沖堤防って怖くないですか?
ガチの人が行くところで初心者は邪魔者扱いされそう。ローカルルールがあって一見さんに厳しそう。よく分からないけどなんか怖い。かくいう私もそうでした。
でも関西にはいろいろな釣り人を受け入れてくれる懐の広い沖堤防があります。それがムコイチこと武庫川一文字。関西で海釣りをするなら必ず耳にするであろう超メジャーな釣り場です。
沖堤防デビューをしたいと考えてるあなた、ムコイチでそれを叶えてみましょう。怖くないよ武庫川一文字。
武庫川一文字へ渡してくれる渡船について
武庫川一文字は文字通り武庫川河口の沖に浮かぶ、横一文字型の堤防です。
数百人が同時に釣りをすることができる巨大釣り場
東西約4.5キロという長大な堤防で、数百人の釣り人が同時に竿を出すことができる超巨大釣り場。釣り公園などを含めても、これだけ広大でたくさんの人を収容できる釣り施設はなかなかありません。
もちろん本来は釣り施設ではなく阪神間の沿岸を波から守るための堤防です。航空写真を確認する限り、できたのはおそらく1970年代末期。いつから釣り用途で使われるようになったのか分かりませんが、1980年代半ばには「ムコイチ」の愛称で広く名が知られていました。
1995年の阪神大震災で被害を受け「本体沈下1~2メートル」という記録があるので、その際に補修が行われつつ44年ほど経過していることになります。
渡船を利用して堤防へ渡る
沖合数キロの場所にあるので陸から堤防までは必ず渡船を利用することになります。自前のボートなどで勝手に渡っちゃいけません。
3つの渡船
2022年現在で渡船業者は、久保渡船、武庫川渡船、西野渡船の3つ。
※2023年の春ぐらいから久保渡船のホームページは閲覧できなくなっているようです
長い堤防をおおよそ500メートルごとに区切って1番から9番までの番号が振られており、それぞれの渡船業者のナワバリが設定されています。うっかり越境すると怒られるので気を付けましょう。ちゃんと看板が設置されているのですぐ分かると思います。
この記事では最も運営規模の大きな武庫川渡船での利用を前提として書いていきます。その担当区域は2番から6番までとなっており、上に掲載したマップのオレンジ色がそれに該当します。
厳しい安全管理基準が設定されている
安全管理のため天候による出航中止基準が設定されており、アップデートを重ねてより厳格になっています。正直かなり厳しいルールです。渡ろうと思ってたのに断念せざるを得ないことになるのは日常茶飯事。
協同組合という枠で決めたルールのようなので、3社の渡船が同じ基準で運用しているものと思われます。
きびしい渡船中止の基準
波浪注意報などが出されている場合はもちろん出船中止。波高が1メートルを超える予報があれば半夜営業中止や営業時間短縮。天候が急変して風や波が強くなったり落雷発生の予兆があれば強制引き上げ。
天候が気になる場合は事前に気象庁の警報注意報を確認しておくと目安になるはず。
なお、多少の雨であれば出船します。雷や風さえ強くなければ。
実際に釣りをしてると「まだ全然大丈夫じゃない?」と思うような状況でも引き上げになることがあります。引き上げを周知させるための黄色い回転ランプを回した船を見るとがっかりしますが、見方を変えれば天候急変による危険を未然に回避してくれるという安心感につながります。
営業日が減ることで経営の首を締めかねない厳しいルールを自らに課しているわけですが、それよりも安全を優先するという姿勢は信用に値するものだと思います。
営業時間や料金は渡船業者により異なる
早朝の渡船時間は早い時期で”原則5時”から。しかし繁忙期は前倒しになるのが通例。
そして引き上げ時間はタチウオが釣れる秋の時期で最終21時まで。これも季節や釣れ具合によって変わります。タチウオが不漁だった2022年や2023年は最長でも20時でした。
営業時間や料金は渡船業者により異なる
ここに書いた営業時間はあくまで目安であり、時期や天候、渡船業者により異なります。必要に応じて渡船業者にご確認ください。念のため書いておきますが夜通しの釣りはできません。
渡船に必要な料金も業者により異なりますが、おおよそ2000円台後半。昨今の物価燃料費高騰で変更になることもあるのでこちらも各業者のホームページ等をご確認ください。この料金は武庫川一文字への送りだけではなく迎えの料金も含まれた往復料金なのでご心配なく。
この料金設定について高いと思うか安いと思うかは人それぞれですが、ちょっとした船旅をしつつ非日常的な場所に連れて行ってくれ、今や阪神間では貴重になった”堂々と釣りができる波止”で何時間でも釣りができる…と考えれば適正価格かなと私は思います。そりゃ10年前に比べたらずいぶん高くなりましたが。
この記事では武庫川渡船の利用を前提に
先にも書きましたが、この記事では3つの渡船業者の中でも武庫川渡船での渡堤を前提にして書きます。
ユーザーフレンドリーな渡船業者
私自身がそこしか利用していないということもありますが、3つの渡船の中でもっとも規模が大きくサービスも充実しており、初心者にも利用しやすい環境が整っているからです。ホームページやSNS等での情報発信も活発で身近に感じやすいはず。
武庫川一文字は釣り禁止なのか?
昨今、全国的に問題になっている釣り禁止事情から、武庫川一文字についても噂が飛び交うことがあります。
「実は立ち入り禁止でグレーゾーン運営なのでは?」「そのうち禁止になるかもしれないって噂を聞いたことあるぞ?」などなど。
これに関してしっかりと事情を把握できているわけではありませんが、尼崎市のふるさと納税返礼品として武庫川渡船の利用券が設定されているぐらいなので、少なくとも行政との関係は良好といえます。
また、2018年の台風で高潮被害を受けた対策として、船着き場周辺を含む武庫川河口域一帯の堤防嵩上げ工事が行われています。今までの倍近い高さの堤防になるのですが、嵩上げ工事と同時に武庫川渡船専用の階段が設置されました。設計段階から設置を想定してないと作れない常設の階段です。
ついでに書くなら、武庫川渡船の駐車場も「尼崎市立魚つり公園駐車場」という名前で公営施設の駐車場です。れっきとした市営駐車場だったはず。そしてその敷地内に武庫川渡船の受付や売店があります。
ここまで行政とのつながりが確認できている以上、近隣の某市のように「実は暗黙の了解で見逃されてるだけだった」なんてことは考えにくいわけで、ひとまず安心していいのではないかと思います。
初めての人にありがちな不安を解消しよう
さて、この記事は「ムコイチに行ってみたいけどなんかちょっと怖い」という不安を解消することを目的としています。大丈夫です、私も初めて一人で行くときは勇気をふりしぼりましたから。
よくある不安はこんなところではないでしょうか?
うんうん、そうだよな。分かるぞ。
そもそもこれは私自身がムコイチ童貞だったときに感じてた不安です。経験者なら取るに足らない懸念ですが、ここでひとつずつ解決してきましょう。
初心者が釣りをしたら邪魔者扱いされそう
「ムコイチって釣り名人みたいな人が行くところなんでしょ?初心者丸出して素人な釣りをしてたら舌打ちとかされるんでしょ?」
んなことはない。お子さんと家族連れでサビキ釣りをしているグループも当たり前に居ますし、老夫婦が肩を並べてのんびりと釣りをされている光景もよく見ます。広大な釣り場で皆さんそれぞれ思い思いに好きな釣りをしているだけです。他人のことなんか気にしちゃいません。
もちろん人の釣りを邪魔するようなことをすれば舌打ちのひとつもあるでしょうが、それはどこの釣り場とて同じです。そういった意味でムコイチは何ら特別な釣り場ではありません。
空いてるエリアを選ぼう
それでもなんか怖い、キャストミスして迷惑をかけたくない、大物が釣れた時のやり取りに不安がある。そんな場合は6番などの西側より2番などの東側を選ぶといいでしょう。
近年のショアジギングブームで5番や6番はヒュンヒュンとルアーが飛び交う戦場になっていますが、2番や3番はのんびりとサビキをする人やチヌ釣りで移動しながら釣りをしている人が多い傾向です。お隣との間隔も広くとれる場合が多い。
2番などの東側は武庫川と淀川という大河川、そして意外と流入量の多い神崎川の河口に近いため大雨のあとなど増水時に悪影響を受けやすいといえます。そのため天候の影響によっては5番や6番より釣果が落ちる日があり得るのは事実ですが、通常時はちゃんと青物もタチウオも釣れます。
釣果情報はあくまで参考に
5番や6番は人が人を呼び釣果を呼ぶ、そしてまた人を呼ぶというサイクルが成立しており、そう考えれば釣果が良く見えるのは当然といえます。ただ、それほど必死になって固執する必要もないと思うので、私はのんびりと2番で釣りをすることが多いです。朝マズメの狂騒は加熱し過ぎ。
また、2番付近に比べて6番付近は水面から堤防までの高さが低くなっており、初秋など潮位が高くなりやすい時期は波が上がってくることがあります。風向きによっては荷物が波にさらわれてしまうおそれもあり注意が必要です。そうなりそうなタイミングなら事前に知らせてくれるとは思いますが。
厳しいローカルルールがあって怖そう
「常連の間で暗黙のルールがあって、知らずにそのルールを破ると舌打ちとかされるんでしょ?〇〇会みたいな釣りチームが実質的に仕切ってたりするんでしょ?」
んなわけない。例えばわずか数十人しか釣りができないような狭い釣り場ならそういうことも起こりやすいでしょうし、実際そうなってる釣り場をご存知かもしれない。
みなそれぞれの釣りをしているだけ
しかしムコイチは超巨大な釣り場です。確かにいつもお見かけする常連さんというのはいらっしゃいますしチームもありますが、各自が各自の釣りに集中しているだけです。他人にとやかく口出しする暇人はそうそういません。
そりゃ迷惑をかければ怒られるでしょうが、それはやはりどこの釣り場でも同じ。
暗黙のルールとして思いつくのはひとつぐらい。堤防外側の高くなった場所に上がるためのハシゴが数メートルおきに設置されているのですが、ひとりあたりひとつだけハシゴが専有できるということぐらいです。
全てのハシゴが埋まっている状態でハシゴとハシゴの間に入り込んでくる人がいれば「なんだコイツ?」という雰囲気にはなるでしょう。
一定のパーソナルスペースが確保できる
ただこのルールがあることで一定のパーソナルスペースが確保できるため、混雑する波止で起こりがちな対人トラブルが発生しにくくなっています。タチウオが釣れてる時期の地続きの波止は、トラブルで怒号が聞こえることなんてよくありますから…
外側はひとりあたりハシゴひとつ、そしてその背後にある内側も自分のテリトリーだとはいえます。しかし内側は比較的フリーダムに移動して釣りをしていい雰囲気がありますので、あまり厳密に気にしないでいいしするべきではないでしょう。ハシゴは一人一本ということ自体、公式にアナウンスされているルールかと言えばそうでもないですし。
もちろん釣りそのものにある暗黙のルールなどは別途考慮する必要があると思います。
混雑して釣りがしにくそう
ムコイチといえば混雑しているという先入観があるかもしれません。
例えばこのスポーツ新聞の記事に載っている画像は、人がギッチギチになって釣りをしている様子が写っています。(時間経過で記事が消えていたらすいません)
でもこれは撮影手法による強調した表現。遠くにあるはずの神戸港のクレーンが間近に見えることから分かるように、望遠レンズによる圧縮効果というやつです。実際はそんなに詰まっていません。
私がムコイチに通う理由の一つは「空いていてストレスなく釣りができるから」です。
十分なスペースが確保できる
先に暗黙のルールとしてハシゴは一人ひとつというのを書きました。ハシゴの間隔は場所によって多少ばらつきがありますが、おおよそ10メートル前後。どんなに混んでいてもこれ以下になることはありません。
10メートルという距離が十分に広いかというとおまつりも発生しうる距離感ですが、かと言ってストレスを感じるほどの狭さでもありません。釣り公園や地続きの波止で横と10メートルも間隔が空いてるなんてことは、少なくともハイシーズンの京阪神においてあり得ないわけで。
また、非常時において安全に引き上げができるようにするため、収容人数の限界を超えて波止に渡すということもしません。
以前は朝まずめを狙うなら前日から並ばないと渡堤の機会すら危ぶまれるというクレイジーでカオスな事態になっていましたが、今は繁忙期に導入される予約制度のおかげで予約さえとれれば必ず渡れますし、こだわらなければ場所も確保できます。
ムコイチが混雑するタイミング
それでも混雑を避けたいというのであれば、以下のタイミングには行かないようにしましょう。
逆に上記以外のタイミングだと基本はガラガラと言っても差し支えありません。特に午後から、とりわけ平日の午後であれば、気がつくと左右100メートルぐらい誰もいないなんてこともよくあります。
朝イチじゃなくても青物は釣れる
さらに最終便に近い時間帯になると、不安になるレベルで人が居なくなることも。下の写真は青物が釣れていない7月平日の夕方に撮ったものですが、目視できる数百メートル先まで誰もいません。よもや取り残されたのかと心細くなるほど。
というわけで広い場所を取ってのびのびと釣りをしたいなら午後からの釣行、とりわけ番号が若い2番などの釣り場を選ぶのががおすすめ。午後からでも青物は釣れます。左右が空いていればドラグを緩めて思う存分走らせたやり取りを楽しめます。
また、マアジやガシラを釣るなら日没前後がベストタイミングになることもあります。
ショアジギングブームで青物ばかりが注目されがちですが、本来波止という場所はバラエティ豊かなターゲットが狙える懐の深い釣り場のはず。豆アジだろうがイワシだろうが何を狙ったっていいんです。ショアジギング勢が深夜から車列を作ったり、混み合った波止で夜明けから釣りをする光景はひとつの側面に過ぎません。
ただ、夏から初秋にかけては夕方に向けて天候が崩れることがよくあります。突然のゲリラ豪雨に見舞われたり強風が吹きだしたり。その場合は渡堤していても強制的に戻らされることがありますし、午後からは渡船が出ないということもままあります。そのあたりは考慮したうえで計画を立てましょう。
堤防が高くて怖い 落ちたらどうしよう
ムコイチは南向きに面した外側、そして北向きに面した内側があり、どちらからでも釣りをすることができます。
外側は内側より2メートルほど高くなっており、大潮の干潮時で水面まで5メートルぐらいの距離があります。普段の生活においてフェンスが無い状態でこの高さに立つことはそうそうないはず。怖いなと思うのは当然です。おまけに足元の幅は1メートルもない狭さなので、キャストした勢いで落ちそう…
外側のほうが釣果がいい傾向はある
しかし基本的には外側のほうが青物やタチウオの釣果が良い傾向にあり、それらを狙うなら外側に立つことは避けられません。高いところは怖い…でもこれは慣れるしかないです。私も最初はビクビクしながらへっぴり腰でキャストをしていましたが、もう慣れてしまいました。
やっぱり高いところは苦手、それなら内側を選択するのも間違っていません。青物などは狙いにくくなりますが、サビキで狙うアジやイワシ、ガシラなどの根魚、チヌなどは内側のほうが釣れてることも多いです。内側は足場が広いし海面まで近いのでお子さんでも問題ないでしょう。
11月後半ぐらいの晩秋になると、内側でのノマセ釣りで青物の釣果が増えてきます。
万が一を想定しておく
なお、外側に落水してしまった場合は自力で登るどころか満足につかまる場所さえありません。
そのため当然ながらライフジャケットが必須です。堤防に着いたら脱いでる人も見かけますが、命の危険と多大な迷惑をかける可能性があると自覚してください。運営の指導に従わない場合は強制退去もありえます。
落水時の救助を考慮して、いくつかの個所に浮き輪や縄梯子などが設置されています。武庫川渡船のブログで使い方を説明されていますので、ぜひ目を通しておきましょう。
内側なら船着き場に海面へつながる階段が設置されているので、万が一落水しても数百メートル泳げば登ってこれないことはないです。だからといって落ちていいわけではないですが。
津波がきたらどうしよう
将来的に高確率で発生する南海トラフ地震の津波も不安要素です。40年以内に90%の確率で発生するとされているので、近いうちに来る、明日にでも来る可能性があるという前提でいるべきなのですが、あんな逃げ場のない場所で津波に襲われたらひとたまりもありません。
津波を想定した運営がされれている
しかし、尼崎までの津波到達が地震から2時間という前提で収容人数や渡船の運用が考慮されているようで、ブログにその旨の記載があります。(関心の高いトピックだからちゃんとまとめてホームページに記載したらいいのになあ)
大地震が発生しても1時間あれば陸に戻れるという体制が整っている。それなら万が一のときも落ち着いて行動できるでしょう。併せて受け付け周辺の浸水域も把握しておくととさらに安心。
2023年現在はまだ工事中ですが、武庫川河口域周辺は堤防の嵩上げ工事が行われています。以前の風景を知っているならその堤防の高さに驚くはず。基本は高潮対策であり津波を想定してるのかは分かりませんが、以前より安全性は高まるはずです。
トイレに行きたくなったどうしよう
これだけ大規模な渡船屋だから堤防の上に仮設トイレぐらい設置してあるだろう。
そんな期待をしてしまいますが残念ながらそれはありません。必然的に波を受ける施設ですから、そんな構造物を設置してもすぐ海に破壊されてしまいます。同じ理由で飲み物の自販機設置なんてのも有り得ないわけです。
定期船のトイレが利用できる
しかし、定期的にやってくる渡船内のトイレを利用することが可能です。我慢する必要はありません。
基本的に一時間に一回の頻度で送り迎えの船がきます。トイレは迎え便の際に利用できます。必ず船長に一声かけてから渡船後方のトイレを利用するようにしましょう。終わるまでその乗り場で待っていてくれます。声をかけて存在をアピールしないと、用を足している間に船が離岸してしまうおそれがあります。
船にトイレは二つ、男女別に分けてあるので女性でも安心です。真水の出る手洗い場もあります。
乗船から帰りまでの流れを解説
ここからは実際に「武庫川渡船」で武庫川一文字へ渡る際の流れを丁寧に解説していきます。
武庫川渡船利用の流れ
まずはざっくりと流れを把握しておきましょう。
- 乗船名簿乗船名簿に必要事項を記入する
売店横に備え付けの乗船名簿か、ホームページにある乗船名簿を印刷して必要事項を記入
- 受付受付で料金を支払う
記入した乗船名簿を提出して料金を払い番号札を受け取る
- 船着き場へ移動船着き場へ移動して乗船準備
道具を持って船着き場へ移動しライフジャケットなどを準備
- 送り便への乗船渡船に乗船する
乗船したらクーラーボックスやタックルボックスなどの荷物を渡船の中央付近に置き、ロッドなどの荷物は携行して空いた席に座る
- 下船降りたい釣り場に着いたら下船する
降りたい釣り場に着岸したら素早く下船 事前に船長から下船する場所を尋ねられることもあるので予め降りる釣り場を決めておく
- 釣り場確保空いているハシゴを見つけて釣り場を確保する
誰も使っていないハシゴをみつけて場所を確保 あとは釣るだけ
- 渡堤中の渡船利用迎え便を利用してトイレや販売を利用
1時間ごとに来る迎え便でトイレ利用が可能 簡単な軽食などの売店としても利用できる
- 帰り便への乗船帰りたいときに迎え便の渡船に乗船する
1時間ごとに来る迎え便を船着き場で待って乗船
- 下船番号札を返却
陸側の船着き場に戻ったら受付で渡された番号札を返却 これで下船の手続き終了
- 釣果確認受け付けに釣果を報告したりしなかったり
必要に応じて受け付けで釣果報告したり他人の釣果を確認したりしつつ帰宅
各フェーズごとに詳しく解説していきます。
受け付けをする
武庫川渡船の売店についたらまず乗船名簿に必要事項を記入します。乗船名簿は売店横のスペースに備え付けてあります。
ホームページから印刷することもできるので、プリンタがあるなら印刷して予め記入して持っていくと受け付けがスムーズ。
アプリをダウンロードしておこう
と、ここで話が前後してしまいますが、予めスマホに武庫川渡船のアプリをダウンロードしておきましょう。
従来は紙製のポイントカード兼会員証が使われていましたが、今後は基本的にアプリがベースになるようです。
乗船名簿には会員番号の記入スペースがありますが、アプリを利用する場合はアプリ内に表示される会員IDを記入することになります。
名簿が記入出来たらすぐ横の売店に受け付けがあるので乗船名簿を渡して料金を支払います。アプリのポイントもここで追加できます。引き換えに番号札をもらうので、最後まで大切に持っておいてください。これは釣りが終わって下船するときに返却する大事なものです。
朝イチの予約をしている場合はスタッフの指示に従ってください。朝イチの時間以外なら予約は不要です。というか朝イチ以外は予約できません。
受け付けが終わったら次の船が出る時間を教えてくれるので、遅れないように船着き場に向かいます。基本は毎時0分の出船ですが例外もあります。もうすぐ船が出るから走って!と言われることもあるので、釣具はすべて持っていってから受け付けをするようにしましょう。売店横には道具を置けるスペースが十分にあります。
入場制限がかかっているときは
春と秋のハイシーズンは満員御礼でオープン直後から入場制限がかかることがあります。その場合は受付停止でいったん待機となります。整理券が配られることもあるので売店周辺で待つようにしましょう。なんとなく待機列ができてると思います。
入場制限がかかっていても、朝11時ぐらいから売店周辺に居れば渡堤できることがほとんど。朝イチから夜まで通しで頑張る人はそう多くなく、昼ごろにはトボトボと疲れて帰ってくる人が増えるからです。ただ、タチウオの時期は朝から夜まで通しで頑張る人も増えるので確実なことはいえません。渡船屋に聞いてもはっきりした答えはもらえないでしょう。
なお、迎えのキャパシティに余裕をもたせるためか、例えば朝イチで渡った人が100人帰ってきたらまた100人を補充する…というわけではないようです。どんどん帰ってきてるのになんで渡してくれないの?とゴネてはいけません。
また午後以降から強風など荒天が予想される場合は渡しが打ち切られて受付終了になる場合もあります。こればっかりは仕方ないので諦めましょう。すぐ近くの釣り公園なら多少の荒天でも営業してるのでそちらに行くという選択もあり。
渡船に乗船する
準備ができたら少し離れた船着き場へ向かいます。
荷物は崩れないように注意
高さのある堤防を狭くて急な階段で越えるため、キャリーにまとめていると手こずります。キャリーへの固定が甘く、桟橋でタックルボックスやクーラーの中身をぶちまけてしまう人もたまに見かけます。私はキャリーでの移動はあきらめ、手持ちか肩掛けで荷物を運んでいます。
ライフジャケットを装着する
船着き場にはライフジャケットが用意されているので、レンタルする場合はそこで受け取って必ず「正しく」装着しましょう。
子供用のライフジャケットを大人が間違って装着してしまっているのを稀に見かけるので、間違えないようしっかり選んでください。いざというとき浮力が足りないので危険です。
自前で用意する場合は2022年から桜マークかCSマーク付きのライフジャケットが必須となっています。(※これも正確な情報をホームページに書いとけばいいのにと思ったり)
レンタルのものは分厚い浮力体があって動きにくく暑いので、気になるようであれば膨張式ライフジャケットの購入をおすすめします。マーク付きの膨張式ライフジャケットは高いですが命にはかえられません。
乗船する
停泊している船には必ず船長の指示に従って乗船します。
ここから先、船長の指示は絶対です。
ときには高圧的に感じることもあるかもしれませんが、命を預かる責任を持った上でのことです。実際そんな理不尽なことを言われることはなく優しい方ばかりなので、分からないことがあればどんどん聞きましょう。
乗船したら、クーラーボックスやタックルボックスなどのかさばる荷物を船の前方中央付近に固めて置きます。ロッドケースや玉の柄など長尺ものと小さな荷物は手に持って、空いてる座席に座りましょう。後方には屋根のあるキャビンもあります。船べりの席は水しぶきがかかったりしますがそれもまた一興。
持ち込み制限に注意する
混雑する時期は持ち込める荷物のサイズ等が制限されている場合があるので、ホームページなどの記述を確認するようにしましょう。2022年のハイシーズン以降はキャリーや底辺50センチ以上のクーラーを持ち込めないという、なかなか厳しい制限がかかるようになりました。
航行中は危険だし視界を妨げる原因になるので、立ち上がらず座ったまま海でも眺めておきましょう。同じく視界を妨げる原因となるので、暗い時間は必ずライト類を消しておくように。
基本的に2、3、4、5、6と番号の若い乗降場から順に寄って下船するので、2番で降りるつもりなら荷物も自分自身もなるべく船首に近い位置に置いておくと下船がスムーズ。
繁忙期は、東側の2、3、4番行き、西側5、6番行きという風に、2つの船に分かれて乗船する場合もあります。
下船して釣り場を確保する
一番近い2番には、出船からあっという間の5分足らずで到着します。
下船する場所を決めておく
前日に釣果が良かった場所に人が集まりがちなので、そのあたりも加味しながら降りる場所を決めます。初めてであれば空いていてスペースが確保できる場所を選ぶのもいいかもしれません。混雑具合も船内でアナウンスしてくれることがあります。
先ほども書きましたが、大河川の河口に近い2番などの東側は、大雨の後などに漂流ゴミや真水の流れ込みで悪影響を受けやすくなっています。またムコイチでは鬼門とされている東風も、淀川や武庫川河口付近の塩分濃度が低い海水を引き込みやすいので、東寄りになるほど影響を受ける可能性があります。
一方でチヌやシーバスなどはむしろこれが好条件になる場合もあります。いろいろな要素を加味して各自ご検討を。
さあいよいよ目的の降り場に着岸したら武庫川一文字に上陸です。
釣り場を確保する
ついに降り立った…と感慨にふけるのは後にして、まずは空いているハシゴを探して移動。やはり乗降場所に近いほど混雑しますが、探せば空いているハシゴが必ずあるはずなのでどんどん歩きましょう。
無事に空いてるハシゴを見つけて荷物を置いたらまずは渡堤ミッションコンプリート。あとは思う存分やりたい釣りを楽しんでください。他に空いてる場所が見つかれば徒歩での場所移動も可能です。船での移動はできません。
落ち着いたらハシゴを登って外側の堤防の高さと足場の狭さを確認しておきましょう。最初は怖くて足がすくむかもしれませんがすぐ慣れます。慣れないうちは海面の位置がはるか遠くに感じますが、干潮時でも6メートルの玉の柄が届きます。5.4メートルでもかがんで手を伸ばせばほとんどの場合ギリ大丈夫。
渡堤中も渡船のサービスが利用できる
送り便は2、3、4、5、6番の順に利用客を降ろしたのち反転して迎え便となり、5、4、3、2番の順に寄って帰り客を拾って行きます。この迎え便に一時乗船して以下のサービスを利用することができます。
トイレが利用できる
先ほども書きましたが、船の後方に男女別の水洗トイレが用意されています。
船内販売が利用できる
飲み物と軽食の船内販売も利用できます。
飲み物はお茶とかコーラとか。軽食はつまりカップラーメン。寒い時期に堤防の上で食べるカップ麺は格別。ノマセの釣りのシーズンなら活きアジを販売していることもあります。また、仕掛け等が足りなくなれば売店に電話して持ってきてもらうこともできるようです。
大物の預かりサービスが利用できる
大型の青物などクーラーに入りきらない大物が釣れた場合は、迎えの船に預けてから売店で保管してくれるサービスがあります。400円の有料サービスになりますが(2022年9月時点の料金)、しっかり冷やした状態で帰りまで保管してくれるので安心。持ち帰り時の氷の追加とサイズの計測もしてくれます。
混雑時は大型クーラーの持ち込みを禁止されている場合がありますので、安全かつ美味しく食べるためには積極的に利用するようにしましょう。大物が釣れたら数百円なんて気にならないはず。青物をストリンガーに吊るして長いこと海中に保管している人もいますが、水温が高い時期は傷んで味が落ちるし食中毒の危険も高まるのでおすすめできないです。
定期船が利用できるので初心者におすすめ
入場制限がかかって送る客がいない場合でも、1時間ごとに必ず迎え便として定期的に船が来るので安心(閑散期は要確認)。沖にいるからといって長時間トイレを我慢しないでいいし万が一飲み物がなくなっても大丈夫。
他の渡船にはなかなかないサービスであり、武庫川渡船を初心者におすすめできる大きな理由になります。
帰るときは迎えの船に乗るだけ
いっぱい釣れたしもう満足!もしくは釣れなくて飽きた…。「もう帰りたい」と思うタイミングはその日の状況で変わるでしょう。
でも受け付けのときに帰りの時間を伝えてない。どうすれば?
1時間ごと好きな時間に変えることが出来る
大丈夫。武庫川渡船なら1時間区切りで好きな時間に帰ることができます。
各乗降所で迎えの船を待って乗るだけです。2番で降りて3番から帰るというのもOK。早く帰りたいなら1時間で帰れますし、朝イチから最終まで残る場合でも連絡なしでOK。この自由な時間の選択が可能なのも規模の大きな渡船業者ならではといえいます。
なお、忘れ物をしたからといって一時的に陸に戻ることはできません。そりゃそうだろという感じですが、ある時から急に注意喚起されるようになりました。ゴネた人がいたのかも。
番号札を返却する
陸側の船着き場に戻ってきたら、最初の受け付けでもらった番号札を桟橋で待機しているスタッフに返却しましょう。この札で確実に堤防から帰ってきたか確認しているはずなので大事なものです。
船着き場の近くにゴミ箱が設置されているので、捨てるものがあればそこで遠慮なく捨てましょう。分別に気をつけて。
これにて渡船に関する手続きは全て終了。おつかれさまでした。
そのまま帰ってもよし。たくさん釣れたら売店に寄って釣果報告をするもよし。魚を預けているなら誇らしい気持ちで受け取りに行くもよし。他人の釣果報告を指をくわえて眺めるもよし。
ムコイチに渡堤して非日常を味わおう
ムコイチへの初めての釣行を考えている人のために、不安を解消して一歩踏み出すための内容をまとめました。
ムコイチは怖くありません。きっとあなたをやさしく迎えて入れてくれるはずです。
陸から遠く離れた沖で京阪神の街を眺めながらする内側の釣り、広い大阪湾を望みながら大海原にキャストする外側の釣り、どちらも地続きの波止ではなかなか味わえない釣りが楽しめます。日常から切り離された場所で非日常を堪能することができます。
私なんかはもう、渡堤してお昼ごはんにおにぎりを食べてるだけでワクワクしてしまいます。これで釣果が伴うなら渡船の料金なんて安いもの。
さあ、もう怖くない。あなたも武庫川一文字に渡ってみませんか?