人類が釣りというものを始めてから何千年経ったのか分かりませんが、21世紀に入った今もなお新しい釣り方が開発されています。
その結果、現代の釣具屋には膨大な種類の釣具が並んでいる状態。同じ魚を釣るにしてもエサで釣ったりルアーで釣ったり狙い方もさまざま。選べる楽しさがある反面、初心者が釣りを始めるにあたっての障壁になっているのも事実です。とにかく選択肢が多過ぎる。
そんな中、初心者が最初に選ぶべき釣りとは果たしてどんな釣りなんだろうか?
ここで私は断言します。初心者が最初に選ぶべき最初の釣りは「堤防釣り」だと。関西でいうところの「波止釣り」です。
そもそも堤防釣りとは何なのか、なぜ初心者におすすめなのか、どんな道具が必要なのか、どんな魚が釣れるのか。ひとつずつ解説します。
そもそも堤防釣りとは何なのか
釣りの名称はいろんな概念が混在している
調べてみましたが「堤防釣りとはすなわちこういうものである」という確固たる概念はないようなので、あくまで私の概念で説明させてもらいます。
陸から行う海釣りはなんらかの形で海の沿岸へ行きそこで竿を出すことになります。そこは砂浜かもしれません。岩がゴツゴツした磯かもしれません。
砂浜からやる釣りは”釣りの手法”をあらわす「投げ釣り」だったり、”対象魚”をあらわす「キス釣り」だったりします。一方で磯という”場所”からやるいろいろな釣りを総称して「磯釣り」と呼んだりします。釣りの名称は釣りの手法や場所を表すものなどが混在しているわけです。
では話を戻して「堤防釣り」とは何か?
堤防釣りは人工的な護岸でやる初心者向けの釣りの総称
私の概念でいう堤防は「人工的に作られた海の護岸施設」です。たとえばこんな風に海面から垂直に切り立ったコンクリートの護岸だったり。
あるいは港から伸びた細長い防波堤だったり。
それらの場所に共通して言えるのは足元付近からいきなり数メートル以上の深い水深があるということ。この水深が堤防釣りの肝といえる条件です。
そして堤防から出来る釣りは多岐に渡ります。小さなアジやサバを釣るライトな釣りもあれば、大きなルアーを投げて1メートル級のブリを狙うヘビーな釣りもある。
それらをすべてをまとめて堤防釣りと呼ぶとちょっと乱暴かもしれません。
なのでこの記事においては「人工的に作られた海の護岸施設から行う釣り」の中で、どちらかというと「手軽に出来る初心者向けの釣り」を総称して堤防釣りと呼ばせてもらいます。上級者の釣りにも対応するのが堤防釣りの奥深さですが、さしあたり初心者の釣りを中心に。
一般的な解釈もそれとあまり相違がないはず。
なぜ堤防釣りが初心者におすすめなのか
高い確率で魚が釣れるから
私は一応の釣り経験者として、初めて釣りをする人にはまず何かしらの魚を釣ってもらって釣りの楽しみを知ってもらいたいと日ごろから思っています。
例えば川釣りの多くはポイント選びを間違うとなかなか釣れません。ルアーで魚を釣るにも最低限のテクニック習得が必要となります。
その点において堤防釣りは、基本中の基本をおさえたうえで「場所」と「時期」さえ間違えなければ高確率で魚が釣れます。具体的に言えば、もともと釣り人の多い堤防で、6月から10月ぐらいの暖かい季節に釣りをする。これなら高確率で何かしらの魚が釣れます。
釣り人が多い堤防は、そもそも魚が釣れるから人が集まっている。6月から10月ぐらいの暖かい季節は、海に魚が多いから釣れやすい。
低いコストで始められるから
例えば船に乗って釣りをするとなれば釣り船の料金だけで1万円前後掛かりますし、道具を買わずにレンタルしたとしてもプラス数千円。買ったら当然もっと高い。
でも堤防釣りなら釣り場の料金がかからないことがほとんどですし、都市近郊にあるものなので交通費もしれています。電車で行けるところもあるでしょう。そしてとりあえずは安価な道具で始めることもできます。
実際に釣りをやってみたけど想像と違って自分には合っていなかったと感じても、お金をかけていないなら躊躇無くやめることができます。ぜひ続けて欲しいですけど、そういう選択もできる。
美味しく食べられる魚が釣れるから
堤防から釣れる代表的な魚は、回遊魚であるアジやサバやイワシ。
後ほど説明しますが、これらの魚がサビキ釣りという釣り方で簡単に、しかもたくさん釣れます。
アジサバイワシを知らない人はまずいないはず。
食卓でもお馴染みのあの魚たちを自分の手で釣ることができるんです。意外なほど大都市近郊の海で。しかも簡単に。そしてたくさん、ときに100匹を超える数を。
もちろん毒のある魚は食べられませんが、堤防から釣れる魚はだいたい美味しい魚ばかり。自分で釣った魚を自分で調理して自分で食べる。これ、最高の体験です。
一つの釣りに飽きても別の釣りができるから
先に書きましたが堤防釣りは特定の釣り方を指すのではなく、堤防という場所で行う釣りの総称です。
のちほど堤防で出来る釣りの中から初心者向けとしていくつかの釣り方を紹介しますが、それは堤防釣りのほんの一部です。堤防という釣り場は初心者からベテランまでを受け入れられる間口の広いフィールドといえます。
この記事では初心者向けの釣りを中心に堤防釣りを紹介しますが、堤防には上級者向けの釣りもたくさんあります。
釣りに慣れて余裕ができてきたら周囲を見渡してみてください。堤防を端から端まで歩いてみてください。自分の知らない釣りをして、自分の知らない魚を釣り上げている人がいるはずです。興味を持ったらその釣りにチャレンジすればいい。
最初に覚えた釣りに飽きてしまったとしても次の釣りがあなたを待っている。そう、堤防なら。
堤防釣りではどんな魚が釣れるのか
堤防からはどんな魚が釣れるのでしょうか?
釣れる魚は季節によって移り変わります。海は気温の影響を受けて冬は冷たく夏は温かい。海が温かい季節のほうが魚が釣れやすいということを知ってもらったうえで、季節ごとに釣れる魚をざっくりと紹介していきます。
あくまでここで紹介するのは大阪湾の例であり、地方によって釣れる魚やその季節が異なる点はご承知ください。
春に堤防から釣れる魚
はっきり言います。冬を越え暖かくなっていく春ですが、堤防では思ったほど魚が釣れません。
ゴールデンウィークなんて陽気に浮かれて釣りに行っちゃうかもしれませんが、海はまだまだ水温が低く寂しい状況です。全く釣れないまま帰路につく可能性も多分にあります。
本格的に釣れ始めるのはゴールデンウィークを過ぎてからで、季節が進むにつれ少しずつ回遊魚が釣れ始めます。まずはカタクチイワシなどのイワシ類が先陣を切って釣れ始め、次いで小さなサバが現れます。
そして5月が終わりを迎えるころにはアジが姿を現します。体長10センチほどの豆アジと呼ばれるサイズですが、南蛮漬けなどにすると美味しいので人気があります。この頃から堤防は釣り人で賑わい始めます。
夏に堤防から釣れる魚
梅雨が終わる気配が感じられるころ、いよいよ釣りシーズンが本番を迎えます。
堤防から狙える回遊魚が、種類、数ともにどんどん増えていきます。春の終わりごろから釣れていたアジサバイワシはちょっとずつサイズが大きくなってるはず。この時期からサヨリなんかも狙うことができます。
堤防近くの海底が砂地であれば投げ釣りでキス(シロギス)も狙えます。岸壁に潜んでいるタコを狙うこともできます。
とはいえ日中は容赦ない日差しと気温で危険ともいえますので、なるべく日の低い涼しい時間帯に釣りをすることをおすすめします。夏の夕暮れ、落ちていく日を眺めつつ風に吹かれながらする釣りは最高です!この時期は夜釣りも楽しいですね。
秋に堤防から釣れる魚
秋は海釣りのピークです。海釣りにはベストの時期。
とにかく釣れる魚種がたくさん。初夏から釣れているアジサバイワシなどの回遊魚は引き続き釣れつつサイズが大きくなっていきます。潮通しのいい、つまり潮の流れがいい場所だとアオリイカが釣れたりもします。カワハギが釣れるのも秋。
この時期大阪湾の堤防では朝夕と夜間にタチウオが釣れます。関西では人気ナンバーワンの海釣りターゲットで釣り場は大混雑。
近年の大阪湾は大型の青物が回遊してくるようになっていて、1メートルに迫るような大型のブリやサワラなんかも堤防から釣れたりします。
11月半ばぐらいまではこのフィーバーが続きます。秋はじっとしてられません!毎週いや毎日でも釣りに行きたい!堤防が俺を待ってる。
冬に堤防から釣れる魚
12月ぐらいになるとぐっと気温が下がって寒くなります。
でも年末年始を1ヵ月後に控えたぐらいの時期は意外とまだ海水が温かくて魚も釣れたりします。水は熱し難く冷め難いもの。これぐらいの時期に水汲みバケツで海水を汲んで手を入れるとほんのり温かみを感じるぐらい。
春に回遊し始めた回遊魚たちが食べごろサイズに成長し冬に向けて脂を蓄えるので、一年のうちでも美味しくいただける季節でもあります。
タチウオは1月の初めぐらいまで釣れ続けますし、局地的にサヨリやマイワシの回遊があって釣りシーズンの余韻が楽しめます。が、さすがに冬は冬。2月ぐらいになると海水温は一年のうちで最も低くなり、夏や秋はあんなに賑やかだった堤防から生き物の気配が消えます。
2月と3月は完全にオフシーズンと割り切りましょう。
一年を通して堤防で釣れる魚も
回遊魚を中心として季節ごとに釣れる魚を紹介してきましたが、一方で堤防の周囲からそれほど離れずに生息している魚もいます。居付きの魚と呼ばれたり根魚と呼ばれる魚の類です。
クロダイ(チヌ)やキビレ、スズキなどの大型魚、海底や岸壁の障害物に潜んでいるカサゴ(ガシラ)やアイナメなどの根魚は基本的に一年中釣れます。
釣れる魚の少ない冬はこれらの魚が相手をしてくれますが、やはり極寒の2月3月はなかなか釣るのが難しくなります。
堤防釣りにはどんな釣具が必要なのか
初心者セットも選択肢としては有りだけど
釣具屋の入り口付近には「初心者セット」的な、竿やリールや仕掛けが一通り揃ったセット商品がビニールのパックに入れられて売られていることがあります。
例えばこういうセット商品。
釣りに興味を持って釣具屋を覗かれたことがあるなら、これを買うのを検討されたこともあるはず。堤防釣りに必要な釣具や関連グッズがひとつにパッケージされていて、確かにこれとエサさえ用意すれば魚が釣れると思います。初心者の選択肢としては悪くないです。
しかしこの手のセットにはデメリットがあります。
ひとつは耐久性がないこと。2回3回と使い続けているうちに高確率でどこかにガタがきます。竿についているガイドが壊れたり、リールが壊れたり。安いんだから仕方ないといえば仕方ないです。
もうひとつは竿の長さが短いこと。上で紹介した商品は1.2メートル。たしかに短くて振り回す分には扱いやすいですが、海面まで高さのある堤防や長い仕掛けを使う場合は苦労するはずです。
激安セット商品を使うことについては別途詳しくまとめています。
もし今後の趣味にしようと堤防釣りから始めるのなら、できればあと数千円追加して少しだけいいものを買えば何倍も長く使えて結局お得だし、使いやすさという面でもちょっと長めの「磯竿」の方がいい。
そこで初心者におすすめする具体的な竿とリールを紹介します。
竿は長めの「磯竿」を選ぼう
堤防釣りの中でとりわけエサ釣りに使われるのは「磯竿」です。
磯じゃなくて堤防なのに「磯竿」っておかしくない?と思われるかもしれませんが、そういうもんだと思ってください。防波堤竿とか波止竿って銘打たれた竿が売られていることもありますが、磯竿の名前を読み替えただけです。基本構造は同じ。
長さは短いものでも3.6メートルぐらいから、長いものは5メートルを超えることも。この長さが役に立ちます。基本的に堤防は満潮時でも余裕のある高さで作られており、反対に干潮だと海面までかなり距離があることもあります。太平洋側の海峡付近だとなおさら。このとき長い磯竿が役に立ちます。
また、サビキ釣りなど堤防釣りに使う仕掛けは1メートル以上の長さになることもあるので、これも長い竿のほうが扱いやすいです。
このようなことを考慮して、なるべくいろいろな釣りに使えてリーズナブルな万能竿を別の記事で紹介しています。1本目の竿を検討中の初心者の方はぜひご覧ください。
エサ釣りもルアーもやりたい欲張りなあなたは
先ほど紹介した磯竿は基本的にエサ釣り専用の竿です。磯竿でルアーを扱おうとするのには構造上の限界があります。
でもできれば一本の竿でいろいろやってみたいですよね?そんなあなたにこの記事を送ります。
中でもおすすめなのはシマノのルアーマチックシリーズ。
本来ならエサ釣りはエサ釣り用の竿、ルアーを扱うならルアーロッドを使うのがベストです。それをふまえたうえでお選びください。
リールはスピニングリールを
釣具屋に行ってリールを検討した初心者の方、その種類の多さに圧倒されませんでしたか?選択肢多すぎますよね。
さきほど検討した磯竿にはスピニングリールというタイプのリールを取り付けることになりますが、その選択肢も膨大です。高いのから安いのまで、大きいのから小さいのまで。
そこで初心者が選ぶ一台目のリールとして、汎用的な、万能なリールを別の記事で紹介しています。
予算が3000円程度なら、こちらで紹介しているリールもおすすめ。
まず最低限の信頼性がある安いリールでいいのではないかというのが私の考え。安いリールでもシマノかダイワのリールを選べばまず間違いはありません。それ以外はちょっとギャンブル。
仕掛けは釣り方に応じて選ぶ
竿、リールときて、次はリールから出た糸に仕掛けを結ぶわけですが、これはその時する釣り方によってことなりますので後で説明します。
水汲みバケツは必需品
ビニール製のバケツにロープが付いた水汲みバケツ。実はこれ、堤防釣りの必須のアイテムです。
これを海に放り投げて海水を汲むわけです。
汲んだ海水は魚を一時的に活かすため、氷の入ったクーラーに入れて潮氷を作るため、地面を洗い流して掃除するため、など多方面で大活躍。安いものでもかまわないので必ず用意してください。
魚を食べるために持ち帰るなら必ずクーラーボックスを
堤防釣りに来る人の目的は人それぞれですが、最終的に釣った魚を食べるためという人が多いです。
新鮮なまま、そして安全に持ち帰るためにはクーラーボックスが必要。お試しで釣りをするなら発泡スチロールのケースでも構いませんが、やはりクーラーボクスを用意するのがセオリー。
クーラーボックスを使わずに常温のまま持ち帰ると食中毒の危険性が高まります。まずは安いものでもいいので、家に帰るまではしっかり冷やして持ち帰るのが大事です。
釣った魚を食べることによって起こりえる食中毒は、しっかり知っておいて欲しいと思い記事にまとめています。
食中毒と聞いて過度に恐れる必要はありません。
知識をつけてちゃんと気をつければ、ほとんどの魚は生で食べても大丈夫。自分で釣った魚の刺身を食べるのは最高の体験です!
魚を挟んでつかむヤツ
海で釣れる殆どの魚は、体表が粘液に覆われてネバネバしています。そしてそのネバネバは例外なく生臭い。直接掴んで何匹も処理していると、手の臭いがえらいことになります。それに直接手で触るとヒレやトゲが手に刺さって怪我をする場合も。ヒレに毒がある魚も普通に釣れるのでなおさら手で触るわけにはいきません。
そこで役に立つのがフィッシュグリップと呼ばれるもの。魚をつかむためのアイテムです。堤防釣りで小物を釣る場合に使いやすいのはトング形状のフィッシュグリップ。その中でもワニグリップミニがおすすめ。
フェンスが無ければ必ずライフジャケットを
堤防にもいろいろなタイプがありますが、殆どの場合は船をつけることを前提にしているのでフェンスがありません。足を踏み外したら海へ真っ逆さま。そして大概は垂直に切り立った壁があるばかりで上がってくる場所もありません。実は相当危険です。
なのでそういった釣り場では必ずライフジャケットを身につけるようにしましょう。もちろん自分自身の身を守るため、家族の身を守るため、そして周りに迷惑を掛けないためにも必要です。
初心者におすすめする堤防釣り
「サビキ釣り」で回遊魚を狙う
堤防で釣れる最も代表的な魚は、アジ、サバ、イワシ。
これらは回遊魚で、背中が青い青魚に分類されています。これらの青魚を簡単に、そして効率的に釣るための仕掛けが「サビキ仕掛け」。
一つの仕掛けに針が6本ほどついていて、それぞれの針にゴムや魚の皮で出来た疑似餌が取り付けられています。アミエビという小さなエビを撒くことで魚を寄せ、その疑似餌がついた針に食いつかせます。
そこに魚さえ泳いでいれば、驚くほど簡単に釣れる釣り方です。堤防で初めてする釣りとしてはこのサビキ釣りをおすすめします。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
サビキ仕掛けは青魚以外もあらゆる魚が釣れる可能性があります。万能な仕掛けといえます。
「ちょい投げ」で底の魚を狙う
堤防の付近で主に海底に生息している魚がいます。
たとえばキス(シロギス)、カレイ、カサゴ(ガシラ)、アイナメなどの魚。だいたい茶色っぽくて身が白身の魚。サビキでよく釣れる青魚とまるで体形や色が違いますが、主に活動しているところが茶色い岩や砂の上なので保護色ってわけですね。天ぷらにすると美味しい系の魚たちです。
さきほど紹介したサビキは海の表層から底付近を狙うことができますが、海底を狙うのには適していません。そこで有効なのが投げ釣り仕掛け。天秤と呼ばれるオモリがついた釣具に何本かの針が付いた仕掛けをつけて沖に投げるので投げ釣りといいます。
本気の投げ釣りは砂浜から仕掛けを100メートル以上もぶっ飛ばすアスリート的な側面がありますが、堤防からの投げ釣りは軽くちょいっと数十メートル飛ばすだけのライトな投げ釣り。誰が名づけたか「ちょい投げ」と呼ばれています。
天秤はその地方や対象魚によっていろいろなタイプがありますが、初心者におすすめなのがこのエアシンカー。根掛かり、つまり海底に仕掛けが引っ掛かる可能性が少なくなる構造になっています。
そこにこういった投げ仕掛けを取り付けます。
その仕掛けの針につけるのは、イソメやゴカイと呼ばれるエサ。ミミズみたいなニョロニョロ系のエサなので抵抗感はあるかもしれませんが頑張ってください!実はヤツら、指に噛み付いたりもしてくるんですが頑張ってください!
サビキと同じように、ちょい投げも多種多様な魚が釣れてきます。エサが豊富なせいか、意外と海底でウロウロしている魚は多いようです。先ほど挙げた魚以外でも思わぬ大物がかかることもあるのがちょい投げの面白いところ。鯛なんかの高級魚が釣れる可能性も十分にありますよ。
対象魚にあわせた釣りもいろいろ
サビキ釣りもちょい投げ釣りも、誤解を恐れずに言えば「釣れるものは何でも釣ってしまえ」という釣りです。いわゆる五目釣りという、特定の魚種ではなくいろいろな魚種を狙う釣りです。そこが楽しい釣りです。
一方で特定の魚種に絞った釣り方もあります。
例えば夏以降に狙えるサヨリ。海の中でも表層を泳いでいることから、サヨリ釣り独特の仕掛けを使って釣ります。仕掛けの投入からアタリの確認、魚の取り込みまでが海面で行われるので目で見て楽しむことができる釣りです。
そして秋の堤防の主役ともいえるタチウオ。こちらもフィッシュイーター(小魚を捕食する魚)であるタチウオの習性に合わせた仕掛けと釣り方があります。特にタチウオはいろいろな狙い方で釣ることが出来ます。
堤防で釣った魚は自分で料理して食べよう
自分さばいて料理してみませんか?
自分自身で魚を捌いて料理するなんてとんでもない!自分にできるわけがない!そう思うのは決して間違っていないです。かつての私もそうでした。料理は家族に丸投げ。
でもまあ、毎回毎回家族にまかせるわけにもいかず、少しずつ料理を学んでいき、いまでは大概の魚を捌けるようになりました。その魚を見れば最適な料理法が頭に浮かんでくるように。
料理はとにかくチャレンジと失敗を繰り返すことだと思います。やってみれば意外と簡単だし、失敗してもまた釣ればいいのです。自分で釣った魚を自分で食べるというのは格別な体験だと思います。自分で釣った魚は本当に美味い。
釣った魚の持ち帰り方
釣り上げた魚はなるべく新鮮なまま持ち帰りたいところ。そこでクーラーボックスが必要になるわけですが、堤防で釣れるような小魚は「氷締め」という方法で締めて持ち帰るのが最適。氷でキンキンに冷やした海水に魚を浸して持ち帰る方法です。
こちらで詳しく解説しています。
より美味しく食べるためにも、食中毒予防のためにも重要です。
堤防釣りは都市部だからこそ盛んな釣り
堤防釣りは人工海岸でやる釣り
今や都市部の海岸は、ほとんどが人工的に作られた海岸です。
例えば大阪湾の沿岸は総延長237.7キロ。そのうち人工海岸が占める割合が実に94.6%。人の手が加えられていない自然海岸はわずか0.8%で、ありのままに残された海岸はなんと1.9キロだけになっているそうです。
人工海岸の多くはコンクリートなどで固められた人工的な護岸。特に大阪湾の中部から北部は高度経済成長期以降に沿岸が埋め立てられてできた人工海岸、そして山や海底から土砂を運んで出来た人工島ばかりです。
自然を代償にして色々な魚が狙えるようになった
しかし埋め立てられたことによって堤防ができました。
そして昔は船を出さないと辿りつけなかった水深の深い釣り場へ簡単にアクセスできるようになりました。そして次第に堤防釣りが盛んになっていき今に至ると。
自然が少なくなったことと引き換えに多種多様な魚が陸から狙えるようになったという、なんとも皮肉な話です。このあたりの経緯は、釣具メーカーのハヤブサが運営するホームページで説明されています。
大阪湾における波止サビキのルーツが語られている大変面白い記事でした。
なにはともあれ堤防釣りを楽しもう
とにかく現代に生きる我々は高度経済成長の恩恵を受けて手軽に堤防釣りができるようになったというわけです。単純に両手をあげて喜べる話ではなく未来に向けて考えるべきこともたくさんあります。しかしまずはそれを受け入れて堤防釣りを楽しみたいところ。
週末、釣具を持って堤防へ出かけてみましょう。きっと新しい世界が開けるはずです。この記事がそのきっかけになればと思います。