯の友やお弁当にも最適な「小サバの蒲焼き風」
続きましてご紹介するのは小サバの蒲焼き”風”です。蒲焼きというとウナギを想像しますが、あくまで蒲焼き風なのでちょっと調理工程が異なります。
サバの唐揚げに飽きてきて、何か他の調理方法はないものかと検索しているとこちらのレシピにたどり着きました。材料と調理方法はこちらを参照ください。
揚げて煮るということで、これまで紹介したレシピの中でもちょっと手間がかかる料理ですが、白ご飯と非常に相性のいい料理でした。冷めても美味しいから、残ったら次の日のお弁当にも転用できるのもポイントです。
甘辛くて子供も好きな味付けなので喜びますよ。自分で釣ったならなおさら。
焼いてほぐして「パサパサ小サバのサバンバンジー」
大きなサバなら塩焼きにすると脂がしたたるほど脂がノリノリなわけですが、小サバは脂がのっていなくてパサパサ。同じ魚なのに。
これ、何かに似てるなと思ってたんですが、私は鶏に近いと感じました。ジューシーなもも肉もあれば、あっさり脂の少ない部位もある。そうそれは鶏ささみ。ささみと小サバはパサパサという点で似ている。
ということは、鶏ささみのメニューを小サバに応用できるのでは?
そこで作ったのがこちら。茹でたささみをそのまま焼いた小サバの身に置き換えたバンバンジー。名付けて「パサパサ小サバのサバンバンジー」。
試してみたところ、サバの風味が強くてバンバンジーとは別物ではありますが、これはこれでアリだなと思いました。小さいサイズでも、焼くと水分が抜けてサバの風味が立ち上がってきます。バンバンジーのタレは濃いめですが、サバの風味はそこにも負けません。
- サバの頭を落としてエラと内臓を抜く
- 表面に塩を振りかけて15分ほど置くと水分が浮き出るので拭き取る(臭み抜き)
- そのままコンロで両面を焼く
- 十分に火が通ったら手で触れる程度まで粗熱を取る
- 骨から身をはがしてほぐす 皮はそのままでOK
- トマトスライス、キュウリの千切りを用意して皿にしく
- 野菜の上にほぐしたサバの身をのせて市販のバンバンジーソースやごまだれをかけて完成
身は焼いてからほぐすので、三枚におろす手間は省けます。サバを油で揚げるのもいいですが、暑い時期の揚げ物は大変なので、夏におすすめしたいひんやりメニューです。
25センチサイズぐらいから一般的なサバ料理も
小サバのレシピを紹介してきましたが、25センチぐらいを超えるサイズなら一般的なサバのメニューとして知られる、鯖みそ、しめ鯖、塩焼きなんかに使えます。
サバは言わずと知れた大衆魚。様々なレシピが開発されている魚です。ネットでもいろいろなレシピが見つかりますがレシピ本も参考に。
いろいろな魚レシピ本を見てきましたが、料理も初心者レベルという人にはこの本がおすすめです。サバを含め、サビキで釣れるアジやイワシのレシピが豊富に掲載されています。
この本については詳しくまとめていますのでご参考に。
個人的な経験上、大阪湾の陸っぱりからこのサイズのサバが釣れるのは初夏と晩秋。特に晩秋はいわゆる”秋サバ”なんで味も保証付き。とはいえ相手は回遊魚なので確実に狙って釣るのはなかなか難しく、回遊情報に目を光らせて釣れてる場所に急いで行くのがセオリーかと思われます。
こちらは晩秋に釣った30センチほどのサバ。
大阪湾でも明石海峡付近から神戸付近に限定されてきますが、初夏にいわゆる”大サバ”が回遊してくるタイミングがあります。私は実際釣ったことがないのですが、40センチサイズが釣れるらしく脂ものっているようです。きちんと処理すれば刺身でもいけるらしく絶品だとか。憧れはあるのですが、混雑がイヤなので二の足を踏んでいる状況です。
釣り餌として利用する
冷凍しておいてタチウオの餌などに
釣れた小サバを釣り餌にすると言う選択肢も大いにアリです。小サバではなくもっと大きいサバを加工したものですが、サバの切り身って実際に釣り餌コーナーで売ってますからね。タチウオが釣れる時期には豊富に並んでいるはずです。
10センチ以下ぐらいの豆サバなら切り身にせずまるごとタチウオなどの餌に使えるので、塩で締めて水分を抜いてから冷凍しておくといいです。使いたいときにそのまますぐ使える餌となります。ウキ釣りの餌にもテンヤにも使えるはず。
夕まずめの釣りなら短冊状にしてガシラなどの餌に
タチウオ以外にも有効なのはガシラやアナゴ。
その日に釣れた小サバを短冊状の切り身にし、日が落ちて暗い時間になってからつけ餌にするとガシラやアナゴが狙えます。ガシラは明るい時間も狙えますが、暗い時間だと比較的大きいサイズが釣れやすい傾向にあります。切り身などの大きなエサを使えばなおさらサイズが良くなる傾向。
夕まずめ狙いの釣りで明るい時間から夜まで釣りをするのなら是非お試しください。保険として足元に適当に放り込んでおくだけで釣れる可能性があります。
この釣行時、その日に釣れたサバを短冊状の切り身にしてガシラを釣りました。釣りはこんな風にわらしべ長者的に楽しめたりするのも面白いところです。
サバによる食中毒を防ぐために
「サバの生き腐れ」とう言葉を聞いたことがないですか?サバは比較的鮮度が落ちやすかったり寄生虫が潜んでいる可能性が高い魚です。ゆえに食中毒の原因となりやすい。
しかし正しい知識をもっていれば、それを限りなく低い頻度に抑えることが出来ます。このことについて別途記事にまとめました。