タチウオ釣りの魅力のひとつ。それは「あらゆる釣り方で狙うことができる」ということ。ルアー派もエサ釣り派も受け入れる間口の広さが大きな魅力。
そんな中、最も簡単にタチウオが釣れる釣り方は何かと問われれば、私は「テンヤの引き釣り」と答えます。タチウオテンヤは多くの釣り具メーカーから発売されていますが、初心者におすすめなのが太刀魚ゲッター。
どんな釣り方でもいいからとにかくタチウオを釣ってみたいという人。そんなあなたに太刀魚ゲッターを使った引き釣りをオススメします。
テンヤの引き釣りってどんな釣り?
エサ釣りとルアー釣りのハイブリッド釣法
太刀魚ゲッターを説明する前に、まずテンヤの引き釣りがどういうものか知る必要があります。
別の記事で詳しくまとめていますので、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
タチウオ専用テンヤを使う
テンヤは釣り針とオモリを組み合わせたような仕掛け。タチウオ釣りに限らず、いろいろな釣りで使われますが、タチウオ釣りにはタチウオ専用のテンヤがあります。
釣具屋に行けば200グラム近い船用のテンヤと、10~30グラム程度の波止から遠投するテンヤが売られています。引き釣りにはもちろん波止用の軽いテンヤを使います。
たとえばこんなやつ。
生エサを取り付けて巻いてくるだけ
そのテンヤにドジョウ、イワシやキビナゴなどの小さな青魚を取り付け、それをワイヤーグルグル巻きにして固定します。
釣り方はシンプル。
仕掛けをキャスティングし着水したら任意の深さまで沈めます。そしてリールを巻いて仕掛けをまっすぐ引いてくるだけ。アタリがあればアワセて針をタチウオに引っ掛ける。ざっくり表現すればエサでタチウオを引き寄せてから針で引っ掛ける釣り。
エサ釣りとルアー釣り両方メリットを取り込んだ、いいとこどりのハイブリッドな釣り方といえます。
関西で長い歴史を持つタチウオの釣り方
1980年代には存在していた釣り
私がこの釣り方を初めて見たのは小学校4年生のころ。時代は1980年代半ば。時間は秋の夕暮れ、場所は須磨海釣り公園にかつて存在した第2釣台沖向き。
遠い小学生の記憶なのでいいかげんなものですが、覚えている限りそこではほぼ全ての人が引き釣りをしていたと記憶しています。正確なことは知り得ないので推測に過ぎませんが、少なくとも2024年時点で40~50年ぐらいの長い歴史があると考えられます。
最も釣果を上げられる釣り方
それゆえ、この釣り方を何十年も続けられているのであろう達人的な人がいます。事実、タチウオ釣りのメッカともいえる武庫川一文字の釣果情報でやたらと数を上げている人の釣り方は、もれなくドジョウをエサにした引き釣りです。
こちらは武庫川渡船さんが掲載しているある日の釣果。その一部を切り取らせてもらいました。
おおよそ2時間程度の釣行で50匹近いという釣果は驚異的。このことからも「一番タチウオが釣れる釣り方は引き釣り」ということに信ぴょう性があると思っていただければ。
テンヤへのエサ付けは手間がかかる
太刀魚テンヤでの引き釣り自体は釣りとして簡単な部類ですが、エサ付けがちょっと面倒。ここでテンヤにエサをつける手順をざっくり説明します。
という流れになります。
実際にテンヤへエサ付けをしてみた様子がこちら。エサはキビナゴです。
針金をきつく巻いてしまうと身が柔らかいエサは潰れてしまうし、かといって緩く巻くと取れちゃうし意外と力加減が難しい。習得するにはそれなりに慣れが必要です。慣れてもそれなりに時間がかかってしまう。エサがボロボロになって取り外すときはまたぐるぐると針金を解いていかねばなりません。
タチウオの時合いは短いので釣れるたびにこれをやってるとせっかくのチャンスを逃してしまいます。数を伸ばす名人級の人は、いくつものテンヤを用意してあらかじめエサ付けをした状態で釣り場に持ち込み時合いに備えるらしいです。
私のようなお気楽ファミリーアングラーはそこまで気合いをいれられません。でも出来るならたくさん釣りたい。でもテンヤにエサ付けするのは時間がかかってしまう。どうすりゃいいのだ。
進化した引き釣りテンヤ「太刀魚ゲッター」
そのジレンマを解消できるのがシマノの「太刀魚ゲッター」ってわけです。
太刀魚ゲッターには3つのバリエーションがあります。
それぞれ2号から8号ぐらいまでのオモリのバリエーションがあります。
「ツイン噛む」と「びりびり」にはそれぞれ付加要素があるわけですが、この記事ではノーマル版の時短テンヤを前提として解説をしたいと思います。 この3タイプをざっと紹介しましょう。
まずはオールマイティな「時短テンヤ」。これが基本。
そしてラインとの接続部分に振動板が取り付けてあり、仕掛けを引くとブルブルと振動を感じる「びりびり」。
引き釣りは同じ水深を保ったまま一定の速度で仕掛けを引いてくる必要がありますが、初心者にとってこれは結構難しいこと。一定の速度といってもどんな速さで引けばいいのかも分かり難い。
その点、このびりびりは一定以上の速さで引くと振動板(チャター)が震える仕組みになっています。PEラインを使っていればその振動が手元にも伝わる。ちょうど振動を感じ始めるぐらいの速さでリールを巻けば、一定の速さと一定の水深で仕掛けを引くことができます。初心者に最適のゲッターといえます。
そしてフロントフックついた「ツイン噛む」。
フロント部分にあるツインのフックを本体の突起に挟んで半固定させることができます。このフロントフックがあるから夏の時期などに多い小型のタチウオも掛けやすい。という製品のふれこみなんですが、私の経験上、このフロントフックにタチウオがかかった試しがありません。
とはいえ使い勝手はノーマルのゲッターと変わらないので、邪魔ということもなく。もしノーマルが売り切れならこちらを選択しても何ら問題ありません。ちょっとだけ高いだけ。
状況によってこの3タイプを使い分けることになりますが、とりあえずノーマル版があれば大丈夫。余裕があればその他のタイプも用意しておきましょう。
太刀魚ゲッターを使うメリットとデメリット
太刀魚ゲッターのメリット
一般的な太刀魚テンヤと太刀魚ゲッターを比較した場合、次のようなメリットがあります。
ええこと尽くしやん!と思われるかもしれませんがこれは事実。
なお「太刀魚ゲッターが釣れすぎる」とか表現した記事を書いてるサイトもありますが、一般的な波止タチウオテンヤと比べて釣れる確率が上がるとかいったことは考えにくいです。メリットはあくまでエサ付けの手軽さとエサ持ちの良さ。
一般的なテンヤに比べるとフェイスガードやら背中側のピンやら不自然なパーツが多いので警戒心を持たれる可能性が無きにしもあらず。
太刀魚ゲッターのデメリット
メリットばっかり挙げると胡散臭いのでデメリットも挙げておきます。
ほんとこれ!これに尽きる。ほんまにほんまに。
普通のテンヤが200円から400円ぐらいで買えるところゲッターは1,000円以上します。根がかりやキャストミス、タチウオの歯によるライン切れで失ったら大ショック間違いなし。
でも初心者にとってはそれを補って余りある魅力があります。
ゲッターでの引き釣りがなぜ初心者にオススメなのか?
冒頭で「とにかく太刀魚が釣りたいという人がいたなら、私はまず太刀魚ゲッターを使った引き釣りをオススメ」と書きました。さきほど書いた太刀魚ゲッターのメリットと一部重複しますが、その理由はこちら。
エサ付けはのちほど具体的に手順を説明しますが、普通のテンヤと比べて圧倒的にスピーディーでカンタンです。タチウオの浮き釣りもエサ付けが結構複雑だったりしますが、ゲッターはほぼワンタッチ。
また、ウキ釣りに比べるとまだ明るい早い時間からタチウオを狙うことができます。なぜでしょうか?それにはタチウオの習性を知る必要があります。ざっくりと説明しますね。
昼間は沖の深い場所にいたタチウオは、夜が近づくにつれ陸の浅い場場所に接岸してきます。
昼間はどんなに遠投しても陸から届かない場所に居ますが、夕方になれば徐々に近づいてくるわけです。だから理屈で言えば明るいうちはなるべく沖の底を狙うと、周囲の誰よりも早くタチウオを釣り上げることができます。
ゲッターは遠投するのに十分な重さがあるため、遠くまで飛んで底に沈むのも早い。だからいち早くタチウオを釣り上げることが可能。逆に朝であれば夜明け後も遠投してタチウオを狙い続けることが出来ます。
これはウキ釣りだと難しいこと。
既存のタックルの流用に関してはのちほど詳しく説明しますが、とりあえず手持ちの磯竿、投げ竿、コンパクトロッド、ルアーロッド等が流用できる可能性が高いと思ってもらえれば。リールも同様。ラインはPEラインが最適ですが、ナイロンでもとりあえずOK。
ワインドはルアーをダート(左右に頭を振る動き)をさせるためにラインをはじくような独特のアクションを習得する必要があります。ウキ釣りはウキに反応があってからアワセを入れるまでに様々な状況がありその都度適切な判断が必要になります。その点、引き釣りなら基本は投げて沈めて一定速度で巻いてくるだけ。向こうアワセで勝手に掛かることも多い。
サビキからステップアップしたいけど「タチウオ釣りは難しそうだから」と思っていたあなた、ちょっと出来るような気になってきませんか?
太刀魚ゲッターでの引き釣りに必要なタックル
竿はたいがいのものが流用できるけど
極端に言うとゲッターを遠投できる竿であればそれを使って引き釣りが出来ます。お試しでやってみるなら手持ちの竿を流用できるかもしれません。
4号~5号程度、つまり20グラム前後のオモリ負荷に耐えられる竿、磯竿でいうと3号ぐらい。ライトな投げ竿でもこの程度のオモリ負荷なら問題ないですね。ルアーロッドもシーバスロッドやエギングロッドなら大丈夫。
一方で柔らかすぎる竿だとちょっと難があります。磯竿でいうと1号程度のもの、ルアーロッドでもアジングやメバリングロッドでは難しいです。
ちなみに釣りを再開した当初の私は3号の遠投磯竿を使って引き釣りをしていました。
竿の長さと竿のしなりを利用してかなり遠投がでました。釣れたときの抜きあげもラクラク。その辺のルアーマンより遠投できるんでけっこう気持ちよかったんですが、当然ながら長いと重量があるんで取り回しがキツイ。繰り返し遠投を続けるのはなかなかの重労働でした。翌日は筋肉痛。
なので途中からこのシーバスロッドに乗り換えています。上のランドメイトと同じ”がんばロッド”シリーズ。5,000円程度でリーズナブルです。
長さも重さも遠投性能もちょうどいい。これで快適にゲッターが投げ続けられるようになりました。
引き釣り以外にも流用できる汎用性を考慮すれば、初心者の引き釣りにベストなのはシーバスロッド。子供に持たせるのにちょうどいい長さや軽さだし、ルアーじゃなくてエサ釣りにも使えます。胴突き仕掛けをつけて足元の根魚やカワハギを狙ったりとか。
先ほど手持ちの竿を流用できると書きましたが、慣れてくると重いとか硬いとかどこかで不満が出てくると思うので、引き釣りが性に合うと思ったらいろいろ検討してみてください。古くから引き釣りをしている人の中にはずっと磯竿を使っている方もおられるようです。
ちなみにゲッターと同じシマノ製で”太刀魚ゲッター対応”を謳っているロッドもあります。 ゲッター公式竿とも言えますね。
リールは2,000~3,000円程度のものでもOK
リールはトラブル無く使える手持ちのリールがあるならまずはそれを使ってみてください。基本は投げて巻くだけなのでちょい投げで問題なく使えてるならそれでいい。 でもドラグはちゃんと機能するほうが大物とのやり取りには安心なので1,000円台の最安リールは避けたほうが無難。
あえて例を挙げるとするなら、シマノの最廉価モデルが最低ライン。具体的にはFXの2500ぐらい。
価格と性能のバランスがとれた一番のオススメはシマノのセドナ。PEラインを使う前提の引き釣りには2500Sがジャストです。
このセドナ2500Sには0.8号のPEラインがちょうど150メートル巻けるので、コストパフォーマンスを重視するなら同じくシマノのピットブルがピッタリ。
もちろんもっと上位機種をお持ちならばそれを使うにこしたことはありません。
ラインについては基本的にPEラインの使用が前提です。PEなら0.8号あればドラゴンサイズ(100センチ)まで対応できます。不安ならもう一段階太めの1号でもOK。
それでもあえてナイロンを使うという選択なら3号で。
どの重さのゲッターを買えばいいの?
ゲッターは2号から8号までのバリエーションがあります。グラムに直すと約8グラムから30グラムの幅で重さが選べるわけです。上で紹介したようなスペックの竿とリールを使う前提でいいますと、3~5号ぐらいを使うのがオススメ。
例えば5号はおよそ19グラム(3.75×5)。これにキビナゴと追加パーツの重さが加わると…
28グラムとなりました。おおよそ1オンス。ルアー、特にジギングををやる人ならピンとくる重さじゃないでしょうか?これぐらいの重量が遠投しやすく扱いやすいと思います。
4号を基本として、風が強いときとか早く沈めたいときなんかに対応できるように重めの5号、暗い時間にゆっくりと引く必要があるときに軽い3号をスペアとして携行しておくといいでしょう。
結論として実用的な太刀魚ゲッターの重さは4号前後、ひとつだけ選べと言われたら4号。
その他に必要なアイテム
タチウオは歯が鋭利なため普通の太さのラインではいともカンタンに切り裂かれてしまいます。そこで一般的にはタチウオの歯があたる可能性がある箇所をワイヤーに置き換えます。
普通のテンヤにはたいがい付属してるんですが、太刀魚ゲッターには付属していません。必要であれば別途購入する必要があります。
PEラインを使っている場合は太めのショックリーダー(30~50LBぐらい)を使うという選択肢もあり、私はこの方法を選択しています。引き釣りをする前提なら、太めのリーダーを使えばそう簡単に切られることはありません。とはいえアタリがあるとリーダーにささくれができたりダメージを負っていることもあるので、釣りの途中に都度チェックするのが重要です。なお、PEラインとリーダーはFGノットでの結束をオススメ。
フロロリーダーだと固いので30LBぐらいまで。
ナイロンリーダーはしなやかで柔らかいので50LBぐらいまでは難なく使えます。
ナイロンのほうが扱いやすいとは思いますが、水分を吸収してしまう性質上どうしても劣化が早くなります。1回2回の釣行で明らかに劣化するなんてことはないですが。なるべく結束のし直しをしたくないという人はフロロを選ぶといいかもしれません。
長らくこの太さのリーダーを使っていますが、タチウオに噛み切られたことは「ほぼ」ありません。とはいえ釣れ続くとズタズタになっていくので、その部分は切るか新しいリーダーに交換しましょう。
必須かどうかというと人それぞれの考えがあると思いますが、ラインにケミホタルを付けるのも一般的です。
ゲッターにはどんなエサをセットするの?
キビナゴがベストではあるけど
太刀魚ゲッターはキビナゴがセットしやすいように設計されています。
キビナゴ以外の魚を付けたことで初めて分かったんですが、ストッパーの曲がり具合とかフェイスガードとかなるほどキビナゴの体形に合わせた専用設計になっているのが分かります。
背中側のワイヤーがちょうどキビナゴの背中に沿うカーブでしょ?特に前半分。
じゃあキビナゴしかセットできないかというとそうでもなくて、小型でほっそりした魚なら使えますしそれで実際に釣れます。
代表的なものはマイワシ、ウルメイワシ、カタクチイワシのイワシ三兄弟。こやつらはタチウオシーズンの釣り場で手軽にゲットできる小魚ですし、実際に自然界でタチウオのエサになっています。ウルメならキビナゴに体形が近いのでピッタリフィット、カタクチは頭でっかちで前がギチギチになりますがセット可能です。
個人的に他に使ったことがあるのはワカサギ、そしてサヨリを適当なところでカットして尾びれ側をセットしたことも。引き釣りの定番ドジョウもセットできなくはないですし、ワインド用のワームをセットするというのもアリです。
極端な話、たぶんシシャモとかメザシでも釣れる可能性はあると思います。
ゲッターへのセット方法
では実際にキビナゴをゲッターに付けてみましょう。公式な取り付け方は以下の通り。
出典:太刀魚ゲッター(チャンスタイム倍増!ゲッターローテーション!)|ルアー|製品情報|シマノ -SHIMANO-
私はこれをちゃんと読まず、まずお腹側からキビナゴをセットして背中側のピンを降ろしてくる手順を踏んでいました。いつも最後のストッパーを装着するのが難しいなと思いながら。
で改めて公式ページを見たらまず背中側からセットしてるじゃないっすか。試してみたらこっちのほうがスムーズでした。なので公式手順のもとキビナゴをセットしてみます。
まずキビナゴの背中にある黒い線を目印にピンを刺していきます。
公式には「フェイスガードの穴にキビナゴの目を合わせる」とありますが、ここはこだわらなくてもいいんじゃないかと。それより尾っぽをフリーにして動きを出すほうが重要だと思うので、小さめのキビナゴだったらちょっと後ろのほうにセットして尾が動くこをと重視してます。
はい、というわけで背中側のセット完了。
続いて背中側のアームをお腹側に曲げてお腹にピンを指していきます。
最後にストッパーをメインのシャフトに引っ掛けて…
取り付け完了。キビナゴがテロテロですが古いだけなのでご勘弁を。
慣れればテンヤに比べてかなりスピーディーに取り付けできるはずです。
上下で固定、かつご丁寧にフェイスガードとお腹ガードまで装備しているので、テンヤに比べたらエサ持ちも良好です。ウキ釣りにキビナゴを使うと分かりますが、お腹の部分がパッカリ二つに割れやすいので腹ガードはエサ持ちにかなり貢献します。運がよければ一匹のキビナゴで複数のタチウオを釣ることも。
なお、キビナゴは釣具屋やエサ屋で買えますが、実はスーパーの魚売場なんかでも普通に売られてたりします。塩で締めるとエサ持ちが良くなりますのでお試しください。
ゲッターをカスタマイズして自分仕様に
パーツを追加して俺仕様
「さっきからゲッターの写真を何枚も載せてるけど売ってるやつと違わない?」 と疑問を持たれたあなた。よくぞ気付かれた。そうです。違います。俺仕様です。
「パパの知り合いのシマノ社員に頼んで僕専用のゲッターを作ってもらったんだ。悪いなのび太。これは3つしか無いんだ。」
というわけではなく、自分でパーツを買い足してカスタマイズしました。追加したのはこんなパーツ。
上の写真で付けたパーツはシマノ公式オプションというわけではありません。ゲッターだから付けられるというわけではなく普通のテンヤにも付けられます。
まずはトレーラーフック。ワインド用に売られているものをつけています。
太刀魚ゲッター時短テンヤは1本針。
これは手返しを重視して1本のみという意図らしいですが、下手くそな私としてはそれよりもフッキング率を上げたいのでトレーラーフックを追加したわけです。ゲッターのカスタマイズとしては定番かつ必須。釣り上げたタチウオがこれに掛かっている率は非常に高いので確実に効果があります。
フックに刺して後方でヒラヒラしているのはヤマシタのパニックベイトメバル。
これは後方へのアピールのために付けています。
ずばりタチウオテンヤ用のベイトも売られているのですが、船用で大きいためアピール度が強過ぎと感じたのでメバル用のサイズでナチュラルなものを使ってます。効果のほどは正直分からないのですが付けてると安心感が。サイズやカラーのバリエーションがたくさんありますのでいろいろお試しください。
お腹にはテンヤホタルというホルダーを介してケミホタルの25ミリを装着し光でアピール。
光モノのアピールはタチウオ釣りのセオリー。暗い夜の海の中でタチウオにゲッターを見つけてもらう手段。
上のワイヤーを利用してケミホタルを取り付けるというゲッターならではのカスタマイズ方法も定番ですが、タチウオは下からお腹に食らいつくイメージがあります。私は背中でなくお腹側にケミホタルを付けるようにしています。
釣具屋なら200円程度で売られていてホルダー3つとケミホタル3個入り。ホルダーは何度も繰り返し使えますのでお得です。
なお、これらを取り付けないと釣れないなんてことはありませんので、ご自分でいろいろカスタマイズしてみてください。なお、慣れて釣果があがってくると「そもそも余計なものを付けないシンプルな方がいいのでは?」という答えにも辿り着いたりしますがそれはそれで正解だと思います。
太刀魚ゲッター引き釣り仕掛けの全体図(2018年版)
今まで紹介したタックルとゲッターのカスタマイズを含めた仕掛けの全体図です。2018年のシーズン時点での私のセッティングをまとめました。
タチウオ釣りを始めて数年。
引き釣りもメタルジグなどのルアーで釣るときもワイヤーは使わないという選択に落ち着きました。その代わりに太めのフロロショックリーダーやナイロンショックリーダーを使っています。これでタチウオの歯に切られたということはほぼゼロです。
予算的には竿とリールを含めこれ一式で最低1万円からというところでしょうか。ロッドとリールは安いのから高いのまでピンキリなんでお財布とご相談ください。
この仕掛けの詳細な紹介をしております。 くわしくはこちらを参照ください。
針先は常に尖らせておこう
おろそかにしがちなんですが、針先の鋭さはどんな釣りにおいても重要です。障害物に引っ掛けたり錆びたりで針先は確実に鈍っていきます。
材質がいいのか、ゲッターに使われている針は釣行後に真水で洗ってるだけなのに錆びる兆候がありません。ダイソーのメタルジグなんて同じことをしてるのに、1回使えばフックもスプリットリングもサビサビになるのに。
というわけでサビはいいとして針先の尖り具合は釣行前にチェックしましょう。目安は爪に針先を突き立てて滑るか否か。爪の上を滑るようならその針先は鈍ってます。フックシャープナーや砥石で鋭く砥いでおきましょう。
針先を研ぐ砥石は、これが200円程度と安くて便利。
Amazonの買い物で送料無料バーの2,000円にちょっと満たないときとかに思い出してもらえれば。
太刀魚ゲッターで実際に釣ってみよう
太刀魚ゲッターでの釣り方はテンヤの引き釣りと同じ。かいつまんで説明するなら「投げて沈めて巻く」。
これだけ。
日没前から日の出後までタチウオが接岸している時間ならいつでも通用するのが引き釣り。中でも他の釣り方と比べて優位性があるのは朝夕まずめ。そして、日が昇った朝まずめの後と、日が沈む夕まずめの少し前も効果を発揮します。
ここでは日没1時間前ぐらいの夕まずめからタチウオを狙うことを想定して説明します。
【1】遠投して着底するまでの秒数をカウントする
ここからの内容を読むにあたって、こんなシチュエーションをイメージしてください。
釣り場は大阪湾のとある波止。足元の水深は10メートルぐらい。時期は10月。時間は夕暮れ迫る16時。日没まで1時間を切り周囲はタチウオ狙いの釣り人が増えてくるころです。そんなシチュエーションで引き釣りをはじめるとイメージしてください。
16時だとまだ明るいからタチウオ釣りには早いのでは?と思うかもしれません。でも大丈夫。ゲッターならいち早くタチウオを釣ることが可能です。せっかくなら周囲のウキ釣り師やルアーマンを尻目に一番乗りを目指しましょう。
先ほどの図をもう一度ご覧ください。
暗くなるにつれて岸に近づくタチウオですが、日没一時間前には遠投して届く距離まで近づいている可能性が高くなります。ただしまだ沖の水深が深い底付近にいることがほとんど。
まずは出来る限り遠投を。ゲッターはエサ持ちがいいのでフルキャストしてもエサが外れることはありません。
水面を見て、どこに着水したかを必ず確認してください。
そしたら海面にパシャっと着水した時点を0として、ゲッターが海底に着くまでの秒数を頭の中で数えます。ベールを戻してラインを張った状態でテンションフォール(着底)させましょう。
ちなみにフォールというのは仕掛けを沈めるということ。
ラインをフリーにした状態でフリーフォールさせてもいいのですが、仕掛けが絡んだりラインを切られるリスクが高まります。アタリも底をとる感覚もとりにくい。初心者はテンションフォールがおすすめ。
着底したら竿先がフワッと持ち上がったり、張っていたラインが緩んだりします。明るい時間ならそれを目視できるのでなお良し。強い風や速い潮の流れがあると分かりにくいですが、集中して竿先やラインから伝わる違和感を感じ取ってください。
これを「底を取る」といい、他の釣りでも使う重要な基本テクニックとなります。初心者の方は必ず習得してください。
通いなれた釣り場ならだいたいどれぐらいで着底するか分かってきますが、その日の風や潮の状況で誤差がでてくるので、慣れだ釣り場でもその日の釣り始めに毎回着底をカウントします。
このカウント作業は「水深を等分割するための”自分なりのものさし”を設定する」作業。なので「ここの水深は15メートルだ」とか具体的な数字を知る必要はありません。あくまで底に着くまでの秒数さえ把握すればオッケーです。頭の中で一定のペースでカウントができる自信があるなら秒が正確である必要もありません。
私は自信が無いので腕時計のストップウォッチを使ったりします。
【2】着底後軽くシャクリを入れてからゆっくり引いてくる
着底が確認できて秒数も把握出来たら早速引き釣りを始めてみましょう。
その際、海底でゲッターを引きずったままリールを巻いてくると障害物に根掛かりして仕掛けを失い泣くことになります。海底からゲッターをピョンと飛び上がらせるイメージで竿をグイっと立ててシャクリを入れてから巻いてください。底付近は根掛かりの危険と隣り合わせなので、不安であれば大き目のシャクリをしてゲッターを十分に浮かせてから引きましょう。
タチウオは獰猛な見た目のわりに捕食が下手というのが定説で、ゲッターを引く速度が速いとタチウオが追いつけない可能性があります。おおよそ一秒間にリールを1回転というのを目安にゆっくり巻いていきましょう。暗い時間ならなおゆっくり。一定のタナをゲッターが泳ぐように意識して。
まだ明るい時間にゲッターが目視できる水深に軽く投げてみて、巻き取りスピードの目安を把握をしておくといいですね。
足元付近まできたら底が浅いはずなので根掛かりに注意しつつゲッターを回収。まあ一投目から釣れるなんてことはそうそうないので、落胆せず次のフェーズへ。今のは試験引き。次から本気出す。
【3】アタリがなければ徐々に上のタナを狙う
さて2投目以降はどう狙っていきましょう?仮に着底までのカウントが10秒だったという前提でこれを説明します。
先ほど一番底の10秒カウントから引き始めても何のアタリもありませんでした。ということは底より少し上のタナをタチウオが回遊しているのかも?と仮定してそのタナをゲッターが通るように引いてくるとしましょう。なお「タナ」というのは魚が泳いでいる層のことです。魚の種類やその時間帯によってタナは異なります。
さて「さっきより少し上のタナ」を狙うにはどうすればいいか?カンタンです。
着水してから引き始める秒数を減らすだけ。先ほど10秒で着底したところを9秒の段階で引き始めてください。これでさっきより少し上のタナを狙えます。5号ぐらいのゲッターを使っていたとしたら1メートルほど上のタナを引いてくることになるかな?
そのタナでもアタリがなければ今度は8秒、次は7秒と短縮していけばさらに浅いタナを狙うことができます。先行して釣り上げた人が「中層で釣れたよ!」と言ったなら「中層ということは4~6秒カウント付近だな」という判断ができて的確なタナを狙うこともできます。
また、自分で仕掛けを引いてきて「これってアタリかな?」という違和感を感じたタナがあればネチネチとしつこくそのタナを攻めてみてください。
タチウオ釣りは「タナを釣る」釣りともいわれます。日没前や日の出以降は底付近、日没直後や日の出前は表層近くという傾向はあるものの、その日その日でタチウオが居るタナは異なります。夜中なんてどこに居るんだか分からない。その金脈ともいえるタナを探り当てるのがタチウオ釣り。
ウキ釣りと比べて引き釣りはそのタナを探るのに効率がいい釣り方です。沈むのが早いからカンタンに深いタナが攻められる。反対に浅いタナを狙うなら早めのカウントで引き始めるだけ。
このカウントダウンのテクニックは、タチウオの引き釣り以外でもルアーフィッシング全般で使う基本テクニックです。メタルジグなどの沈むルアーに必須のテクニック。スプーンでニジマスを釣るときにも使います。ぜひ習得しておきましょう。
【4】アタリや違和感があればとりあえずアワセる
アタリがない前提で説明を進めてきましたが、引き釣りでのタチウオのアタリはどんな感じなのでしょうか?
いろいろパターンがあるのですが、勝ちパターンは引いているときに根掛かりしたかののような重さでグーッと竿先が持っていかれるパターン。タチウオのサイズが大きいと本当に根掛かりと勘違いするぐらいで、時にはリールも巻けないほど瞬間的に重くなります。
その時点でもう既に針掛かりしていることが多く、特にアワセを意識しなくてもタチウオを釣り上げられる確立が高いです。念のため竿を立て追いアワセ入れて確実にフッキングさせといたほうがベター。
もうひとつのパターンはコツコツっとした感触がラインを通して伝わってくるパターン。「あっ!今タチウオがエサをつついたな!」という感じが手元に伝わってきます。ナイロンラインよりPEのほうが明確に把握できます。サビキのように小刻みに魚が震えるようなブルブルっとアタリではありません。
なんにしろ引いている過程で何かしらの違和感を感じたら竿を立ててアワセてみましょう。
また「アタリっぽいんだけど反応が小さいな~おかしいな~」って疑わしい時は、一瞬巻くのを止めて食わせるタイミングを与えるのも策のひとつです。
ゲッターでの釣りはウキ釣りと違ってタチウオにエサを飲み込ませる釣りではありません。エサに興味をもって寄ってきたタチウオを大きな針で引っ掛ける釣りです。針も口の中に掛かるのではなく、口の外から上顎へ掛かっていたり、目や頭に掛かっていることも多い。そのことを意識しつつアワセてください。
【5】足元付近でも釣れるので最後まで集中する!
ゆっくりとゲッターを引いてきて、ラインの角度から察するにもうそろそろ足元まで戻ってきそうだなという瞬間があります。その時あなたはどうしますか?
もう岸に近いからタチウオは居ないだろうし、それなら早く次のキャストをして沖を狙いたい。じゃあ早めに巻き取って回収する?
アカーン!そこチャンスタイム!
実体験から書きますが、かつては私もそうなったら気持ちは次のキャストに向いていました。緊張感ゼロで竿を持ち、惰性でリールを巻いている状態。そんな時に限ってまさかのアタリがあるんです。集中が欠けているのでもちろんアワセなんか入れられません。無残にエサが食いちぎられたゲッターを回収するのみ…
沖からずっとゲッターを追ってきたのか、たまたま足元付近に回遊していたのか。捕食が下手だからでしょうか、タチウオはエサを岸壁に追い込んで逃げ場を無くして捕食するという話も聞きます。
なので回収間際の足元付近は最後のチャンスタイム。もしかしたら最高のチャンスかも。決して気を抜かずゆっくり丁寧に引いて、瞬時にアワセを入れられる体勢でのぞみましょう。
タチウオのウキ釣りなんかでも、闇雲に遠投せず足元付近を狙ってみてください。意外とそこにタチウオがいます。
【6】取り込みはポーンと抜き上げる
さて、ついにタチウオを掛けました。あとは回収するだけ。
タチウオの引きの特徴なんですが、針掛かりしたときはずっしり重たいのにリールを巻いて回収している途中に「あれ?針から外れた?」と思うほど軽くなることがあります。もちろん実際にバラしていることもありますが、大概は針掛かりしてますので気を抜かずラインを張ったままリールを巻き続けてください。回収直前にまた抵抗してくることがあります。
タチウオは原則、玉網で回収することはしません。歯で網を切られることもあるし長さのわりには重量がないのでそのまま抜き上げるのが基本です。1メートル前後のサイズまでなら問題なく抜き上げられます。足元まで寄せられたらやや多めにラインを巻き取って竿先を海に向けて下げ、海中からポーンと抜き取るように上げてください。
見事抜き上げたらくれぐれも歯に気を付けつつ安全な方法でタチウオをつかみましょう。初めてタチウオを釣ったなら驚きや嬉しさで半ばパニック状態になっていると思いますのでくれぐれも気をつけて。不慣れならとりあえず地面に横たわらせるといいです。地面でペチペチと跳ねるタチウオを見ながらとりあえず落ち着きましょう。
タチウオをつかむには専用のハサミやワニグリップなどがあると便利です。
特にワニグリップミニはその他の魚全般に使えるので超おすすめアイテムです。 今やこれ無しの釣りは考えられないほど。
わざわざそんなん買うのもったいないということであれば厚手のタオルなんかでもいいです。でもくれぐれも軍手やゴム手袋1枚程度で大丈夫と思わないでください。いとも簡単に貫通したり引き裂かれたります。血を見ることになるぜ!(経験者談)
ゲッターで釣れたタチウオから針を外す際、口の中に掛かるということはそれほどありません。なのでウキ釣りのときと比べて安全に針外しができますが、念のため慎重に作業を進めましょう。少しでも歯に当たる可能性があるならペンチなどで針外しを。さしあたり100均で売ってる金属部分が長めのやつで十分です(すぐ錆びるけど)。
タチウオの動きが止まって死んだと思っててもゾンビのように動き出し口を閉じる場合があるので注意。血を見ることになるぜ!(経験者談)
底をとらずに上から攻めるパターンもあり
以上、日没前の夕まずめからタチウオを狙う方法でした。
暗くなってからタチウオが上層に浮いてきてるだろうという状況であれば、必ずしも底を取る必要はありません。さっきとは逆に着水から1秒、次は2秒と、徐々に深いタナを攻めて行けば効率がいいです。ワインドでは釣れなくなってきた暗い時間でもゲッターなら狙えますよ。
とくにびりびりが効果的。
引き釣りもウキ釣りもワインドもルアーも楽しい!
「引き釣り最高!太刀魚ゲッター最高!」みたいなノリで書いてきましたが、これはあくまで初心者がタチウオを確実にゲットするのに適した方法の一つということでご理解いただければ。
漁をしているわけではないのでたくさん釣るという結果だけじゃなく、その過程を楽しむのも趣味としての釣りの醍醐味です。冒頭にも書きましたが、同じ魚を狙うにしても多種多様なアプローチがあって、エサ釣り派もルアー釣り派も受け入れられるという間口の広さがタチウオ釣りの魅力。皆様におかれましては、それぞれ自分の気に入った釣り方でタチウオを狙ってください。
それではみなさんタチウオ釣りをお楽しみください!