2015年の夏が終わりました。暦の上ではセプテンバー。そしてまた秋が巡ってくる。
秋の大阪湾岸は海釣りのベストシーズンです。年間で最も多くの魚種を釣ることができるし、どれもこれも美味しい魚ばかりだし、たいがいの魚は簡単に釣れるし、気候もよくて過ごしやすいし。
いろいろ選択肢のある秋の海釣りの中でも、関西、特に大阪湾で最大の人気を誇るのがタチウオ釣りです。
追記: 2016年版の記事を公開しました
関西のタチウオ釣り人気は異常レベル
※タチウオシーズンで混雑する晩秋の南芦屋浜ベランダ 週末の夜明け直前(左端の光源は街灯)
とにかく混む めっちゃ混む ケンカも起きる
タチウオ釣りのピーク時である10月から11月は、早朝であろうが夕方であろうが平日であろうが大挙して人が押し寄せ、混雑する釣り場では隣の人との間隔が2mもなかったりするのが常態化。
場合によってはストレスが溜まる釣りとなり、ケンカの声が聞こえることも珍しくないです。これほんとマジで。時合いも短いし殺気立ってる人がいるのも理解できなくはないけど。お近づきにはなりたくですが。
下の動画は去年2014年秋に放送されたサンテレビ四季の釣り、南芦屋浜ベランダでのタチウオ釣りのようす。たしかこの放送の収録日は土曜か日曜だったはずです。ほんとこんな感じの混み具合ですわ、ええ。ところどころ望遠レンズで風景を撮影してるから、望遠レンズ独特の圧縮効果で実際以上に混んで見えますが…
簡単とはいえ…簡単に釣れないことも
ではサビキみたいに簡単にじゃんじゃん釣れるのかというと、周囲一帯一匹もタチウオを見ることなくボウズで帰ることも珍しくないです。いい群れ、いい時合いにあたれば簡単に釣れるけど、そんなチャンスはシーズンを通してそう簡単にめぐり合えません。
それでもタチウオを釣りに行くのはなぜ?
じゃあなぜそれまでしてみんなタチウオを釣りに行くのでしょうか?それにはわけがあるんじゃ。
- 陸から1メートルを超える大きな魚が簡単に釣れること
- 細長い魚とはいえそれなりに強い引きが楽しめること
- 様々なアプローチでの釣り方がありそれぞれの楽しみ方があること
- 焼いても煮ても刺身でもどうやっても美味しい魚であること
- ウロコがなくシンプルな骨格のためさばきやすいこと
- ゆえにお土産として渡しても喜ばれること
だいたいこんなところじゃ。ほれ、どうじゃ?美味そうじゃろ?
特に大阪湾岸はわざわざ船に乗らなくてもその辺の防波堤から手軽に釣れるということがあって、私みたいに安上がりで楽しみたいファミリーフィッシング層がこぞって集まるのかと。
多少の混雑は祭りみたいなもんだと割り切り、今年もそろそろタチウオ釣りの準備を始めるとしますか。
釣り方いろいろ 何を選ぶ?
必読!ケミホタルクラブ タチウオ特集号
今年はじめのフィッシングショー大阪で、ケミホタルでお馴染みのルミカのブースにケミホタルクラブという小冊子が置いてありました。定期的に発行されているらしく、手に取った号はタチウオ釣り特集。
様々なタチウオの釣り方や全国の回遊ルートが載っていてとても充実した内容でした。ウェブサイトにPDFファイルがアップしてあったのでタチウオ釣りに興味がある方にはぜひご覧いただきたいです。
関連本や特集記事 釣り番組もタチウオ中心に
この時期になると釣り雑誌の特集になったりムック本も発行されます。 関西ローカルの釣り番組、例えば四季の釣りとかルアルアチャンネルとかでも毎週のようにタチウオ釣りの様子が放送されたり。
※このムック本、表紙のデザインが一昔前のヤンキー向け雑誌みたい。おいおいチャンプロードかよ!っていう。客層がかぶるのかな~。嫌だな~こわいな~。
「今」の関西の定番はウキ釣りとワインド
前述のケミホタルクラブに掲載されている釣り方の中で、今現在関西で人気があるのはウキ釣りとワインドです。いわば餌釣りvsルアーフィッシングの構図。
多くの人がこれのどちらか、もしくは時間帯に合わせた2本立てでタチウオを狙います。タチウオは日暮れとともに沖の深場から陸に近い浅場に浮いてくるので、夕方の時合いであれば深場から浅場まで自在に広いタナが探れるワインドから始めて、暗くなったら表層近くを狙うウキ釣りに移行する人も多い。夜明けはその逆の流れです。
真っ黒な海の中を色とりどりの電気ウキが漂う光景はこの時期ならでは。幻想的ですらあります。
個人的にはウキ釣りとテンヤの引き釣りを
去年もそうでしたが、主にはウキ釣りで狙うつもりです。
そして今のところルアーフィッシング方面に手を出すつもりはないので、日没ぐらいまではワインドの代わりにテンヤの引き釣りをしようかと。
なぜかというと、ウキ釣りと同じ竿、そしてリールとラインでまかなえるからです。エサは本来ドジョウがいいんでしょうが、ウキ釣りと同じキビナゴも使えるし。要は安上がりにしたいということです。
20年前は須磨海釣り公園でしかタチウオ釣りをしたことがなく、そこではほぼ全ての人がテンヤを引いていたように記憶しています。エサもドジョウやキビナゴではなくて冷凍の小アジが海釣り公園の売店で売られていてそれを使っていました。ワインドは最近出てきた釣り方だと思うのですが、ウキ釣りって当時もある程度のシェアがあったのかなあ。
進化系のテンヤともいえるシマノのタチウオゲッターもおすすめ。アイアンメイデン(メタルバンドではなく拷問器具のほう)みたいな見た目で恐ろしいですが、エサとルアーのハイブリッド仕様、エサとルアーのいいとこ取りで太刀魚を狙えます。
それに加えてせっかくなのでケミホタルクラブに載っていた他の釣り方も試してみたいですね。道具を流用できるという点でいえば誘い釣りかな。ウキ釣りには違いないけど、よりアグレッシブに攻められそう。シーズンインまでに要検討。
必要な道具を準備する
遠投磯竿3号4.5mを新調する
竿については去年、遠投磯竿4号5.4mを使っていました。安物っていう理由もあるんですが、なんせ重いんだこの竿。全体的に固めだから釣れたあとの抜き上げが楽っていうのはあったんですが、とても片手持ちで扱えない重量でした。
なので今年は新調することに。
何を隠そう今私が持っている竿は全てプロマリン製。安物でお馴染みのブランド、プロマリン。いやしかしですよ、プロマリン製の竿ってそんなに悪くないと思います。安物しか使ったことがない私の所感などたいした役に立たないですが、使っていて特に問題は感じませんでした。ちゃんと釣りの後にメンテナンス(水洗いして干すだけだけど)すれば1年以上使えています。だがしかしリールはだめだよプロマリン。
有り難い事にこのブログからの広告収入にある程度目処が立ったのと、そろそろちゃんとしたメーカー品も使ってみたいということで、この竿を買うことにしました。
シマノのランドメイト、3号4.5mの遠投仕様です。 この竿、非常に気に入りまして、オールマイティな竿として特に初心者におすすめすべく記事を書きました。
タチウオ以外でも、サビキからチョイ投げまであらゆる波止釣りでオールマイティーに使えそうだからというのがこれを選んだ理由。いやいやこれ安物やん、シマノの一番安いグレードやん、”がんばロッド”ってダサッ!と思うかもしれませんが、プロ専(プロマリン専門)の自分にとったら高級竿です。
調べてみたらAmazonよりヨドバシが2,000円も安い。納期は9月下旬らしいけど、それで問題ないのでヨドバシで買うことにします。到着が待ち遠しい。ちなみにリールはamazonが安い、竿はヨドバシが安いという傾向があるように思います。
リールは手持ちの中から適当に
リールはナイロン3号が100mほど巻けてトラブルがないんであればなんでもいいかな。ということで現状通りサビキなんかに使ってるスピニングを。
仕掛けは がまかつのつらぬき
ウキ釣りの仕掛けはこれ一択。がまかつから発売されているつらぬき仕様の仕掛け。
サルカンとハリス(あるいはワイヤー)の間をヘアピンのような金具が繋いでいて、そのヘアピンをキビナゴのお腹に刺して背中へつらぬく。そのままハリスをお腹に通してするする滑らせ2本針をキビナゴに刺す。文字で説明しても分かりにくですね。和歌山釣太郎さんの動画があるんで、そちらを参照あれ。
※この動画、つらぬく時にサルカンが下位置についているがこれは間違い。通常サルカンは道糸に結んであるはずだから、ヘアピンをサルカンから外してつらぬくのが正解。
実に簡単にエサ付けができ、2本針ががっちりとキビナゴのお腹をホールドするのでエサ持ちが良い。投げてもそうそう外れることはない。キビナゴの姿勢もうまいこと水平になりとても自然。経験上、アワセが成功する確率も高いと思います。
ただし、釣れてからの針外しはめっちゃ面倒です。2本針ががっちり喉に食い込む場合があるから簡単には外せないときも。予めエサ付けした仕掛けを複数用意しておいて釣れるたびに交換、時合いが過ぎたときにまとめて針外しをするのがおすすめ。
ちなみにフロロハリスを透明チューブで保護した喰い渋り対応版とワイヤーハリス版があります。なかなか周りにアタリすら中で、この喰い渋り版を使っている自分だけが釣れた経験もあるので効果があると個人的には思っています。
この仕掛けについて詳しくまとめましたので、詳細はこちらをご覧あれ。
フィッシュグリップはワニグリップミニ
歯がカッターのように鋭いので、タチウオを素手で扱うのはキケンです。
昔はタオルで掴んでいましたが、今はスタイリッシュな魚バサミがあります。私はワニグリップミニを使用中。レギュラーサイズ的なものとミニサイズがありますが、タチウオでもミニサイズでOK。ミニならサビキで釣れる小魚からタチウオまでオールマイティに使えます。
魚を手づかみできないなんて軟弱な!と昔は思っていましたが、怪我は避けられるし粘液でぬるぬるになることもないし、今では手放せない存在。
※いわゆる指4本サイズの良型でもワニグリップミニで十分に対応可能
しかし第一精工の製品って、カラーリングといいデザインといい男心をくすぐるよなあ。ズルイわ~、買ってまうやん。
別途記事にまとめました。
ケミカルライトはダイソーで
タチウオ釣りに欠かせないのがケミカルライト。ルミカのケミホタルがスタンダードだけど、ここはケチってダイソーで。
ダイソーの釣具コーナー、もし釣具コーナーがなければペット用品コーナーに置いてあるはず。25mm、37mm、50mmの3サイズがラインナップされていてケミホタルと同じ大きさだからホルダーとかは互換性があります。ただし75mmはない。
タチウオのウキ釣りなら50mmがいいかな。50mmなら100円で4本も入ってます。37mmは6本。25mmならなんと8本入り。お得過ぎ!
ケミホタルに比べると、発光カラーは黄色のみ、ちょっと暗い、発光時間が短い(5時間という表記がある)、固定用のチューブが緩い(まれに封入すらされていないことも)というデメリットがあるけど、一晩中釣り続けるというケースでなければ実用には問題無いレベルといえます。
朝マズメ夕マズメだけならこれで十分。本格的にタチウオシーズンが始まると50mmサイズは品切れになっていることが多いので、見つけたら今のうちにまとめて買っておきたいところです。
餌は魚売場で or 現地調達で
キビナゴはスーパーで買って塩漬け冷凍保存
タチウオの餌釣りで使う餌といえばキビナゴがスタンダード。餌屋や釣具屋の冷凍餌コーナーで買えますが、スーパーや魚屋で買って塩漬けしたものを冷凍保存しておくのがお得で便利。
常時あるわけではないんですが、近所のスーパーでは100円で刺身用キビナゴが数十匹入ったパックが売られています。総量を基準にしたら市場価格の半値ぐらいかと。なんで安いかというとたぶんキビナゴのサイズがバラバラだからだと思います。メダカサイズから10cmを超えるサイズまでゴチャ混ぜなんで。
個人的にはこれが都合よく、大きいキビナゴは人間用の餌(手開きして刺身)、中ぐらいのサイズはタチウオ釣り用に塩漬け、小さいサイズは根魚釣りのさし餌用に塩漬け、全部無駄なく使えます。
なぜ塩漬けにするかというと、水分が抜けて身が締まり針から外れにくくなるからです。冷凍庫に入れておけば日持ちもします。塩漬けしないほうが食いがいいということも聞くしそれはそれで正解なんだろうと思いますが、保存と餌持ちの良さを優先して自分は塩漬け派。
キビナゴに次いでよく使われるサンマやサバの切り身も魚売場で買って捌けば安上がりです。基本的にタチウオ釣りの餌を餌屋や釣具屋で買うのはキビナゴが店頭に無い、冷凍庫にストックが無い緊急時のみと決めています。わざわざより好んでエサ屋の赤キビナゴを買わなくていいと思います。アレの効果は懐疑的。
追記:キビナゴについて詳しくまとめました
餌はサビキなどで現地調達も可
餌もちがいいっていう点でキビナゴがスタンダードになっていますが、タチウオはたいがいの小魚を食べるわけで。なので、現地でサビキなどしてイワシが手に入ればそのまま鮮度抜群の餌になります。サヨリの尾っぽもテンヤにつける餌にぴったり。小アジだっていけますよ。
現地でそこにいる小魚がそこにいるタチウオの餌になるわけだから、理屈で言えば現地調達の餌が最強とも思えます。混雑した釣り場だと難しいですが、生きたまま針付けして呑ませ釣りをするのが最も自然に近い釣り方のように感じます。
準備万端!時期は?釣り場はどこにする?
大阪湾奥では10月以降が目安
よし、準備は整いました。
あとは時期を待つのみ。兵庫突堤なんかだと夏休みシーズンぐらいから釣れているみたいですが、苦い思いでもあり、あそこにはなるべく行きたくありません。淡路島なんかだともっと早く釣れるみたいだけど、そうそう遠征はできません。
となると、個人的な選択肢ですが、大阪湾奥、つまりは南芦屋浜や西宮ケーソンなどで釣れる時期を待つことになります。その時期は早くて9月末、安定するのは10月以降でしょうか。
その後10月後半から11月ぐらいにピークをむかえます。大阪湾の最奥に位置する南芦屋浜や西宮ケーソンなら、その年の状況によって年末年始あたりまで釣れることもあるらしいです。ちなみに去年2014年は12月に入って比較的早い時期に釣果がみられなくなっていました。
混雑も避けられるものなら避けたいので
何回も書きますが、タチウオ釣りのシーズンは異常に釣り場が混雑します。駐車場やトイレ、安全設備が整った南芦屋浜ベランダのような釣り場は特に顕著。家族で行く場合はそいういうところを選択せざるを得ないけど、一人で行くならもう少し広く選択肢を考えておきたいところです。
例えば南芦屋浜でも南面のベランダは鬼のように混雑しますが、東西にある水道の石畳ならかなり緩和されます。タチウオが釣れる実績もあり。足場は決して良くないし、トレイレ事情も悪いけど一人の釣行ならこっちのほうがストレスフリーでいろいろな釣り方も試せるはず。候補に挙げておきたいですね。
釣り場の確保は早めの時間に(ただし放置はアカン)
とはいえ、タチウオ釣りのシーズンはどこへ行こうと普段より混雑することが確実。週末、夕方の時合い直前に釣り場へ行っても入れる隙間はなかなかないと思います。一人ならまだしも、複数人で行って並んで釣れる場所を確保したいなら遅くとも昼過ぎには釣り場に到着しておきたいところ。
とはいえ、竿だけ並べて場所を取り、夕方まで他のどこかで時間を潰すとかはルール違反というかモラルに反すると個人的には思います。
この時期になるとたまに見るんです、仕掛けもつけていないラインも通していない捨て竿みたいなのを等間隔に並べてある無人の一画を。時合い前になったら持ち主の一団がぞろぞろ現れ、やおらタチウオ釣りを始める。偏見丸出しになってしまうので具体的には書きませんが、だいたいそういうことをするのは”あの辺”の世代。
釣りの対象魚が豊富なこのシーズン、夕方まではサビキでタチウオの餌やおかずを確保したり、サヨリを狙ったり、壁際の小魚を狙ったり、いろいろ楽しみ方はあると思います。夕方までずっと竿を握っておけと言うつもりなど毛頭ありません。せめてその場には居て欲しいと思います。あんな光景、子供には見せられん。
混雑する釣り場だからこそ心がけたいこと
混み合う釣り場 あいさつ大事
早目の時間から来て場所を確保している人にとって、後から来た人間に無言でズカズカ踏み込まれて窮屈な思いをするのは決して気分が良くないはず。
そりゃ自分の土地ではない以上、早くから場所を確保しているからといって釣り場を占有する権利はないけど、無言でテリトリーを侵されたらイラッとくるのも仕方がありません。心が狭いと思われるかもしれませんが少なくとも自分はそう感じます。横2mもない隙間に無言で入られて仕掛けをかぶせられたら舌打ちのひとつもしたくなります。
「横入らせてもらっていいですか?」
この一言があるだけで随分と心象が違ってくるように自分は思います。挨拶が無ければテリトリーを侵す敵、挨拶があれば共に戦う戦友のような気分にすらなる。
とはいえ譲り合いは可能な範囲でいいと思う
かといってどんな状況でも譲り合いの精神を持つべきとか綺麗ごとを言うつもりは無いです。無理なもんは無理だし。
多少余裕があるなら「どうぞ~」と返せばいいし、いやいやその隙間に入るのは無茶だろうと思えば率直に断ればいいと思います。ちゃんと挨拶ができる人間ならそこで理解して険悪な空気にはならないはず。
隙間に入らせてもらう側からしたら入るべき隙間もよく見て選んだほうがベター。前述の通り殺気立ってる人もいるし中には宇宙人かと思うほど常識が通じない人もいるから、いかにもな風貌の人の隣、やたら声がでかい人の隣、子供の後ろ髪が長いファミリーの隣…等々は避けたほうが懸命かと。人は見た目で判断…していい。するべき。
遊びに来てるのにストレスを溜めたりトラブルを抱えたりするのは本末転倒です。大人の余裕とコミュニケーション力をもってタチウオ釣りを楽しみたいものです、はい。