始めて釣りをする人にとって、最初に選ぶべきリールの選択は困難を極めます。
選択肢が多すぎないですか?なんでこんなにいろんな種類のリールが売られているんですか?なんでこんなに値段の差があるのですか?安いのじゃだめなんですか?種類や値段が違うと何がどう違うのかーっ!
もちろん高いものを選べばそれ相応の性能や価値があります。でも最初からそんなにお金はかけられない。
安くていろいろな釣りに使えるリールは無いのだろうか…まかせてください!5,000円以内のリールしか持っていない安リール愛好家の私が、予算3,000円程度で買える万能リールを提案します。
安いリールと高いリールは何が違う?
この記事ではいわゆる「安いけどコストパフォーマンスの高いリール」を提案します。安くて使い物にならないリールをおすすめするつもりはありません。
では高いリールと安いリールを比べて何が違うのかというと、ざっくりこんなところです。
- 高いリールのほうが重量が軽い
- 高いリールのほうが巻き心地が軽くて滑らか
- 高いリールのほうが耐久性が高い
- 高いリールのほうがドラグ性能が優れている
重量が軽い
安いリールよりも軽量化できる設計になっていたり、よりいい素材やパーツを使っているたりするから、自ずと重量が軽くなります。リールが重くて良いことなんてまったくないから、軽いは正義。
巻き心地が軽くて滑らか
巻き心地の軽さ滑らかさ。
軽いから疲れないということより、これによってラインを通して手元に伝わる情報量が増えます。それは魚のアタリだったり潮の流れだったり障害物に触れた感触だったり。安いリールはギアのかみ合わせなどでハンドルにガタがあったりゴリゴリした巻心地になりがちで、それはノイズとなって手元に伝わります。そのノイズがラインを通して伝わる情報をかき消してしまうのです。
最安機と高級機を比べたら、ブラウン管テレビと4Kテレビぐらい情報の解像度差が出るといっても過言ではありません。
耐久性が高い
高いリールは防錆や防水の対策が強化されているので、安いリールに比べて壊れにくくなっています。安いリールは数回使っただけで巻き心地が重くなったりしがち。メンテナンスの方法を知っていれば対策はできますが、初心者にはちょっと厳しいかも。
ドラグ性能が優れている
ドラグというのは、強い力で引っ張られた際にリールの糸巻き部分(スプール)が回転してラインを送り出す機能。これによってラインが切れることを防ぎます。高いリールのほうがこの機能に優れています。
当たり前ですが、高いリールのほうが総じて優れています。安いリールはそこからなにかを犠牲にして価格を下げている。中にはそのせいで使い物にならないリールがあるのも事実ですが、この記事でおすすめするリールはちゃんと最低限の実用性があるリールなのでご心配なく。
最初は3大リールメーカーから選ぶべき
シマノ・ダイワ・アブガルシアのリールから選ぼう
まず最初にお伝えしたいことがあります。
初めて買うリールは、日本国内で販売をしている三大リールメーカー、シマノ、ダイワ、アブガルシアから選びましょう。
これらのメーカーから発売されている一番安いリールよりさらに安いリールも売ってますが、最初の一台だからこそ三大メーカーから選ぶべき。
それがなぜか説明させてください。
無銘の低価格リールは壊れやすい
Amazonなどのネットショップや釣具屋の実店舗などを覗くと、1000円台やそれ以下のリールが売られています。ほとんどは3大メーカー以外のよく分からないメーカーが発売しているもの。
それら全てを否定するつもりはありませんが、それらの低価格リールは総じて壊れやすく耐久性が低い。使っているうちにパーツが外れたり錆びたり動きが悪くなったり。多少知識があれば直したりメンテナンスをしたりすることで使い続けられますが、初めて使うリールならなかなか難しいこと。
三大メーカーのリールならサポート体制が整っている
その点、三大メーカーのリールなら、最低限の堅牢性と耐久性を持ち合わせています。
万が一故障してしまった場合も、釣具屋に持ち込んで修理を依頼することできます。少なくともメーカーが現役で販売している商品であればスペアのパーツが確保されているので、よっぽどのことがない限り修理することが可能。多少リールについて知識があれば、必要なパーツだけ取り寄せて自分で修理することもできます。
三大メーカー以外の低価格リールだとそう簡単にはいきません。
慣れていないから壊しやすい、ちゃんとメンテナンスができない。そんな初心者だからこそ、三大メーカーのリールから選ぶべきなのです。
まずは2500番のスピニングリールを選ぼう
リールの「番」ってなに?
リールにはいろいろなタイプがありますが、最初に使うリールは最もポピュラーなスピニングリールを選びましょう。
スピニングリールには「番手」と呼ばれる型番がついています。たとえばこのリールなら1000が番手。
多くのリールは、1000番ぐらいからおおよそ500番刻みで、5000番ぐらいまでのリールがラインナップされています。
この番手という数字、とりあえず大きくなればたくさんラインが巻けてパワーが強くなり、サイズも大きくなるとご理解ください。
メーカをまたいだ統一規格ではなく、同じ番手でもダイワのほうが大きかったりする場合がありますが、初心者が使うサイズならそれほど大きな差ではないという認識でいいかと。
2500番が最も万能に使える
そんな幅広くラインナップされた番手ですが、まだどんな釣りをするか分からない、いやどんな釣りでもやってみたいという初心者であれば、まずは万能に使える2500番を使うことをおすすめします。
2500番を買えば初心者向けの釣りに幅広く対応できます。たとえばこんな釣り。
- 堤防でアジやサバなどを釣るサビキ釣り
- テンヤを使ったタチウオの引き釣り
- 砂浜でキスなどを狙うちょい投げ釣り
- テトラの隙間などで根魚を狙う穴釣り
- 堤防の際などで根魚をねらう探り釣り
- アサリなどをエサにしたカワハギ釣り
- 魚の切り身などをエサにしたアナゴ釣り
- 生きた小魚をエサにしたのませ釣り
- ハゼ用天秤を投げるハゼ釣り
- シーバス用の各種ルアーを使ったシーバスフィッシング
- ワインド用のワームを使ったタチウオワインド
- 30グラムぐらいまでのメタルジグを使って青物などを釣るライトショアジギング
- 専用サビキとメタルジグを使ったジグサビキ
- エギを使ってアオリイカなどを狙うエギング
挙げればきりがないのでこのへんで。例えばメーター級に近い大物だと厳しいですが、まあだいたいのことはできます。初心者がやる釣りには十分でしょう。
初心者向け低価格リールには予めナイロンラインが巻かれている機種が多く、2500番ならだいたい2.5号か3号のナイロンラインが巻かれています。このラインも色々な釣りに使いまわせる万能サイズなライン。
初めてのリール選びに迷ったら重視すべきポイントを整理します。
- サイズは2500番を選ぶ
- 最初から巻いてある、もしくは新たに巻くラインはナイロンライン2.5号~3号を選ぶ
- 三大メーカーである、シマノ、ダイワ 、アブガルシアから選ぶ
まずはこれで間違いなし!ではそろそろ具体的なリールをメーカーごとに紹介していきましょう。
シマノの初心者用おすすめリール
シマノのおすすめは「FX」と「シエナ」
三大メーカーの中で初心者向けリールのラインナップが最も厚いシマノ。
その中で最も低価格なのが、2019年に新発売された「FX」というライン付きリールのシリーズです。
実売価格は2,000円台前半。この記事で紹介するリールの中では最もコストパフォーマンスに優れたリールといえます。
そしてFXの兄貴分といえるリールが「シエナ」。こちらも2019年に発売された新しいリールです。
実売価格は、FXより数百円だけ高くなります。
シマノの初心者向け低価格リールというと「アリビオ」という超ロングセラーモデルがあり、ここ数年常にAmazonのリール売り上げランキング一位をキープしていました。
しかしアリビオの2500番は既に廃番となっており、現段階(2020/04)では価格が高騰しています。わざわざ高い価格で古い機種を買う必要はありません。
その後継がFXとシエナという位置づけなので、この2つから選びましょう。
写真をしっかり見比べると分かりますが、FXとシエナは塗装こそ違えど使われているパーツや形状は全く同じ。では何が違うかといえば、この2点だけです。
- シエナの方が高級感を感じるカラーリングや塗装になっていること
- シエナの方がベアリングが1つ多いこと
塗装は性能に関係ないので、ポイントはベアリングの数の違い。ベアリングが多いと回転がスムーズになるわけですが、初めて使うリールならFXでも十分スムーズに感じるはずです。
ベアリングが一つ増えて価格差数百円。これをどうとるか。
初めて買うリールなら、ちょっとでも安いFXを選ぶのも正解だし、少しでも性能の良いシエナを選ぶのも正解。ぶっちゃけどっちでもいいと思いますので、デザインの好みで選んでもいいんじゃないでしょうか。
ルアーも本格的にやりたいなら「セドナ」
シマノの低価格リールは、安い順からFX→シエナ→ネクサーブときて、その次に「セドナ」というリールがあります。
今回の3,000円程度という基準からはちょっとオーバーしてしまいますが、エサ釣りとルアー釣り両方にチャレンジしてみたいなら、検討候補に入れてほしいリールです。
私もこれを使いルアーを投げてタチウオや青物を釣っていますが、この価格としては非常に完成度の高いリールになっています。FXやシエナを使い倒して力不足だなと感じたら検討してみてください。
ルアー専門にやるというのなら、PEラインが無駄なく巻けるシャロースプール搭載の2500Sがおすすめです。
ダイワの初心者用おすすめリール
ダイワのおすすめは「ワールドスピン」
先ほど紹介したシマノの一番安いリールであるFX。ダイワのリールでその位置づけなのがジョイナスです。
実売価格もほぼ同じ。しかしシマノのFXよりハンドルのがたつきが大きく、あんまりおすすめできないというのが正直なところ。サビキ釣りをするぐらいなら問題ないのですが。
ジョイナスの一つ上のランクになるワールドスピンなら大丈夫。
とはいえ、この価格帯のリールはシマノに比べるといまいちという印象です。基本性能もさることながら、特筆すべき点が見当たらないというのが実際のところ。
アブガルシアの初心者用おすすめリール
おすすめは「カーディナル2 SX」
アブガルシアのリールで最も低価格なシリーズがカーディナル2。
そのカーディナル2自体が3つのランクに分かれており、価格の安い順から、カーディナル2 S、カーディナル2 SX、カーディナル2 STX。
この中で私がおすすめしたいのは「カーディナル2 SX」です。
このリールにはシマノにもダイワにもない大きな特徴があります。それはスペアのスプールが付属していること。
これによって、標準のスプールにはルアー釣り用にPEラインを巻いて、スペアのスプールにはエサ釣り用のナイロンラインを巻いておくというような使い方ができます。どちらか専用に使うにしても、ライントラブルが起きたとき用に同じラインを巻いておいて、釣り場でトラブったら即交換というような使い方も。
シマノにしろダイワにしろ、スペアのスプールはお店で注文して取り寄せることができますが、価格は1,500円ぐらいします。それが実質無料でついてくるんだから、非常にお得なリールといえます。
次に買うリールのための基準作りにする
釣りのベテランからしたら、3000円程度のリールなんておもちゃ同然だとバカにする人もいるでしょう。
そりゃ遊びの道具なんだからどこまでいってもおもちゃだろ、何言ってんだと思いますが。
今の低価格リールは新モデルが発売されるたびに基本性能が底上げされています。バカにする人は、数十年前の認識で止まっているのだ。言わせておけばいいさ!
しかし、所詮は低価格な製品。使いつづければ、いつかどこかで不満や性能不足を感じるタイミングがくるはずです。自分がこれからやりたい釣りでは使えそうにないとかパワー不足とか。ガシガシ使っていれば寿命が来るのも早いでしょう。
でもそう感じたならもう初心者は卒業の時期といえます。釣りのスキルがレベルアップした証拠です。低価格リールを使い倒した経験を生かして、次に必要なリールに求めるものが何なのか分かっているはず。そして適切なリールを自分で選べることができるようになっているはずです。
そこに至るまでの基準作りになるリール、それが3,000円程度の低価格リールなのです。
同じ考えのもと、様々な釣りに使える万能ロッドも提案しています。もちろん今回紹介したリールと組み合わせて使えますので、こちらもご検討あれ。