堤防や釣り公園などの釣り場に行くと、海水面を跳ねる魚を見ることがあります。
1メートル近い巨大魚のジャンプを見ると、もしやマグロかカジキかと大物を釣る期待が高まるかもしれません。
その魚、跳ね方を見れば区別がつきます。
海面を跳ねる魚はだいたいボラ
陸に近い海域でよく跳ねる
あなたが見た跳ねる魚の正体。結論から書くとそれは高確率でボラです。
釣りにおいては外道として扱われ嫌われがちなボラ。陸に近い堤防や海釣り公園、川の河口付近で見たのならだいたいボラです。さらに腹や背中から着水する魚だったらほぼ間違いありません。
サイズの大小を問わず跳ねる魚なので、10センチ台の幼魚が集団でチャポチャポと散発的に跳ねたり、1メートル近い成魚がバシャーンと大きな水音をたてて着水したりします。
これは地震の前触れなどを予知する異常行動ではなく、いつでもどこでもごく当たり前に見ることが出来る光景です。
魚の跳ね方には個性があるため、観察することで魚種の特定が可能です。
跳ね方で判断できる魚の種類
大きな音を立てて着水するのは「ボラ」
最もカッコ悪い跳ね方をする魚
ボラの跳ね方は特徴的なため、すぐに判別できます。
端的かつ不名誉な表現をするとしたら、数ある魚の中で最も不細工な跳ね方をするのがボラ。
水面から真っすぐ上に飛び出てそのまま腹や背中から落ちるという、水泳でいうところの腹打ち状態で着水します。そのためバシャン、ボチャンと間抜けで大げさな着水音を響かせます。
一定方向に向かって、水切りの石のように複数回のジャンプを繰り返すのも大きな特徴です。
これから釣れるという判断には使えない
元気いっぱいなボラのジャンプを見ると海の活性が上がったイメージが湧くかもしれません。これから爆釣するサインでは?
そもそもなぜボラが跳ねるのかというと、水中の酸素濃度が低いからとか寄生虫を落とすためとかいうもっともらしい説があります。奥まって流れが淀んだ湾で気温が高い時期は、そもそもずっと酸素濃度が低いためか四六時中跳ねている印象です。
確実に言えそうなのは、フィッシュイーターに追われて跳ねているわけではないこと。切羽詰まったジャンプではなく、どこかのんびりした跳躍に見えます。魚が釣れる予兆と考えるのは無理がありそうです。どちらかというと釣れていないときに跳んでいるイメージが大きい。
スマートなジャンプをするのは「サワラ」
イルカショーのようなジャンプをする
水面から斜め上に跳ねて頭から着水する魚を見たなら、それはサワラの可能性が高くなります。50センチ前後のサイズならサゴシなどと呼ばれるあの「サワラ(鰆)」です。
ボラの不細工なジャンプに比べると美しいジャンプと言えるでしょう。さながらイルカショーのイルカのようです。
基本的には群れで乱舞するような跳ね方ではなく、単独で跳ねることが多い魚です。ボラと比較すると魚の活性が高いときに跳ねる印象です。
大きな群れで海面をバチャバチャ跳ねるのは「イワシ」
水面をザワザワと騒がすような跳ね方をする
海面がにわかにざわつき始めて、小魚の群れがピチャピチャと音を立て集団で跳ねながら近づいてきた。あるいは遠ざかっていく。この場合はイワシの可能性が高くなります。
日本近海で釣れるイワシは、マイワシ、ウルメイワシ、カタクチイワシの3種でいずれも同様の行動をしますが、割合的にはカタクチイワシが多いでしょう。
大型魚が釣れるチャンス
イワシのような小魚の群れが海面を跳ねながら広範囲でざわつくことをボイルと呼びます。さながらお湯が沸くように見えるからボイル(boil)というわけです。
ブリなどの青物やシーバスなどのフィッシュイーターに海面下から突き上げられ、仕方なく海面まで逃げてきた結果としてのジャンプである可能性が高い。
そのためイワシが跳ねるときは大物が釣れるチャンスととらえることができます。さらにフィッシュイーターと入り乱れて海面を激しくバチャバチャさせる様子をナブラと呼びます。
群れで海面を跳ねるスマートな魚は「サヨリ」
群れが放射状にジャンプすることがある
サヨリも跳ねる魚の代表格。海面付近に連玉ウキを漂わせる独特な仕掛けにサヨリが掛かれば、ジャンプをしながら逃れようとする行動をとります。
海面付近のエサを狙って回遊していることが多いため海面の変化に敏感な魚。寄せ餌であるアミエビを撒くと、海面付近をゆらゆらと泳ぎながら水の波紋を出す様子が確認できます。
ボラなどに比べるとシャープでスマートな跳ね方をします。仕掛けを群れのど真ん中に着水させると、花火のように放射状に広がって跳ねるなど芸術点が高い跳ね方をすることも。イワシと同じくフィッシュイーターに追われて一斉に跳ねることもあります。
群れの規模がイワシと似ていますが、細長いスマートな体型で見分けることが出来ます。