大阪湾の波止釣り(堤防釣り)における秋の風物詩とえいばタチウオ釣り。
同じタチウオを釣るにしてもいろいろな釣り方や狙い方があり、ルアーひとすじの人からエサ釣り専門の人まで、幅広い釣り人に受け入れられている間口の広さが人気の理由のひとつです。
近年はルアー人気が高まっており、バイブレーション、メタルジグ、ワームと、様々なルアーでタチウオを狙うことができます。これらに効果的なアクションを付けることで、フィッシュイーターとしてのタチウオの習性を利用して釣り上げる。いうなれば「動」の釣りです。
それらの釣りと対極にあるといえるのがタチウオのウキ釣り。死んだエサを使って食い気を誘い、じっくりとタチウオと対話をしながらアワセの瞬間を待つ「静」の釣りです。
しかしアワセが成功すると、一転、その「静」が「動」に変わります。ウキ釣りはこの瞬間がたまりません。
初めてタチウオを狙うという人、今までルアーやテンヤでしかタチウオを狙ったことが無いという人。これを味わうためにウキ釣りをしてみませんか?
タチウオのウキ釣りはどんな釣り?
タチウオとの対話がじっくり楽しめる釣り
冒頭でウキ釣りのことを「静」の釣りと表現しました。
ルアーやテンヤの引き釣りはアタリがあれば基本即アワセをする釣りですが、ウキ釣りはアタリがあっても慌てず待たなければいけません。最初のアタリは電気ウキが浮かんだり沈んだりでやきもきさせられますが、まだこの段階ではスタートラインに立ったばかり。
ウキか海中に沈んでからようやく「そろそろやるか!」と構えるぐらい。そこからラインを送り込んだり聞きあわせをしたりしながらタチウオとの対話が続きます。
タチウオ釣りの中では効率の悪い釣り方
ウキ釣り仕掛けのほとんどはエサ付けが面倒。そしてアタリあってもじっくり待たないといけない。釣れても針が喉の奥に飲まれたら外すのに手こずる。
その都合上、タチウオ釣り中では最も数を伸ばしにくい釣り方と言えます。限られた時間内にたくさんのタチウオを釣るということには一番向いていない。すこぶる効率が悪い。
タチウオの大きな群れが回遊してくる、いわゆる「時合い」においてもルアー釣りやテンヤの引き釣りと比べて数を稼ぐのは圧倒的不利です。
夜中はウキ釣りの独壇場になる
しかし、日がすっかり沈んだ暗い時間帯からはウキ釣りが有利になります。
日が沈んでから再び昇るまでの夜間はタチウオが早い動きのエサを狙いにくくなります。そうなると、潮に流してエサをゆっくり漂わせるウキ釣りに軍配があがります。
近年は引き釣りでも1号程度の軽いテンヤがあったりルアーについてもライトなワームを使うなどして夜間も通用する釣り方が増えましたが、やはり夜のタチウオ釣りと言えばウキ釣りが王道です。
陸っぱりだからこそできる釣り方
タチウオのルアー釣り(ジギング)やテンヤを使った釣りは、そのテクニックは多少違えど陸でも船でも出来る釣りです。
それらとは違い、陸からしかできないタチウオの釣り方がウキ釣り。そりゃ船からウキ釣りでタチウオを狙うのが無理とは言いませんが、そんなことさせてくれる釣り船はないでしょう。
初心者でもタチウオは釣れる?難しくない?
簡単と言えば簡単 でも奥が深い
サビキ釣りに慣れてタチウオ釣りにも興味が出てきたけど、自分には難しそう…
初心者に方はそんな風に思って二の足を踏んでいるかもしれません。でもまずはやってみて欲しい。そんなあなたのためにこの記事をお届けしたいのです。
サビキやちょい投げみたいに仕掛けを放置して半自動的に釣れるかというと、そう簡単にはいきません。アタリを見極めてしっかりとアワセる必要があります。
その見極めについては後ほど説明しますが、傾向はあれど毎回毎回アタリの出方とアワセのタイミングは違ってきます。アタリがあってすぐにアワセて掛かることがあれば、じっくりじっくり我慢に我慢を重ねて待ったのにタチウオがエサを離すことも。その日のコンディションによっても違ってくる。慣れが必要です。正直言って運もある。
なかなか上手く掛けれないのがウキ釣り。でもそれが楽しい釣りなのです。初心者から一歩脱却するのに最適な釣りといえるでしょう。
とにかくタチウオを釣りたいなら引き釣りがおすすめ
本題に入る前にちょっとだけ脱線。
「待たないといけなかったり慣れが必要だったり、ウキ釣りってなんかメンドクセー!」「でもとりあえずタチウオ釣りてぇー!」って人。
そんなあなたにはウキ釣りではなく波止タチウオテンヤを使った引き釣りをおすすめします。
最も簡単にタチウオが釣れる釣りだと断言します。道具に関してもまずは専用のものを用意せずともあり合わせのものでなんとかなる場合が多い。
数ある波止タチウオテンヤの中でも太刀魚ゲッターは初心者でも簡単に扱えます。
引き釣りはとりあえず仕掛けを投げることさえ出来れば成立可能な釣りです。投げて巻くだけでタチウオが釣れちゃいます。これはこれで楽しい釣りですよ。
ウキ釣りでタチウオを狙える時期
釣れ始めは梅雨明けぐらい
タチウオのウキ釣りができる時期はいつぐらいでしょうか?
基本的に陸からタチウオが狙える時期であれば、いつでもウキ釣りでタチウオが狙えます。
大阪湾北東部を例にすると、夏タチと呼ばれる小型のタチウオが釣れ始める時期が早くて梅雨明けぐらい。例年、7月の中ごろですね。ただしこの時期のタチウオは大阪湾全域で釣れるわけではなく、神戸や泉州などの限られた地域のみがポイントとなります。
夏タチはサイズが小さいため、ウキ釣りでは釣れにくい時期でもあります。アタリがあってウキに反応はでるももの掛からないとか。大きいサイズが混じることもあるので、あきらめずに頑張りましょう。
しかし近年はほとんど夏タチが釣れなくなっているという現状もありますので、基本的には秋以降の釣りと考えたほうがいいかもしれません。9月10月と秋が深まるに釣れタチウオ釣りの最盛期を迎えます。この時期は大阪湾中の岸壁に色とりどりの電気ウキが浮いています。
一方、紀淡海峡周辺の和歌山や淡路島付近であればもっと早い時期にタチウオが釣れますので、待ちきれないならそこまで足を運ぶのもいいでしょう。
シーズン最後まで通用する釣り方
秋に最盛期を迎えたタチウオも、冬が近づくにつれだんだん数が減って釣れにくくなっていきます。本来は暖かな海を好む回遊魚なので、水温の高い南の海や水深が深い場所に帰ってしまうからです。
そして完全に釣れなくなるタイミングは例年12月から1月にかけて。これを過ぎてしまうと、ウキ釣りだろうがルアーだろうがタチウオは釣れません。タチウオそのものがそこに居なくなるのだから。
タチウオは冬が訪れるにつれルアーやエサへの反応が鈍くなります。そんな中、シーズンの最後まで通用する釣り方がウキ釣り。シーズン後半の方がサイズが良くなる傾向にあるので、冬の寒さに耐えながらウキ釣りで大物を狙うのもまた楽しみ方のひとつです。
タチウオのウキ釣りは夜間の釣り
太陽が出ている時間帯は難しい
ウキ釣りでタチウオが釣れる時期については、さきほど「陸からタチウオが釣れる時期ならいつでも」と書きました。釣れる時期はルアーだろうがウキ釣りだろうがテンヤだろうがOK。
しかし1日の中の時間帯については同じようにいきません。
タチウオは昼間に沖の深場にいて、暗くなるにつれ陸に近く浅い場所に回遊してくる魚です。日の入り前後におとずれる「タチウオの時合い」はその「陸に近づきつつある時間帯」の直後に訪れることが多いです。
この時間帯はまだ深く遠い場所にタチウオがいる可能性が高く、それを狙うにはルアーやテンヤが有利となります。
ウキ釣りだと、この「深く遠い場所」を狙うのが困難です。刻々と状況が変わるのですぐに釣れるタイミングにはなるのですが。やはり日没から日の出までの釣りと認識すべきでしょう。
曇り空であるとか少し濁りがあるとか海中が暗いという条件が整うと、まだ明るい昼間でもルアーやテンヤで釣れることがあります。しかし、やはりこれをウキ釣りで狙うのは不可能に近い。
太陽が沈んでからがウキ釣りの独壇場
太陽がすっかり沈んでしまったタイミングからはウキ釣りが有利。早い動きのエサをタチウオが追えなくなるし、ウキ釣りに有利な浅いタナで釣れるようになるからです。
ルアー派の方々はそれを知っているので、日が沈むと同時に釣りを終えて釣り場の混雑が緩和されるという現象もあります。
ここから夜明けを迎えるまでの数時間がウキ釣りの独壇場。長い時間、じっくりとタチウオを狙うことが出来ます。
タチウオのウキ釣りに必要な道具をチェック
まずは仕掛けの全体像を把握しよう
タチウオのウキ釣りに必要な道具、仕掛けをひとつずつ説明していきます。まずはその全体像をごらんいただいておおまかなイメージを持っていただこうと思います。
こちらがタチウオのウキ釣りにおける標準的な仕掛けのセッティングです。
人によってこだわりがあったり違う点もあるかと思いますが、これを基本形とさせてください。絶対にこれじゃなきゃダメってわけじゃないので、慣れたら自分に合うよういろいろ工夫するといいでしょう。仕掛けを自作することも可能です。それもまたウキ釣りの楽しみ方。
竿やリールなどの基本的な道具は、タチウオのウキ釣りのためにわざわざ専用の道具をそろえなくても、とりあえず今お持ちの釣具を流用できる可能性が高い。ひとまず以下の条件を満たせばあとは仕掛けを揃えるだけ。
ではそれぞれ詳しく説明していきます。
竿はサビキ用の竿をそのまま使えるかも
ウキ釣りの竿として最適なのは磯竿の3号ぐらい。長さは3~4メートル程度あればOK。釣具屋オリジナルのサビキ釣りセットだとだいたいこれぐらいのスペックの竿が多いはず。それならそのままタチウオのウキ釣りに流用できます。
同じサビキ釣りセットでも2メートル程度のコンパクトロッドセットだとちょっとキツイです。
なぜならこの長さの竿だと仕掛けを投げにくいし、いざタチウオが釣れて取り込むときも海面から距離があると引き上げるのにも一苦労だからです。もたもたしてるうちに針が外れることも。
もしタチウオのウキ釣り用に新しく竿を購入しようとお考えならこの記事をごらんください。ここで紹介している竿ならタチウオのウキ釣りにもバッチリ対応できます!
シーバスロッドやエギングロッドなどのルアーロッドでもウキ釣りができなくはないですが、磯竿に比べるとどうしても竿先が硬い。これがのちほど説明する「聞きアワセ」をするには都合が悪く、タチウオが違和感を感じてエサを離してしまう原因になりかねません。やはり長さも十分ではありません。
やはりタチウオのウキ釣りに最適なのは磯竿です。
リールはサビキ用に使ってるリールでOK!
リールはスピニングリールならぶっちゃけなんでもいいです。だから初心者サビキセットに最初から付いている安物リールでも、トラブルなく使えているならとりあえずそれでも大丈夫。伸びのあるナイロンラインを使うのが前提だから、ドラグの性能もそれほど重要ではありません。
しかし今後も使い続けるならメーカー製で最低限の信頼性があったほうが安心です。1メートルを超える大物タチウオが釣れることを想定したらそれなりのドラグ性能が備わっているのに越したことはない。初心者セットについている安リールのドラグは使い物にならないことが多いので。
これらを満たして最もリーズナブルなリールを挙げるならこちらのシマノシエナ。サイズは他の釣りにも使いまわしやすい2500か3000がいいでしょう。
あらかじめ巻かれているナイロンラインもタチウオのウキ釣りに問題なく使えます。このリールとラインで1メートルのタチウオを釣り上げることも可能。
このあたりの価格帯で使えるリールをこちらの記事で別途紹介しております。
リールに巻くラインは3号のナイロンライン
先ほども書きましたが、リールに巻くラインはナイロンの3号がおすすめです。ナイロン3号であればタチウオのウキ釣り以外のあらゆる釣りに使いまわせるのでお得。
私はナイロンラインがへたってきたらいつもこのダイワジャストロンに巻き変えています。安いけど問題なし。
ナイロンラインは消耗品と割り切って、劣化してきてるなと感じたりリールに絡むなどトラブルが頻発するようになったら躊躇せず巻き変えましょう。
ルアー用に使っているPEラインでもウキ釣りが出来ないことはないですが、タチウオのウキ釣りは暗い時間にやる釣りなのでPEラインだと糸フケ(糸のたるみ)に気づきにくくトラブルの元になりかねません。そもそもタチウオ釣りの釣り場は混んでいるので、ほかの人と仕掛けが絡むトラブルがとても起きやすい。PEラインが絡んでしまうとほどくのが困難です。
原則としてウキ釣りにはナイロンラインを使うことをおすすめします。
タチウオのウキ釣りに使う仕掛け
竿、リール、ラインの目星がつきました。
あとはその先にタチウオのウキ釣り仕掛けを組んでいく事になります。こちらもひとつずつ見ていきましょう。
最初は全てセットになった仕掛けを選ぶのもアリ
たとえばサビキならリールから出したラインを竿のガイドに通して、その先に市販のサビキ仕掛けに結べばほぼ準備完了になります。あとはカゴをスナップで付けるだけ。
しかしタチウオのウキ釣りの場合はそう簡単にいきません。初心者にはやや敷居の高い「誘導ウキ」のシステムを組む必要があるからです。初めてであれば何が必要かどうやって使うのか分からないはず。
そんな人のためにタチウオのウキ釣りに必要なアイテムが全てそろえられたオールインワンセット的な仕掛けも売られています。電気ウキとその浮力に適合するオモリ、遊動ウキ仕掛けに必要な小物、ワイヤー付きの針などが全て入ったセット。
こういう商品です。
仕掛けの組み方やエサの付け方などの説明も付属していますので初めてでも安心。
最初はこれでもいいですが、遊動ウキのシステムと仕掛けのセッティング方法を覚えれば後々トラブルが発生したときも一部パーツを取り替えるだけで対処できます。この機会に是非習得しておきましょう。
続いてウキ釣りの仕掛けに必要なアイテムをひとつずつ紹介していきます。
2号から3号ぐらいの電気ウキ
ウキ釣りなのでもちろんウキが必要です。
そしてタチウオのウキ釣りは夜間の釣りなので光るウキが必要。パキッと折って使うケミカルライトを先っぽにさしこめるタイプのウキもありますが、基本はやはり電気ウキの使用が前提。
数回だけのお試しで安く済ませたいならケミカルライトを付けたウキでもいいいですが、今後もウキ釣りでタチウオを狙うなら、繰り返し使えて明るく視認性の高い電気ウキを選ぶほうがずっとお得です。
高いウキだから良く釣れるってわけはないので、まずは千円程度のものでも構いません。たとえばハピソンから発売されているこの電気ウキならだいたい千円以下で手に入ります。
サイズ(=浮力)は2号か3号がおすすめ。
1号など小さいウキも当然使えて感度もいいのですが、 小さくなるほど浮力の調整がシビアになります。初心者は浮力に余裕のある2号か3号がおすすめです。
念のため予備の電池も買っておきましょう。1本百円ぐらいです。
ココだけの話、タチウオのシーズンになるとラインが切れた電気ウキが岸壁に漂着しているのを良く見ます。ゴミ回収も兼ねて可能ならば網で掬い上げるんですが、たいがいは新品同様でそのまま使える状態。たぶん不慣れな初心者が何らかのミスでロストしちゃうのかと。
誘導ウキ関連のアイテム
ウキは基本的に誘導ウキとして取り付けることになります。
遊動ウキのシステムを組めば、その仕組み上、ラインの長さが許す限りどこまでも深いタナへ仕掛けを送り込むことができます。とはいえ波止からのタチウオなら10ヒロぐらい(約15メートル)が最大値ってとこ。そんな深いタナをウキ釣りで狙うことはほとんどありませんが。通常は2ヒロから4ヒロ(3メートルから6メートル)というところでしょう。
遊動ウキ仕掛けに必要なアイテムを挙げてみます。
それぞれのパーツを取り付けた仕掛けの全体像がこちら。
上の図では分かりやすいように各パーツの間隔を詰めていますが、実際はもっと間隔をあけて取り付けてください。あとウキ止めをラインに結んだあとの端糸がそのままですが、これはちゃんと切って処理しておいたほうがいいです。
タチウオの興味をひきつける「ケミカルライト」
電気ウキとともにタチウオ釣りを特徴づける光モノアイテムとしてケミカルライトがあります。
パキッと折ることで内部で液体が混ざって光る、いわゆるサイリウムですね。最近ではダイソーでも手に入りますが、ルミカのケミホタルがデファクトスタンダードです。他社のケミカルライトもサイズ設定はケミホタルに準拠したもの。
いくつかのサイズバリエーションがあって、タチウオのウキ釣りで一番良く使われるのは75サイズか0サイズ。
これを専用ホルダーや塩ビパイプをつかって仕掛けの近くに取付けます。イエロー、ブルー、ピンクなどのカラーバリエーションがありますが、どれがヒットするかはその日の状況次第。一番よく使われるスタンダードなカラーはイエロー。ちょっと蛍光緑がかったイエローです。
選択肢としてはケミカルライトの他に電池式の集魚灯を取付けることもできます。
なんにしろ光でタチウオの興味を引きエサを見つけてもらう。これが光モノをつける一番の目的。仕掛けの位置を示す目印としても機能します。
ウキの浮力に適合した「オモリ」
ケミカルライトの下には仕掛けを沈めるオモリを取り付けます。いろいろなタイプが使えますが、クッションゴム付きの中通しオモリがおすすめ。
オモリは必ずウキの浮力に適合したオモリを選択してください。2号のウキをつかうのであれば2号のオモリです。適合していないオモリを使うと、ウキが寝たままになる、あるいはアタリがないのに沈んだ状態になるなどの不都合が生じます。
仕掛けは「がまかつ つらぬき太刀魚」がおすすめ
遊動ウキのシステムが組めたらあとは糸の先に仕掛けをつけるだけ。
関西で釣具屋の波止タチウオコーナーを覗いたなら膨大な仕掛けの種類に圧倒されるはずです。いっぱい並んでるけど、そもそもどれがウキ釣りの仕掛けなのか分からないかもしれません。選択肢が多すぎて一体何を選べばいいのやら…
そんなあなたにおすすめなのが、がまかつから発売されている「つらぬき太刀魚仕掛け」。私は釣りを再開した当初から今までこれ一択です。
シンプルでエサ付けが簡単、スペアの仕掛けが安いから傷んだら躊躇無く交換できる、アワセが決まりやすい、そしてなにより信頼と実績のがまかつ針。
魚釣りは魚に近いところほどお金を掛けろ、気を掛けろ、というようなことを言いますが、最も魚に近い針が「がまかつ製」なら安心。
というわけで仕掛け選びに迷ったら「がまかつのつらぬき」を選べば大丈夫。私が保証します。別の記事で詳しく説明していますのでそちらをご覧ください。
とはいえこれ以外にもタチウオのウキ釣り仕掛けはたくさんあります。ぜひいろいろ試して、あなたの釣りに馴染むものを見つけてください。
タチウオのウキ釣りに使うエサ
いろいろあるけどキビナゴが最適
仕掛けが理解できたらあとは実際に釣り場に行って仕掛けにエサを付けて海に放り込むだけ! そのエサは何を使えばいい?
タチウオのウキ釣りで一番メジャーなエサは「キビナゴ」です。
キビナゴとはイワシの仲間。小魚で大きさは10センチぐらい。大阪湾には生息していないので関西ではあまり食卓に上がることはありませんが、九州など地方によっては刺し身で食べられる身近な魚。私もたまに食べますが、非常に旨みが濃くて美味しい魚です。
釣具屋に行けば冷凍用のショーケースの中で凍った状態で売られています。関西の釣具屋ならどこにでもあるはず。効果の程は不明ですが、着色料で赤や黄色に染めれられて売られていたり、魚が好むという味や匂いがつけてあるものも。
自分で加工したエサを使って魚を釣る達成感
どちらかというと関西ではレアものですが、魚売り場に並ぶこともあります。もちろんそれをエサにすることも可能。
そのまま使うこともできますが、塩締めに加工するとエサ持ちが良くなって針から外れにくくそして冷凍保存できるから長期保存が可能になります。塩締め自体はかんたなのでぜひチャレンジしてみましょう。
その他に使われるのはサバやサンマの切り身など。これも釣具屋やエサ屋で手に入りますし、魚売場にあるものを自分で加工してもOK。また、サビキで釣れたイワシなどの小魚も使うことができます。
自分で用意したエサで魚を釣るという経験は大きな達成感が得られます。ぜひチャレンジしてみてください。
【実釣編】ウキ仕掛けを投入しよう
タナは2ヒロから始めてこまめに調整
仕掛けを組めた!釣り場に来た!エサも取り付けられた!
よし!あとはいよいよ仕掛けを投入するだけだ!ソリャ!
とその前にタナの設定をする必要があります。その日その場所でタチウオが泳いでる層にあわせてウキ止めの位置を調整してタナを合わせることになります。でも初めてならどこに合わせればいいか分かりませんよね。
ということでまずはタナを「2ヒロ」に設定しましょう。
1ヒロは両手を横いっぱいに広げた長さ。体格によって差が出てきますが、一般的には1.5メートルとなっています。2ヒロなら1.5メートル×2で3メートル。もちろんこの測り方だと人によって数十センチの誤差が生じるわけですが、それぐらいの誤差は問題ありません。
ウキ止めを動かして、針の先から3メートルの位置に固定することで2ヒロのタナが設定できます。まずはココからスタート。大阪湾でウキ釣りをするならこれがスタンダードなタナ設定です。
何投かしてアタリが出ないようであれば、2ヒロとは違うタナをタチウオが泳いでいる可能性があります。そしたら2ヒロにこだわらずもっと深めのタナにしてみたり、反対に2ヒロより浅い棚にするなどこまめに調節してください。
タチウオ釣りは「タナを釣る」釣りとも言われており、その日その場所その時間にタチウオが泳いでいる層を探し当てる釣りです。この金脈ともいえる層を掘り当てるのが大事。上げたり下げたりジタバタもがきましょう。
遠投すればいいってもんではない
沖のほうが釣れるんじゃないかという先入観からか、ウキ釣り仕掛けであっても力いっぱい沖にキャストしている人がいます。
しかしタチウオはエサとなる小魚を追って暗い時間に陸に接岸する魚。小魚がいるならそこを狙えばいい。それがたとえ岸壁付近の足元であっても。足元から沖合5メートルぐらいの近い範囲内であっても当たり前にタチウオは釣れます。
基本的には釣れるポイントとして鉄板な「かけあがり付近」を狙うのがベストだと思います。関西の波止なら足元から5~10メートルの範囲ぐらい。通常は足元からそれぐらいの位置まで波止の基礎となる捨石が平坦に敷き詰められていて、そこから先がどんと深くなっているという構造。
えっ?5メートルとか近すぎない?と思うかもしれませんが安心してください。その範囲で問題なく釣れます。
ウキ釣りは横方向に展開する釣り。
ゆえに隣の釣り人と仕掛けが絡むトラブルも頻発します。遠投すればするほどこの頻度が高まります。初心者は遠投せず、なんなら竿先の直下にチャポンと仕掛けを落とすだけでいいかも。
とはいえ沖を狙うのが間違いというわけではありません。アタリがないなら、沖から足元までいろいろなポイントを探ってみるのが大事です。
おまつりに注意して潮上にキャスト
大阪湾で陸からタチウオを狙うなら、混雑はさけられません。隣の人との間隔が数メートルしかないなんてザラ。それほどまでに関西のタチウオ釣り人気は凄まじい。なので仕掛けの投入もかなり気を使います。周りに同調しないとすぐ絡んじゃう。
なるべく長い時間をかけて仕掛けを流したいので、基本は潮の流れの上流、つまり潮上にキャストして仕掛けを潮に乗せることになります。窮屈ですけど、潮上にいる人が仕掛けを回収するのを待って自分が潮上に仕掛けを投入。さらに潮下の人のテリトリーまで仕掛けが流れたら回収というのを繰り返さねばなりません。これは仕方ない。
しかしそこはさすが日本人。
ちゃんと空気を読める人が集まれば、言葉を交わさずとも次第にリズムが同調してきます。会話がなくとも投入→流す→回収のサイクルがスムーズにいく日は「いいお隣さんに出会えたな」と気持ちよく釣りができます。
だからといって釣果に繋がるわけじゃないんですが…
ほったらかしにせず誘いを入れよう
仕掛けを投入したら潮に乗せて流しっぱなし…でも釣れます。しかし誘いをいれたほうがアタリが出る確率は高まります。
誘いといってもルアーみたいに高度なテクニックはいりません。ラインを張ってエサの動きを止めてみる。竿をあおって仕掛けを海面付近に上げてまた落とす。など、たまにイレギュラーな動きをさせてタチウオの興味をひいてみましょう。
タチウオに限らず多くの魚は落ちてくるエサに興味をしめします。これはのちほど動画で見て理解してもらいます。
【実釣編】アタリとアワセのタイミングを知ろう
「死にエサ」には慎重なタチウオ
ワインドやテンヤの引き釣りなどルアーやエサを速いスピードで動かす場合、タチウオはそれを生きている魚と認識するようです。そして肉食魚らしく獰猛にアタックしてきます。アタリがあれば竿をあおって即アワセするのが基本。
一方ウキ釣りの場合はエサを潮の流れに乗せるか誘いをいれてフォール(上から下へ沈める)させるぐらいしかエサに動きを出せません。この場合、ちゃんと死んでいるエサと認識できるようで、活きエサのときとは少し違う慎重な捕食行動を取るようです。
アタリが出始めた当初はエサを丸呑みせず甘噛みしている状態であり、ウキに何らかの反応があったからといって即アワセしてもまず針掛かりしません。
「ホンマかいな?お前海の中潜ってタチウオ見てきたんか?」って?
そりゃごもっとも。
タチウオの捕食シーンを動画でチェック
ではこちらの動画をご覧ください。
ウキ釣りのような死にエサをタチウオが捕食する貴重なシーンです。釣場速報(つりそく)さんが動画におさめてくれています。
これは2016年末に大阪の海遊館で期間限定展示されていたタチウオ。おそらくイワシを給餌しているものと思われます。
ユラユラと生気がなく水中に落下してくる死んだイワシ。これはウキ釣りで仕掛けを投入した直後だったり、誘いをいれてエサをフォールさせているシーンの再現そのもの。
エサを見つけたタチウオは底に落ちていくエサを立ち泳ぎでガン見しつつ、慎重に狙いを定めているように見えます。水槽なので自然界とは勝手が違うのかもしれませんが、あんな獰猛な見た目に似合わない慎重さですよね。
じっくり見定めたのち、意を決したように素早くガブリと噛み付く。しかし甘噛みしたままですぐに呑み込まず、長いヒレを波立たせるように動かしながらの立ち泳ぎで上下にゆらゆらとホバリングしています。
このタチウオの動きを頭に入れておいてください。そうすればウキ釣りでアタリがあったときにタチウオがどういう状態にあるか想像しやすくなります。
タチウオ釣りに限らず釣りというものは、直接目で見て確かめられない海の様子を、ライン、竿先、ウキの動きなどから想像するのが大切です。
潮の速さによっては立ち泳ぎしない
以前NHKでやってた番組なんですが、タチウオが群れで立ち泳ぎする「タチウオ千本刀」を撮影しようという内容が放送されていました。
撮影場所は愛媛県沖の豊後水道。しかし潮の流れが速いせいかタチウオの群れはいるものの立ち泳ぎをしておらずあえなく失敗。のちに場所と日にちを変えてなんとか撮影に成功していました。
このことから、大阪湾でも潮の流れが速いときは立ち泳ぎをしていない可能性が高い。潮が緩いときと速いときでは捕食パターンも違ってくる可能性があります。
ある程度潮の流れがある、いわゆる「潮が効いてる」状態のほうが釣りやすいってのは、ウキ釣りをする人なら実感としてあるはず。
ウキが浮き沈みしてる段階はじっと我慢する
ではウキ釣りでのウキの動きをみていきましょう。
さきほど観た動画でタチウオがエサを咥えたまま水中をホバリングしていましたが、その状況は電気ウキにこのような反応を返します。
「おっ!アタリか?でも浮いてきた! また沈んだ!浮いてきた!沈んだ!」っていう、タチウオのウキ釣りにはお馴染みの光景。しかしこのタイミングでアワセてもまず針には掛かりません。だって口先で甘噛みしてるだけなんだもの。針がいい位置にあれば可能性はゼロではないけど。
タチウオのウキ釣りに慣れてくれば、この光景を見ても「おっ、アタリやな。でもちょっと様子見やな。お茶でも飲も。」と余裕をぶっこくことができます。
ラインが張り気味の場合は、ここでリールのベールをあげてラインを送ってあげる、つまりラインの張りをゆるめてやるとタチウオが違和感を持たずに捕食を続けてくれます。
あえて誘いをかける作戦もあり
一方で、あえてラインを張り気味にし魚が逃げるような演出をする、つまり誘いをかけることで、タチウオのエサの食い込みが早くなる場合もあります。もちろんこれがきっかけでエサを離すこともある。
どっちを選べばいいねん?って言われても知りません。釣れるか釣れないかは運次第。
このギャンブル感もタチウオのウキ釣りにおける醍醐味といえます。
ウキが海中に沈んでもまだ我慢する
しばらく待つとウキにこんな変化が現れることがあります。
ウキが海面直下に沈んだままになり、水面下にボヤ~っとしたLEDの光が拡散され浮かず沈まずの状態。そのままウキが同じ場所にとどまる場合もあれば、横に移動したり沖に遠ざかったりする場合あります。もちろん近づいてくることも。
あるいはタチウオがエサを咥えたまま海面に向かって上昇する、いわゆる「食い上げる」状態になると、ウキが立たずに寝たままの状態になったり。
「おっ!食ってる食ってる!よっしゃアワセたろ!」と気持ちがはやるかもしれませんがちょっと落ち着きましょう。まだ早い。このタイミングからようやくタチウオとのかけひきが始まります。
戦いはこれから。
タチウオに「きいて」みる
この段階ではおそらくラインがたるんでいわゆる「糸フケ」が出ている状態だと思うので、リールのベールを戻してゆっくりラインを巻き取りましょう。タチウオに違和感を与えないよう心がけて「張らず緩まず」のテンションをラインにかけてください。
そして仕掛けのキャストをするときのように人差し指をラインに引っ掛けて、指先に伝わる感触からタチウオの様子をうかがいます。穂先の柔らかい竿なら竿先の動きを見るのもいいでしょう。竿自体にも感触は伝わってきます。
このように魚がエサを食べている様子を竿先やライン越しにうかがうことを釣り用語で「きく(聞く)」といい、このテクニックのことを「ききアワセ」といいます。
一般的にウキ釣りというものはウキの挙動を見て沈んだらアワセる釣りですが、タチウオのウキ釣りにおけるウキの挙動は次のフェーズに移るためのシグナルに過ぎない。実際にアワセる頃にはウキが海中に沈んで視認できないことがほとんどです。
タチウオに「きいてみた」結果
さて、タチウオに「きいてみた」結果、どのような反応が返ってくるか?
指先や竿先にコツコツコツッっとした素早く細かな反応が感じられる場合、まだまだタチウオは本気でエサを食べていない甘噛み状況です。アワセたい気持ちは分かりますがじっと我慢。ちょっとだけ時間を置いてまたきいてみてください。
きいてみた結果、ラインを引っ張るゴンゴンとした強い反応が指先に返ってきたり、竿先にグーッと重みを感じた場合…
お待たせしました!今こそアワセのタイミングです!
おもむろに竿を立ててアワセを入れましょう。ここまでくればかなりの確率で針掛かりするはずです。
残念ながら先程の動画にそのシーンはありませんが、タチウオは自身が泳ぐことでできる水流を使ってエサを喉の奥に流し込むと言われており、アワセのタイミングはまさにこの時と思われます。特に潮上、つまり潮の流れの上流に向かってタチウオが泳ぎだす状況だと、経験上針掛かりする可能性大。
あとはタチウオの強烈な引きを楽しんでください!
タチウオとのやりとりがウキ釣りの醍醐味
以上のことはタチウオのウキ釣りにおけるアタリの見極め方とアワセ方の一例であり、達人級の釣り人はもっと高度なレベルでタチウオとのやり取りをされていたりします。このやり取りこそがタチウオのウキ釣りにおける醍醐味。
我慢に我慢を重ねたあとに決まったアワセの瞬間は、脳内麻薬がどばっと放出されてるんじゃないかと思うほどの気持ちよさです。このためにウキ釣りをしているようなもの。
タチウオのアワセについて「ウキが沈んでから数分待つ」とか「タバコを一本吸い終えてから」とか書かれていることがあります。でもそれは具体的に何分待てばいいという話ではなくじっくり待つ必要があるという話のための例えであって、アワセまでにかかる時間はその時々で違います。ウキが沈んだら即針掛かりしてることもあるっちゃある。
こればっかりは経験を積むしかないと思います。
【実釣編】タチウオを取り込もう
バレたような感覚になることもあるが気を抜かない
さて、ようやく針に掛かったタチウオ。
細長い魚といえど、1メートル近いサイズになるとなかなか強烈な引きで楽しませてくれます。これはタチウオ釣り全般で味わえる醍醐味ですね。
そしてどちらかというと小さいサイズが釣れたときに多いのですが、リールを巻いて引き寄せている最中にフッと軽くなることがあります。「あれ?針から外れた?」と思うかもしれませんが油断せず巻き続けて下さい。大概の場合針掛かりしたままです。引いてる方向に向かって泳ぐから軽くなるのかと。
竿の反動で水面から引き抜くように
足元までタチウオを寄せてきたらあとは陸に上げるだけ。ゴールはもうすぐ。
1メートル近い長さになるタチウオですが、細長いのでタモが必要なほど重くはありません。とはいえサビキで小魚を取り込むようにはいかない。 なので「抜き上げる」必要があります。でも簡単です。
仕掛けを巻き込まないように気をつけながらラインを多めに巻き取り、竿のしなりの反動を使って陸にポーンと跳ね上げてください。 とにかく陸に上げてしまえばこっちのもの。フェンスのある釣り場では最後の最後でフェンスに当たってオートリリース…なんてことにならないよう気をつけましょう。
最初のほうで短い竿は使いにくいと書きましたが、短い竿だとこの抜き上げの動作が難しいのです。だから目安としては3.6メートル以上の磯竿を推奨します。
安全につかめて針外しができる道具を用意しておく
さて陸に上がったタチウオ。
研ぎ澄まされた刀のようにギラギラと光を反射する体、波打つように動く背びれ、初めて生きたタチウオを見たならその美しさに感動するでしょう。
しかしその美しさとは裏腹に、鋭い歯が文字通り牙を剥きます。不用意に触るとカッターナイフのようにスパッと切られてしまうので素手で触るのは禁物。何かしらつかむための道具を必ず用意しておきましょう。
一番安上がりなのは厚手のタオル。折って二枚重ねぐらいにして首根っこをつかめば、そうそう怪我をすることはないと思います。
タチウオを挟むための専用ハサミなんてのもあります。
しかしこれ、タチウオ専用というだけあってタチウオ以外にはあんまり使いみちがありません。かさばるし。
そこで私がおすすめしたいのは第一精工の「ワニグリップミニ」。
ワニグリップは大きさが2種類ありますが、小さい「ミニ」のほうで十分です。
これがあればサビキで釣れる小魚から1メートルを超えるタチウオまで難なくつかんで安全快適に釣りをすることができます。個人的にはタチウオ以外の釣りでも無くてはならない重要アイテム。
こんな風に首根っこを挟んでやればタチウオの動きをほぼ止められて、安全に針外しをすることができます。
ワニグリップミニについては別途詳しくまとめていますのでこちらを参照ください。
ワニグリップで動きを止められたとはいえ、生きているタチウオはまだ口をパクパクさせています。そのまま手を口にの中に入れて針を外すわけにはいきませんので、こういう釣り用プライヤーを用意しておきましょう。
わざわざ買うのがもったいなければ、ダイソーなんかで売ってる長めのプライヤーでも使えます。よっぽどメンテナンスに注意しないとあっという間に錆びちゃうけども。
話は前後しますが、可能であれば針外しをする前にタチウオを締めて動きを止めておくと針外しなどの処理が楽になります。最もカンタンなのはタチウオの首を折って締める方法。横方向に首を折って締めようとするとなかなかタチウオは絶命しないので、できそうなら鯖折りのように縦方向に首を折ってみてください。
ピックやナイフがあれば、脳にそれを刺すことで脳締めすることができます。魚の見た目を傷つける可能性が一番低い方法なので、慣れればこれがおすすめ。
【まとめ】タチウオとの対話を楽しもう
タチウオはいろいろな釣り方があり、船からテンヤやジグなどのルアーで狙う釣り方、陸から投げテンヤや各種ルアーで狙う釣り方など選択肢がたくさん。しかしこれらはルアーやテンヤにつけたエサを動かしてタチウオの食い気を誘う釣り方。ちょっと乱暴なまとめ方かもしれませんがどれも似たような釣り味です。
しかしウキ釣りはそれらと全く趣が異なる釣り方といえます。死にエサでタチウオの食い気を静かに誘って、アタリが出てもタチウオの反応を確かめながらじっくりと待つ釣り方。
この待ちの時間はラインを通してタチウオと知恵比べをしているかのようです。声こそ聞こえませんが、まるで糸電話でこそこそと内緒話をしているかのよう。タチウオと自分の暗号化通信。この対話の時間、そしてその後にアワセが決まった瞬間がタチウオのウキ釣りにおける醍醐味です。
長い秋の夜、ウキとラインを通してタチウオと対話してみませんか?